2020年12月から導入された簿記のネット試験はペーパー試験とは異なり、会場や試験日、回答方法などに変更がありました。また、合否判定のスピードなどで、それぞれメリットとデメリットがあります。

この記事の目次

簿記のネット試験の概要

簿記のネット試験は、2020年12月より導入されました。

従来のペーパー試験とは異なり、パソコンを使用してオンライン上で受験する新しい形式の試験です。

東京商工会議所では、2024年度よりネット試験しか受験ができなくなるなどの規定もあります。

まずは従来のペーパー試験との違いを理解し、自分の住んでいる地域や予定に合わせて最適な受験方法を選択しましょう。

ネット試験とはどのような試験か

受験申し込みから試験結果の確認まで、すべてのプロセスがオンラインで完結します。

2級と3級が受験でき、ペーパー試験と難易度は変わりません。

ネット試験の導入により、受験者は日本全国のテストセンターの中で自分の都合の良い場所で試験を受けることが可能となり、より柔軟な受験スタイルが実現されています。

受験は、各試験会場が設定する任意の日で随時可能です。

ネット試験の特徴

ネット試験はペーパー試験前後の指定日を除くほぼ毎日受験することができます。

また、受験票の発行はありませんので注意してください。

ネット試験の内容や時間は、ペーパー試験と同じです。

パソコン上で入力したりプルダウンなどで回答します。

ネット上でメモを取ることはできませんが、計算のための紙は提供されます。

 ネット試験終了後、すぐに採点が行われ、パソコンに結果が表示されます。

合格者には、デジタル合格証を取得するためのコードが載っています。

結果が即時に確認できるのもネット試験の特徴です。

合否判定に関してはペーパー試験と異なりますので注意してください。

ネット試験とペーパー試験の比較

ネット試験 ペーパー試験
試験日 統一試験前後の指定日を除くほぼ毎日 年3回(基本は2月、6月、11月)
試験会場 日本全国のテストセンター
(各都道府県の主要都市に1〜4か所ほどあり、ビルの1室にパソコンが設置されて受験する形式がほとんど)
指定の大学などの会場
試験対象 2級・3級 全て
試験時間 2級:90分・3級:60分 1級:180分・2級:90分・3級:60分
解答方法 パソコンに直接入力 紙面に記入
受験料 2級:4,720円・3級:2,850円
(インターネット申し込みは事務手数料550円)
1級:7,850円・2級:4,720円・3級:2,850円
申し込み方法 ネット申し込み、会場問い合わせ ネット申し込み、コンビニ端末。団体の場合は商工会議所
合否 即日 2~3週間後

ネット試験もペーパー試験も合格すれば履歴書にその資格を記入することができます。

どちらの試験形式でも資格の価値は変わらないので、資格取得を目指す上でどちらを選んでも大丈夫です。

 ネット試験の利点として、都合の良いタイミングで受験できることや早期に資格を取得したい場合に適しています。

自分の学習ペースや目的に応じて、選択すると良いでしょう。

以降ではネット試験とペーパー試験の比較を詳しくご説明します。

合格率の違い

日本商工会議所によれば、試験の難易度に違いはありませんが、ネット試験の合格率が上がってきています。

2022年の4月から6月の間の日商簿記ネット試験の合格率は、簿記2級が37.8%、簿記3級が41.1%でした。

一方、同じ期間に実施された第161回のペーパー試験の合格率は簿記2級が26.9%、簿記3級が45.8%で、簿記2級ではネット試験の方が高い結果となっています。

簿記3級の結果は、統一試験の平均とほぼ同じです。

一般的にネット試験はいつでも受験できるため、受験者が自分の準備が整ったタイミングで受験することができます。

これに対して、ペーパー試験は固定の日時に実施されるため、そのタイミングでの準備状況が合格率に影響を与える可能性があります。

出題範囲や試験時間

日商簿記試験において、ネット試験とペーパー試験の出題範囲や試験時間に違いはありません。

資格の価値を一定に保つために、どちらの形式でも同じ内容を問うように設計されています。

ただし、ネット試験の場合、パソコン画面上でテキスト入力やプルダウンメニューを利用して回答します。

オンライン形式の試験に慣れていない方は、操作に慣れるための時間が必要となることがあります。

この点は、ペーパー試験とは異なる特徴と言えるでしょう。