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【編集長インタビュー】東京共同会計事務所 専門分野で業界No.1を目指す(後編) その組織づくりと人材育成方針とは

前編では、次なる事業の柱とすべく、EPA(経済連携協定)関連サービスへの取り組みを伺った。後編では、成長に伴い拡大する組織の構築をどう考えているのか、代表パートナーの内山隆太郎氏と人事部門スーパーバイザーの田辺健一氏に、今後の展望や課題などを宮口貴志編集長が聞いた。

【後編】代表パートナー 公認会計士・税理士 内山隆太郎 氏(写真右)
アドミニストレーション部人事スーパーバイザー 田辺健一 氏(写真左)

従業員数が数名の小規模組織が多い会計事務所業界において、金融関連分野における会計・税務、財務に関する専門性の高いコンサルティング・サービスからスタートし、200名を超える規模まで成長した東京共同会計事務所。拡大する事業に見合った組織づくりや従業員の教育、また、近年見られる働き方改革などの世の中のトレンドの変化への対応など、成長する組織が向き合わなければならないテーマは多い。200名を超えるメンバーを有する東京共同会計事務所のトップはどのように考えているのだろうか。

ー従業員数が200名を超えてくると組織体制をどうすべきかも一層重要になります。サービス内容で部門を分けて業務を行う会計ファームも多いと思いますが、貴所ではいかがでしょうか。

代表パートナー 公認会計士・税理士 内山隆太郎 氏

内山:部門は基本的にはサービスで分かれています。ただ、これからの時代、縦割りでは、事務所の真の力は出ないと思っています。日々の仕事はラインに従ってやることが、どの事務所でも多いはずです。ここをそのままにしておくと、次第に縦割りが深くなり、横の交わりがなくなります。

当事務所でも最近は仕事がより高度になってきて多角的知見を要求されることが増えてきましたので、組織が本当に縦割りに割れてしまわないように、横連携をかなり意識した組織作りに取り組んでいます。

ー部門を超えた横の連携としてオフィスをフリーアドレス化するという選択肢もありますが、貴所ではどうでしょうか。

内山:当事務所の既存業務、特にSPC業務では、メンバーが連携してクライアントのSPCの管理を行いますので、フリーアドレスで日々働く場所が変わってしまうと、品質管理や効率面で必ずしも良いとは言えない部分もあると考えています。

一方でテクノロジーを活用してオペレーションを行うというのはかなり進化するはずで、ここは意欲的に取り組んでいくつもりです。結果として、フリーアドレスよりも、テレワークなど機動的に仕事ができるようにするといった施策が先に実現されていくかもしれません。

ー世間では「働き方改革」が大きなトレンドとなっていますが、貴所の対応はどうでしょうか。

内山:少しずつ進めています。ただ、公認会計士や税理士などのプロフェッショナル集団としてビジネスを行っていくにあたり、そこで働くスタッフも、専門家としての実力アップを常に図らなければなりません。

そのためには、日々の知識の習得に加えて、経験値を上げていくことも同時に行う必要があります。実力を磨くために、ワークライフバランスをとりながら、経験を積むことが不可欠です。昔はコンサルタントと言えば、深夜までの残業、休日出勤などが当たり前で、否応なしに知識・経験を積める仕組みになっていました。しかし、働き方改革が進み、専門家として力をつけていくには、自身の管理能力も求められるようになってきています。そういった意味では、時間を気にせずがむしゃらに働けた昔より現在の方が大変かもしれませんが、事務所としては時代にあった職場環境を構築していきたいと考えています。

アドミニストレーション部人事スーパーバイザー 田辺健一 氏

田辺:働き方改革を進めるにあたり、課題となるのは「業務時間管理」と「休暇取得」です。

内山の「少しずつ進めている」という点の補足をしますと、「業務時間管理」は法令の施行にあたり、早々に検討を始めましたが、その時点でほとんど法令を遵守している状況だったため、課題となる点は、そもそも、あまり多くありませんでした。とはいえ、一部の方々については課題が残っています。ただ、適正な範囲であれば、残業すること自体は悪いわけではありません。もちろん法令を守るための意識改革や勤怠管理はしっかり行うべく、全社的に意識付けは進めていますが、会計事務所ではメンバー個々の実力こそがもっとも誇れる商品です。お客様が満足するサービスを提供するため、個々の価値を高めるために、多少集中して業務を行わないと成長しないこともあると考えています。

