国税OB税理士が監修。公認会計士・税理士・会計事務所・企業経理担当、税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

KaikeiZine

注目キーワード

世界一周 その後の選択肢-旅を終えた人は何をしているのか 前編

以前の記事からかなり時間が経ってしまいました。
前回、就職活動において旅の経験はどのように評価されるのか?を書きました。その中では「旅を終えてから日本で就職する」ことを前提としていましたが、そもそも、旅を終えた人はその後何をしているのか?一度、普通の生活から離れてしまって、再び戻ることができるだろうか?旅に興味がある人、特に社会人の方にとっては、こちらも気になるところではないでしょうか。今回は、出会った旅人や自分の経験をもとに、世界一周を終えた人はどんなことをしているのか?について書いていきます。

僕が旅の途中で出会った日本人は、帰国してサラリーパーソンに戻る方もいれば、海外の国際機関で働き始める方もいました。また、もう一度旅に出るという選択をした方もいました。旅の後に何をするのか?そこには多くの選択肢があります。

旅の後の選択肢

まずは、僕が出会った人たちの実例や、旅人から聞いた話をもとに、いくつかのケースをご紹介していきます。

サラリーパーソン

比較的よく聞くのがこのケース。昨今、フリーランスの方が増えているとはいえ、まだまだ日本ではサラリーパーソンの比率が高く、旅を終えた人たちも例外ではないと感じます。

自分自身もそうでしたが、旅をしていると貯蓄がどんどん減っていくことに焦りを感じたり、不透明な将来に不安を覚えたりすることがあります。そういったことが大きなストレスになる人にとって、雇用や収入が比較的安定しているサラリーパーソンは有力な選択肢になるでしょう。

前職と同じ業界に戻る人もいれば、まったく別の業界、職種にチャレンジする人も。中には、以前の会社に請われて、同じ職場に復帰するケースもあるようです。この場合、多少のブランクはあっても比較的スムーズに社会復帰できそうですね。また旅の前に比べて給与が上がったケースもあるようで、旅がキャリアアップにつながる可能性もあると言えそうです。

なお、転職が珍しくなくなっている昨今の状況を鑑みると、20代であればチャンスはいくらでもあるでしょうし、30代でも募集自体はたくさんあります。また、旅人採用という特別枠を設けている会社や、旅人限定の合同説明会などもあるようです。旅の間に培われた語学力、コミュニケーション能力、そしてチャレンジ精神などが求められているのかもしれません。個人的に、こういったルートで入社した方の平均在職年数は気になるところです。

独立開業

自由気ままな旅を終え、再度会社勤めに戻るのは難しそう。そんな人にとって魅力的な選択肢となるのが、個人事業主としての独立開業ではないでしょうか。日本に戻って輸入雑貨のお店を開く人。サラリーパーソンを経て、自分の理想のゲストハウスを作る人。気に入った国の気に入った場所でカフェを開業する人。中には旅を続けながらガイドの仕事を請け負う人もいて、広い意味でこのパターンに該当するかもしれません。

また、先日メディアで知ったのですが、バッグパッカーの講師を生業にする方もいるようです。世の中には様々な仕事があるもので、なるほどと思いました。

好きなことを仕事にするのか、出来ることを仕事にするのか、議論が分かれるところです。それでも、趣味を仕事にした経験がない僕にとって、こういった生き方は羨ましく感じるのが事実です。

ただし独立に関しては、やはりある程度の元手が必要になります。旅を終えた後で十分な貯蓄が残っているとは考えづらく、そうすると一定期間はどこかで働かざるを得ないかもしれません。また、そもそも個人事業のリスクは高めです。独立を決心するには、これらの金銭的、心理的なハードルを越える必要がありそうです。

NGO/NPO

旅をしていると、青年海外協力隊で活躍している日本人、そして、任務を終えて旅に出た元隊員の方にしばしば出会います。僕が出会った医療関係の有資格者の方も協力隊の経験者でした。その方はコスタリカに2年間滞在し、任務が終わった後に旅に出て、帰国後は国際NPO法人に参加し、西アフリカで働くという、なかなか刺激的な生活を送っていました。
また、同じく協力隊を経験した後、旅に出て、途中で訪れたある国のボランティア団体をサポートしている方もいました。

