日商簿記試験は、ビジネスの現場で必要不可欠とされる会計の知識と技能を評価する資格試験です。初級から専門的な内容まで幅広く、受験者の簿記に関する知識の深さを測るバロメーターとして使われます。
この記事の目次
級ごとの概要
日商簿記試験はビジネスの現場で必要とされる会計の知識や技能を証明するための資格試験として、多くの方々が受験しています。
日商簿記試験は、原価計算初級、簿記初級、3級、2級、1級までのレベルが存在し、それぞれの級には特有の内容や難易度が設定されています。
本記事では、3級から1級までの試験時間や受験資格、合格基準、試験方式、受験料などの概要について詳しく解説していきます。
各級の特色や受験のポイントをしっかりと把握し、効果的な試験対策を立てるための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
簿記3級の概要
簿記3級は、日商簿記試験3級〜1級の中で1番易しい難易度に位置する資格試験です。
試験内容は基本的な簿記知識を問うもので、簿記の基本的な原理や仕訳のルール、帳簿の記入方法などが出題されます。
試験時間は60分、試験の合格基準は、通常70%の正解率となっています。
また、受験資格は特に設けられていないため、学生から社会人、さらには主婦や高齢者まで、どなたでも受験することができます。
試験方式はペーパー試験とネット試験の2つがあります。
受験料は2,850円(税込)ですが、受験料は変動することもあるため、公式の情報を確認してください。
2023年度のスケジュールは以下の通りです。
- 2023年6月11日(日)
- 2023年11月19日(日)
- 2024年2月25日(日)
(ネット試験は各ネット試験会場が設定する任意の日に行われています。)
簿記3級は、簿記の基礎を学ぶための入門的な試験となっており、これを基に上級の資格へとステップアップすることができます。
簿記2級の概要
簿記2級は、日商簿記試験の中で中級の位置づけにある資格試験です。
簿記3級よりもさらに深い知識と技能が求められます。
簿記2級の試験内容は、中級の簿記知識を問うもので、複雑な取引や資源投入の記録・計算、決算書の作成などが出題されます。
試験時間は90分で、試験の合格基準は、通常70%以上の正解率となっています。
また、受験資格は特に設けられていないため、簿記3級を持っていなくても簿記2級の受験は可能です。
しかし、試験では簿記3級の知識があることを前提に出題されるので、注意してください。
試験方式はペーパー試験とネット試験の2つがあります。
受験料は4,720円(税込) ですが、受験料は変動することもあるため、受験を検討される方は、公式の情報を確認してください。
2023年度のスケジュールは以下の通りです。
- 2023年6月11日(日)
- 2023年11月19日(日)
- 2024年2月25日(日)
(ネット試験は各ネット試験会場が設定する任意の日に行われています。)
簿記2級は、ビジネスの現場での実務や、さらに高度な簿記の知識を求められる場面での活用が期待される資格となっています。
簿記1級の概要
簿記1級は、日商簿記試験の中で最も高度な資格試験として位置づけられています。
この試験は、簿記の専門的な知識と技能を深く、広く問うものとなっています。
簿記1級の試験内容は、複雑な取引、連結決算、税効果会計、工業簿記の分析といった専門的なテーマが出題されます。
試験時間は、商業簿記と会計学合わせて90分、工業簿記と原価計算合わせて90分の合計180分となります。
試験の合格基準は、70%以上ですが、1科目ごとの得点は40%以上です。
簿記1級試験は受験資格がなく、誰でも受験が可能です。
まずは3級や2級の合格を目指すのが一般的ですが、受験は可能です。
1級の受験料は、7,850円(税込)となっています。
試験方式はペーパー試験のみで、2023年度のスケジュールは以下の通りです。
- 2023年6月11日(日)
