日商簿記試験の3級・2級・1級、各級の難易度を合格率や学習時間から徹底解説していきます。合格するために理解しておくべきポイントや必要な知識についても解説しているので改めて確認してみましょう。
この記事の目次
日商簿記検定の合格率
簿記の合格率は簿記3級が約40~50%、簿記2級がおおよそ20%、そして簿記1級が約10%程度です。
それぞれの級によって合格率と難易度に大きな差があります。
例えば、簿記3級は比較的容易な部類に入りますが、一方で簿記1級は難しい資格として認識されています。
簿記3級の合格率
第148回から第154回までは、毎回約8万人から9万人の受験者がありました。
しかし、第155回では新型コロナウイルスの影響で試験が中止されました。
その後も実受験者数はわずかに減少傾向にありますが、第158回では約5万人が試験を受け、そのうち約30%が合格しました。
第148回から第156回までの間、合格率は40~50%前後で推移していました。
ただし、第158回の合格率は前回と比べて低下しており、これは試験時間や出題形式の変更が影響している可能性があります。
簿記2級の合格率
過去の148回から157回までの試験では、毎回約4万人前後が受験しました。
しかし、第158回の受験者数は直近の10回の中でも特に少なかったようです。
また、第158回からは2級の試験時間が以前の120分から90分に変更されましたが、問題数には変更はありません。
簿記2級の合格率は変動が激しく、例えば第148回では29.6%、第157回では8.6%というように、3倍近い差があります。
この変動の大きな要因は、問題の難易度の違いです。
簿記1級の合格率
簿記1級の実受験者数は、3級や2級と比べてかなり少なく、毎回約6,000〜10,000人前後です。
受験者数は実施回による変動はあまりありません。
また、多くの試験で合格者はわずか数百人程度に過ぎません。
この合格率の低さから、この試験が非常に難易度が高いことが分かります。
簿記1級の平均合格率は約10%前後で、3級や2級と比べると明らかに低いです。
合格率は第157回は7.9%で、第156回では13.5%です。
回によっても大きな違いが見られます。
日商簿記3級・2級・1級 試験概要と難易度
以下では、日商簿記の各級(3級・2級・1級)に関する試験の概要と難易度について説明します。
日商簿記3級 試験概要と難易度
日商簿記3級は初心者向けの価値ある資格です。
経理専門家ではないですが「簿記・会計」基礎力を証明でき、履歴書に記載することでアピール材料にもなります。
合格率は40~50%前後で、他の難易度の高い資格と比べると取り組みやすい試験です。
基本的な概念を理解し、問題を繰り返し解くことで、初めての勘定科目や数字に慣れない人も合格可能です。
勘定科目や仕訳のルールをしっかり理解し、基本問題にスムーズに取り組む練習が重要です。
合格基準は70%以上です。
3つの大問のうち、第1問と第3問に関しては、特定のパターンを把握してしまえば、得点を簡単に稼げます。
第1問はウォーミングアップのような仕訳問題であり、第3問は決算問題です。
対照的に、第2問については得点を確実に取れそうなところに絞って取り組むだけで充分です。
将来的に2級や1級を目指す際も、まずは3級からスタートして段階的にスキル向上に努めましょう。
日商簿記2級 試験概要と難易度
日商簿記2級の合格率は約15~30%程度であり、簿記3級よりも難易度が高くなります。
試験科目には工業簿記が追加されるため、より幅広い知識が求められる試験となります。
商業簿記が「仕入れた商品の販売」を取り扱うのに対し、工業簿記は「自社での製品の製造」を扱います。
新しい考え方や原価計算など、より専門的な内容が登場します。
問題数や試験時間も簿記3級より多くなっており、合格率が低いのは納得のいくものです。
合格には70%以上の得点が必要ですので、商業簿記と工業簿記の両方をバランスよく学習し、それぞれの分野でしっかり得点を獲得することが求められます。
日商簿記1級 試験概要と難易度
日商簿記の中で最も難しい1級試験では、商業簿記・工業簿記に加えて、会計学・原価計算という独立した科目が出題されます。
試験時間は商業簿記・会計学が90分、工業簿記・原価計算が90分で、2級試験の倍の時間が必要です。
合格基準は3級・2級と同じく70%以上ですが、科目ごとに得点が40%以上必要です。
そのため、バランスのとれた対策が求められます。
上記は一般的に出題される内容ですが、例えば商業簿記には連結財務諸表の作成や本支店会計の問題が出題されることもあります。
広範な出題範囲を網羅するためには、自学自習だけでは効率が悪いです。
簿記1級を目指す際には、講座や学習スクールの利用が一般的です。
日商簿記1級は難しい試験ですが、合格すれば経理の専門家として多くの企業で価値を持ちます。
特に大企業では連結決算などの知識が求められることもあります。
また、1級合格で税理士試験の受験資格も得られます。