アジア、アフリカ、中南米などではまだまだ援助を必要としている国があります。僕もカンボジアでボランティアに参加しましたが、いろいろな国を訪れて現地の人とコミュニケーションを取るうちに、国際貢献の意識が強くなるのかもしれません。

沈没

僕が学生の頃はインドで沈没などという話をしばしば耳にしましたが、今でも気に入った場所に住み続ける人はいるようです。確かに、僕が訪れた場所でも、パラグアイにある日系人の町、イースター島、ボツワナのチョベ国立公園など、時間とお金が許せばもっと長く滞在したかった場所がたくさんあります。

沈没して何をするかは人それぞれですが、日本で忙しく働いている人にとって、例えば物価の安いビーチリゾートを見つけて1か月、2か月とのんびりする生活は、魅力的に映るのではないでしょうか。

気を付けておきたいこととして、2,30年前と比較すると日本の経済力は相対的に落ちており、以前ほど物価が安いと感じられる国は少なくなっている事実があります。とすると、日本である程度お金を貯めても、長期間の沈没は難しいように思えます。

沈没を経済的にサポートする手段としては、ゲストハウスの住み込みという仕事があるようです。レセプションで働き、宿のWIFIを利用し、あわよくば時差を利用して日本の仕事を請け負う。住む場所とネット回線、そして一定の収入が確保されれば、とりあえずはなんとかなりますし。

なお、一部の国では一定期間滞在すると永住権が取れるところもあるようです。南米のある国ではこの制度を希望して10年以上住み続けている方に出会ったことがありますが、合法ではないような。

放浪を続ける

帰国後、会社勤めに戻ったものの、旅が恋しくなって再度日本を出る方もいます。僕が出会った中でも、世界2周目、3周目と旅を続けていたり、10年近く日本に帰らず旅をしていたり、という方々がいました。

1~2年放浪すると満足する方もいれば、旅の魅力に取りつかれてしまう方もいます。この辺りは経験してみないとわからないところではないでしょうか。

世界一周に限らず、様々なエリアを歩くことを目標としている方もいます。南米で出会った方は数か月間海外を歩き回って、日本に戻り、しばらくしてまた海外に、という生活を続けているそう。驚くことに、アメリカ(合衆国のこと。大陸ではない)を徒歩で南北縦断したとか。バイカーやチャリダーと呼ばれる方はたまに会いますが、ひたすら歩き続けるというのは想像すら難しい。

とは言え、僕が旅をしていた5年前には、四国のお遍路、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの聖地巡礼、南米のインカトレイルなど、巡礼の道が一つの流行だったと記憶しています。まずはお遍路を経験してみたいと思いながら、なかなか実行できていません。

働きながら旅をする

とても羨ましいのが、働きながら旅をする人たち。

バリ島ではノートPC片手にカフェで仕事をする欧米人を何度か見かけました。確かにPCとネット環境があれば完結する仕事を探すのは、そう難しくありません。実際、僕もクラウドソーシングを利用して旅の途中におこづかい稼ぎをしました。単価は安かったけれど、物価の安い国であれば生活費の足しにはなります。

自分の気に入った場所で、時には働き、時には趣味に没頭して日常が過ぎていくのは、一つの理想的な生き方にも思えます。

継続的に受注があり、そしてリモートでもできる仕事を抱えているのであれば、こういったライフスタイルも可能になるのではないでしょうか。

(後編に続く)

 

著者: 石塚皓

旅人会計人

2006年に大学を卒業。事業会社へ就職し、「専門的な技術、知識を得たい」との思いで公認会計士試験の勉強を開始。2009年試験合格とともに監査法人に転職し、4年ほど国内監査業務に従事し2014年に退職。その後約2年間、夫婦で世界一周の旅を経験して帰国した旅人会計人。

ページ先頭へ