- 2023年11月19日(日)
簿記1級は、会計の専門家や上級の経理・財務担当者を目指す方々にとって、そのキャリアの重要なステップとなる資格です。
級ごとの出題範囲
日商簿記試験は、級ごとに異なる出題範囲を持っており、それぞれの級には、特有の出題範囲や難易度が設定されています。
上の級ほど高度な知識や技能が求められるため、受験を検討する際は、各級の出題範囲をしっかりと確認し、適切な学習計画を立てることが重要です。
以降では3級〜1級の出題範囲を解説します。
簿記3級の出題範囲
試験内容は、仕訳の問題、帳簿記入の問題、決算整理に関する総合的な問題などが中心です。
簿記の基本原理とは、仕訳の基本ルールや借方と貸方の取引の理解、主要な勘定科目とその特性が該当します。
基本的な取引の仕訳では、購買・売却・収入・支出などの日常的な取引から現金や預金・売掛金・買掛金などの基本的な取引の仕訳について出題されます。
帳簿の記入では、仕訳帳の記入法や総勘定元帳への転記スキル、試算表の作成力が求められます。
決算の手続きとしては、決算整理仕訳(期末の在庫評価、減価償却、前受金や前払金の処理など)、損益計算書と貸借対照表の基本的な作成が必要です。
簿記3級の出題範囲は、簿記の基礎を学ぶための内容が中心となっており、これを基に2級や3級の資格へとステップアップすることができます。
簿記2級の出題範囲
試験内容は、仕訳の問題、帳簿記入の問題、決算整理や財務諸表の作成に関する総合的な問題などが中心です。特に、取引の内容が複雑になるため、深い理解と実践的な技能が求められます。
高度な取引の仕訳としては、貸倒引当金・有価証券・固定資産の取得・処分・減価償却などの複雑な取引、期末の調整仕訳、特別な取引の仕訳が該当します。
帳簿の記入と決算整理では、仕訳帳、総勘定元帳、補助帳の記入方法、試算表・調整試算表の作成、決算整理仕訳の実施が求められます。
財務諸表の作成では、詳細な損益計算書・貸借対照表・変動資本計算書の作成や会計原則や基準に基づく財務諸表の整備を行います。
特殊な取引の会計処理では、割賦販売・リース取引・為替取引などの特別な取引の会計処理が必要です。
また、簿記2級から工業簿記も出題されます。
これは、原価計算、材料費計算、労務費計算、間接費の配賦、標準原価計算など、数値分析といった様々な要素が出題されます。
ただし、簿記1級と比べると基本的な内容の出題に留まります。
簿記2級で工業簿記の基本的な計算方法をおさえるようにしましょう。
簿記2級の出題範囲は、実務での経理業務や会計の知識を深めるための内容が中心となっており、これを基に簿記1級や他の高度な資格へと進むことができます。
簿記1級の出題範囲
試験内容は、高度な仕訳の問題、複雑な帳簿記入、連結決算や税務会計に関する総合的な問題などが中心となります。
また、実務での応用能力も試されるため、理論だけでなく実践的な知識も求められます。
高度な会計処理では、連結決算の取り扱いや税務会計との調整・税効果会計・外貨取引や為替差損益の処理が必要です。
特殊な取引の会計処理では、金融商品の取り扱い・デリバティブ取引・リース取引・退職給付・ストックオプションなどの特別な取引の会計処理が必要です。
財務諸表の分析では、財務諸表の詳細な分析・財務指標の計算と解釈、キャッシュフロー計算書の作成と分析が出題されます。
会計の理論と基準では、会計基準や原則に関する深い理解、国際会計基準(IFRS)との比較や違いなどの理解が必要です。
高度な決算整理では、複雑な決算整理仕訳・中間決算の取り扱い、連結財務諸表の作成や調整が求められます。
さらに工業簿記では、範囲自体は2級と変わらないものの、更に発展的で深い内容の出題がされます。計算問題の複雑さも相当上がります。
簿記1級の出題範囲は、会計の専門家や上級の経理・財務担当者を目指す方にとって、キャリアの重要なステップとなる資格です。
この試験を通じて、実務での高度な会計処理や財務分析のスキルを習得することができます。