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2018年版 中堅監査法人業界動向【1】~大手監査法人と中堅監査法人の比較~

中堅監査法人に注目が集まっています。2018年7月、業務収入5位の太陽と9位の優成が合併。さるアンケート結果によれば、監査法人の中で合併を検討している法人は実に全体の3分の2を占めるなど、今後も大きな業界再編の動きが予想されます。BIG4として知られる「トーマツ」「EY新日本」「あずさ」「PwCあらた」以外の監査法人の動きについて、公認会計士・監査審査会が公表した「平成 30年版モニタリングレポート」の結果からみていきましょう。

公認会計士・監査審査会公表の資料「平成 30年版モニタリングレポート」(以下「レポート」)では、「大手監査法人」「準大手監査法人」「中小規模監査事務所」という区分を設けており、それぞれの定義は、

大手監査法人…上場会社を概ね 100 社以上被監査会社として有し、かつ常勤の監査実施者が 1,000 名以上いる監査法人。本レポートでは、有限責任あずさ監査法人、新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ及び PwC あらた有限責任監査法人の4法人を指す。
準大手監査法人…大手監査法人に準ずる規模の監査法人。本レポートでは、仰星監査法人、三優監査法人、太陽有限責任監査法人、東陽監査法人、PwC京都監査法人及び優成監査法人の6法人を指す。

中小規模監査事務所…大手監査法人及び準大手監査法人以外の監査事務所

となっています(優成は2018年7月に太陽と合併して消滅)。まずは、監査業界におけるBIG4とその他監査法人の対比により業界地図を俯瞰していきましょう。

①人員数

たった4社しかないBIG4と呼ばれる大手監査法人が全体の85%を占めます。なお人員を公認会計士登録者に限ると、下図のようになります。

大手監査法人が全体の76%となっています。人員数の85%という割合に比べれば大手監査法人の占有率は低く、監査以外にも業務が多岐にわたる大手監査法人と業務がほぼ監査に限定される準大手・中小監査法人という傾向が読み取れます。

②業務収入

大手監査法人の占有率は実に87%にも上ります。たった4法人が業界全体の9割近い売上を独占していることがわかります。

③監査クライアント数及び規模

業務収入に比べ、大手監査法人の占有率が下がっています。少ないクライアント数で高い売上を上げている、つまり、大手監査法人が、監査報酬が多い大企業を担当することが多いこと、また監査に限らない様々なサービス提供を行っていることなどが分かります。世界的な大企業は監査に必要となる人員数が非常に多く、大手監査法人以外が受任できないというのが現状です。

大企業を大手監査法人が独占していることは、被監査会社時価総額からも読み取れます。被監査会社の時価総額を合計すると、大手監査法人が占める割合は9割にも上ります。

〇大手から中堅への監査法人変更は増加中

監査法人数は、2018年3月末時点で229法人あり、「BIG4」と呼ばれるわずか1.7%の法人が、人員数も業務収入もほとんどを独占する体制にあることが見て取れる結果となりました。

一方で、大手監査法人から準大手監査法人ないし中小規模監査事務所に変更した法人は増加の一途をたどっており、2017年度には27法人だったのが、2018年度には実に51法人にもなっています。

監査法人を変更した場合、現状ではその理由を「任期満了」とすることが一般的です。しかし、「レポート」を発表した公認会計士・監査審査会が独自にモニタリングした結果、監査法人を変更した本当の理由の最多は「報酬の折り合いがつかなかったこと」だったと発表されています。
これは、監査報酬が年々増加していることが背景にあるといわれており、事実、公認会計士協会が発表した「2019 年版上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書」によれば、「日本企業の監査証明業務報酬平均額は、(中略)2013 年度以降は上昇に転じ、2017 年度まで 5 年連続して対前年比で増加している」と数字にも表れています。

監査報酬の減額を図るため、準大手や中小監査法人に乗り換える例は今後も増えていきそうです。

 

【参考資料】

◆金融庁:公認会計士・監査審査会「平成 30年版モニタリングレポート」https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakensa/kouhyou/20180731/2018_monitoring_report.pdf

◆日本公認会計士協会:「2019年版 上場企業 監査人・監査報酬 実態調査報告書」https://jicpa.or.jp/news/information/2019/20190527dfs.html

 

著者: ハイタアジサイ

ドイツ駐在妻

ドイツで駐在妻生活堪能中のフリーライター、会計人の卵。早稲田大学第一文学部卒。税務専門紙記者や会計事務所での広報などを経験し、専門知識を極めんと仕事の傍ら千葉商科大学会計大学院進学。その後、公認会計士短答式試験に合格するも、妊娠&夫の海外赴任により論文試験は一年で放棄、ドイツへ。「一応MBA持ち」「一応修士号持ち」「公認会計士短答式だけ合格」など微妙な肩書コレクター。2児の母。

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