ー休暇の取得についていかがですか。

田辺:年々取得率は上がってきてはいますが、こちらも一部の方々について課題が残っています。

また、所員に好評な弊所独自の制度に「1時間単位の休暇取得制度」があるのですが、その制度で取得した休暇は今回の働き方改革関連法では「年間5日間の有休取得」にカウントされないため、1日単位での取得を推進するための意識改革を進めています。こちらもしっかり管理し、取得してもらう予定です。

このように事務所としての考えや既存の制度と世の中の流れをバランス良く意識しながら、1年を通じて業務改革を進め、課題解決や勤務環境の向上に向けて進めて行きたいと思っています。

事務所全体のレベルが上がってくれば、仕事が分散されて一人に仕事が集中することがなくなります。そうなれば、全体的にも勤務環境が良くなってくるものと思います。

ー組織が拡大する中で従業員教育も重要になってきますが、教育制度への取組みはどのようにされていますか。

内山:教育制度は、まだ満足のいく内容とはいえませんが、良いものも幾つかあります。3つ例を挙げますと、1つ目は当事務所の開設以来行っている夏冬の宿泊研修です。会計・税務のコンサルティング部門を中心に、2泊3日で行っています。テーマを1つ決め、発表者と質問者がいて、そこに当事務所のスタッフ20名程度、国税当局OBや社外の弁護士、他の事務所の専門家の方々など10名程度が加わりまして、質疑応答とディスカッションを行います。これは非常にいいものの1つだと思って続けています。

ーキャリアの違う専門家や他士業とディスカッションを行うことは、実務能力を高めていくにあたり貴重な研修ですね。

内山:2つ目は証券化・SPCの部門で行っている通称「24回研修」です。証券化に関する法務、会計に関する重要項目を24コマに分け、1年を通じて繰り返し研修を行います。重要項目がそう簡単に変わるわけではありませんから、翌年も同じテーマでの研修が行われることもありますが、同じものを繰り返し学ぶことに価値があると思っています。と言いますのも、実力や興味度合いという受講者側の要因によって、今年分からなかったところが、来年もう1回聞くと分かるようになるということが少なくないからです。

現在のように、時代とサービスの質が変化していくときには、普段の仕事に照らして発展的な勉強を予めしておかないとその流れについていけないと思っています。この研修も、実は、そういった変化を考慮しながら教育がされるロジックになっていまして、こういった研修が安定的に走っていることによって、いざその変化が来たときに、メンバーも比較的すばやく対応ができるであろう、と思っています。

3つ目は、社外研修に対して90~100%の会社補助を出している点です。勤務時間内に会社のお金で好きな研修を受けられるのは、スタッフにとっては非常に良い制度だと思っています。

ーサービスの品質や従業員の専門性を重視されている点が制度から伝わってきます。逆に、課題に感じておられることはありますでしょうか?

内山:現在足りないことをいくつか挙げますと、まず、部門によってはOJTの中で色々な業務の刺激を受ける機会が少なくなっているような気がします。組織や業務が整備されてきたことによって、副作用としてルーティン業務が多く刺激が足りない部署がおそらくあるだろう、ということです。また、前述の通り研修などを含め、さまざまな専門知識をインプットできる機会は設けていますが、組織が大きくなったことによって、昔のように部門やチームを横断して業務に大胆に取り組める機会が減り、せっかくインプットした知識を実務でクライアントにアウトプットする機会も以前ほど多くなくなってしまったというのも、かなり大きな問題点の1つだと感じています。

組織や人材が成長すればしたで、悩みは尽きませんが、教育制度やキャリア構築については、スタッフの定着性にもつながりますので、取り組んでいくべき重要な課題であると考えています。

ーありがとうございました。組織構築、従業員教育のいずれに関しても現状に満足せず課題も意識しながら改善に取り組んでおられるとのこと。貴所の今後への期待が高まりました。


東京共同会計事務所
1993年設立 212名(2019年7月現在)


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著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/
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https://kaikeizine.jp/

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