今回はいくつかの点に絞って中規模監査法人の分析を行います。以下、「レポート」にて準大手に分類されている6法人に、規模等を勘案した上で3法人を加えた計9法人を分析の対象とします。
なおデータは各法人のHPなどを参考にしており、集計時点の違いなどにより若干のズレが生じる点はご理解下さい。
①人員数:400人を超える東陽がトップ。準大手間でもその差は2倍以上に
人員数は東陽が最も多く、合計407人(うち会計士等278人)に上ります。これを僅差で追いかけるのが太陽で、合計389人(同256人)。その2法人の2/3程度で続くのがPwC京都、及び優成で、それぞれ263人(同138人)と243人(同185人)となっています。準大手の残り2法人、仰星と三優はいずれも100人台に留まっています。
中小法人に目を向けると、ひびきは161人(同129人)を抱え、人員の点では準大手の三優と遜色がありません。しかしアスカ及びA&Aはいずれも50人程度(同20~30名程度)となっており、人員面ではかなりの差があります。
以上より、トップの東陽と準大手6位の三優では2倍以上の差があり、また中小のA&Aとでは10倍近くの差があります。「中堅」「準大手」と一括りにされてはいるものの、人員の点ではかなり差があることが分かります。
なお、参考までに最大手の新日本と比較してみると、中堅で最大の規模を誇る東陽でも新日本の6.5%(同6.2%)に過ぎません。人員数で見ると大手とは圧倒的な規模の違いがあると言えるでしょう。
②クライアント数:500を超える太陽がトップ。上場クライアント数ではなんと大手の一角を上回ることに。
監査クライアント数に目を向けると、人員数とはランキングが変わります。1位は人員数2位の太陽で、合計506社(うち金商法/会社法監査が140社)。それに続くのが341社(同87社)の東陽で、太陽には大きく離されています。3位以下はPwC京都236社(同40社)、三優約200社、仰星188社(同55社)、そして6位の優成が101社(同54社)で続きます。
中小を眺めると、A&Aが107社(同21社)、ひびき102社(同30社)、アスカ45社(20社)となっています。A&A及びひびきについては、合計では優成と大きな差はありませんが、金商法/会社法監査クライアント数では半分以下になっています。ひびきは人員面でも三優と大差がない点からも、準大手と中小を分けるのは上場クライアントの数と言えるかもしれません。
こうして見ると、2位の東陽でも首位太陽の7割弱(同6割強)に留まり、また準大手で最もクライアントの少ない優成はなんと2割(同5割弱)に過ぎず、太陽が頭一つ抜けている印象です。また上場企業サーチ(http://xn--vckya7nx51ik9ay55a3l3a.com/analyses/auditor)によると、太陽の上場クライアント数は大手の一角、PwCあらたをも超えています。以上より、実質的には太陽が中堅監査法人で最大の規模を誇ると言えるかもしれません。
なお、ここでも参考までに新日本と比較してみると、太陽は新日本の12.7%(同14.2%)となり、人員数に比べるとそれほど差は大きくないようにも見えます。ただし大手はそれぞれ日本を代表するビッグクライアントを多数抱えていることが、1-③被監査クライアント時価総額の表(https://kaikeizine.jp/article/4528/)から読み取れます。大企業の監査には多くの人員が必要とされることから、一概にクライアント数のみで比較することは難しいと言えるかもしれません。