前回は、2年間の旅を終えた後の就職活動についてまとめました。今回は、その上で旅の経験がどう評価されたかについて紹介します。

旅は転職活動においてどう評価されるか?
旅の経験は就職活動においてどのように評価されるのでしょう。ここでもファーム系、事業会社に分けて見ていきます。

〇ファーム系 国内ではあまり影響なし。海外求人ではプラス評価も。
国内ファームでは、人手不足や流動性が高いこともあるのでしょうが、放浪していたことや2年程度のブランクはほぼ気にされませんでした。むしろ重視されるのは前職の経験やスキルであり、従って通常の転職活動と大差ないのではないでしょうか。よってこの場合、旅をしていたことはマイナスにはならず、しかしながらプラスの評価につながるということもない、という印象です。
一方で、旅の経験をプラスに評価するファームもいくつか見受けられ、その多くが海外の求人です。特にミャンマーやベトナムなど東南アジアでは日本の会計人に対する需要が高く、またこういったファームでは語学力やチャレンジ精神等、旅の経験がプラスに評価されるようです。旅好きな人の中には海外で働きたいと思っている人もいるでしょうから、こういった人たちにとっては現実的な選択肢になりえます。
〇事業会社 ほとんどの会社がマイナス評価。しかしながら…

続いて事業会社のケースを見てみましょう。
上記の通り、約2/3の事業会社は書類選考で落ちました。理由はさまざまですが、やはりキャリアのブランクがネックとなることが多かった印象です。
そして残り1/3の事業会社のうち、旅をプラスに評価してくれる会社はほんの数社であり、おおよそ30%程度。それ以外の会社はプラスでもマイナスでもないといった評価でした。全体で見ると、応募したうち5~10%ではプラス評価、90%ではゼロもしくはマイナス評価というところです。会計士資格があるとはいえ、30代になってから2年間自分の好きなことをやって、日本に帰ってきて簡単に大企業で働けるのではないか?というのはいささか虫のいい話のようです。
とは言え、誰でも知っているようなメジャー企業でも、旅のことを非常にプラスに評価してくれる会社もありました。「監査法人経験のみより個性的な経歴の会計士が欲しい」「旅に出た上、ライターの仕事を始めるアグレッシブな姿勢が気に入った」などとありがたい言葉をいただいたこともあります。また現状は売り手市場でもあり、2年海外を放浪したからといって必ずしも大企業から内定が取れない、というわけではないようです。
まとめると、事業会社への就職を考える場合、多くの会社ではマイナス評価、一部ゼロ評価のところもあり、限られた数社がプラスの評価となりました。個人的には、少ないながらも自分の経験を面白がってくれる会社に出会えたことは大きなメリットでした。
余談ではありますが、転職活動をしていて感じたのは、求めている人材は会社ごとに大きく異なり、また必ず相性のようなものがある、ということ。そういった会社と出会うためには、何よりたくさんの企業に応募し、たくさんの採用担当者と話すことが第一歩ではないでしょうか。