警察官の退職金
警察官の給与や手当は、国家公務員として働く場合は国から支給されます。
一方、地方公務員として働く場合は各都道府県から支給されます。
同様に、退職金についても国家公務員と地方公務員では異なります。
国家公務員の場合、退職金は大卒者の平均で約2,500万円とされています。
一方、地方公務員の場合、平均で約2,200万円です。
階級が高いほどもらえる退職金も増える
警察組織には、はっきりとしたランク制度・階級制度が存在します。
新人警察官は巡査としてスタートし、その後一定の職務経験を積み、昇進試験などを通じて階級を上げることができます。
階級が上がるにつれて、基本給や退職金も増額される傾向があります。
警察官の多くを占める地方公務員で、定年退職時には巡査部長やそれよりも上の警部補の階級に達している場合の退職金は、通常2,500万円から3,000万円程度と言われています。
上位の階級である警部や警視に昇進すれば、さらに多くの退職金が期待できますが、そのためには試験を受けたり、実績を高く評価されたりするなど、ハードな道のりが待っています。
警察官は定年後に退職金と年金で暮らせるのか
公務員の定年は、段階的引き上げにより2026年(令和8年)現在は62歳です。
定年退職を迎えて以降も働くことはできますが、収入は大幅に減少します。
そのため、老後の生活に必要な資金を計画し、対策を立てることが重要です。
2007年度(平成19年度)の調査では、老後の生活費として必要な額の平均は、最低限の日常生活費が月額23.5万円、ゆとりある老後生活を送りたいなら月額37.8万円となっていました。
これが2025年度(令和7年度)の調査では、最低限の日常生活費の平均額が月額23.9万円、ゆとりある老後の生活費の平均額が月額39.1万円と、上昇傾向にあります。
一方で、毎月の公的年金の平均受給額は男性で約17万円、女性で約11万円です。
共働き夫婦の場合、合計で約28万円となります。
妻が国民年金(老齢基礎年金)のみであれば約7万円強の受給となるため、夫婦合計で約24万円となります。
どちらにせよ、ゆとりある老後生活を送りたいなら不足が生じ、その不足分を補うためには、退職金などを活用する必要があります。
地方公務員の退職金の平均額は約2,200万円であるため、90歳まで生きた場合、仮に62歳で退職した退職金を月換算で計算すると、「2,200万円 ÷(90 – 62)年 ÷ 12ヶ月≒6万5,000円/月」となります。
老後の生活費を賄うだけでなく、旅行や趣味、教養などを楽しみたい場合、やはり約38万円には届きません。
日常の生活費だけであれば、年金と退職金の取り崩しでなんとかなる可能性もあります。
ただし、インフレが続いていることもあり、「旅行に行く」「趣味を楽しむ」といったゆとりある暮らしを実現するためには、年金と退職金だけではとうてい足りません。
そのため、老後の資産形成や貯蓄の計画が大切になるのです。
警察官が年金以外で老後資金を作るには
公的年金や退職金だけでは足りない場合、追加で資産を築く必要があります。
資産を増やすためのコツは、長期間にわたる分散投資です。
以下では、公務員の方にもおすすめの資産形成方法について説明します。
警察官も加入できるようになったiDeCo
2017年(平成29年)から、公務員も個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できるようになりました。 iDeCoは、自分で掛金を積み立てて、原則として60歳以降にそれを受け取ることのできる制度です。
拠出した掛金は所得控除(小規模企業共済等掛金控除)が利用でき、毎年の住民税や所得税を安くできるメリットがあります。
さらに、運用中の利益も税金がかからないというメリットもあり、受け取る際にも公的年金控除などの特典が適用されます。
iDeCoには投資信託・定期預金・個人年金保険などの選択肢があります。
かつて、公務員の場合は掛金の拠出上限が月額1万2,000円(年間14万4,000円)でした。
そのため、例えば35歳の人が25年間にわたって最大限拠出した場合、元本ベースで360万円しか準備できず、夫婦の老後の資金計画においては不足する可能性がありました。
しかし、2024年12月に実施された大規模な法改正(他制度加入者の拠出限度額の見直し)により、公務員のiDeCo拠出上限額は最大で「月額2万円(年間24万円)」へと拡大されました。
これにより、同じく35歳から25年間満額で積み立てた場合、元本ベースで600万円となります(元本割れになるリスクもあります)。
iDeCoを利用して老後資金の準備をはじめるのもひとつの選択肢です。
株式や不動産投資などの資産運用
老後の資金は、物価の上昇によるお金の目減りも考慮する必要があります。
将来のインフレのリスクに対処できるような投資先も考えてみましょう。
資金が一定程度ある人には株式投資がおすすめです。
安定した収入がある人には、不動産投資も考えられます。
株式投資の魅力は、保有期間中に得られる配当金と株主優待、そして売却時に得られる売却益です。
ただし、当然株式も、価格が上昇することもありますが、下落することもあります。
購入時よりも高値で売却することが重要で、通常は長期間保有することが勧められます。
また、株価や企業の業績を定期的にチェックする必要もあり、警察官のように忙しい人には不向きかもしれません。
多忙を極める警察官の方に向いているのが、2024年(令和6年)にスタートした新NISA(少額投資非課税制度)の「つみたて投資枠」です。
旧制度の「つみたてNISA」から仕組みが刷新され、非課税保有期間が無期限化され、年間の投資枠も拡大されています。
世界中の株式などに広く分散された「投資信託」で設定すれば、日々の複雑な値動きをチェックする必要がなく、長期間にわたり、毎月自動でコツコツと運用を続けることができ、しかも非課税です。
忙しい人にも向いた新NISAの「つみたて投資枠」は、警察官にも有効な選択肢だと思います。
まとめ
警察官の年金制度や退職金について解説してきました。
階級が上がればその分退職金は上がりますが、以前の共済年金から制度が変わったことで、自身で老後の資金を準備する必要性も高まっています。
定年延長にともなう無年金期間の発生など、不安要素もあります。
日常の生活費だけなら退職金と年金で何とかなるかもしれませんが、ゆとりある暮らしや将来の予期せぬ出費に備えるには、現役時代からの準備が欠かせません。
iDeCoや新NISAなどをうまく活用するなど、早めに情報収集・資産形成をはじめ、退職後の安心につなげていきましょう。
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