3月1日に閣議決定され、国会に提出された公認会計士法の改正案。そのなかに、公認会計士の資格要件である実務経験が「2年以上」から「3年以上」に変更される内容が盛り込まれている。グローバルスタンダードに合わせての改正のようだが、現状の2年で何か問題があったのか、「今更・・・」と思うのは私だけではないと思う。
今回の改正案には、公認会計士の資格要件である実務経験が「2年以上」から「3年以上」とする内容が盛り込まれた。
現行の公認会計士法上では、公認会計士となる資格を得るためには、公認会計士試験への合格および実務補習の修了のほか、2年以上の実務経験を有することが求められている(公認会計士法第 3 条)。
そもそも実務経験「2年以上」というのは、1948 年の公認会計士法制定時にイギリスの公認会計士制度を参考したとされる。イギリスではこのころ、公認会計士試験の第三次試験の受験要件として2年を超える実務経験が求められていた。
ところが、近年、職業会計士志望者向けの初期専門能力開発を定める国際教育基準(IES)第5号では、3年の実務経験を求めることを例示しており、イギリスやドイツなど欧州各国は、3年以上の実務経験要件が設けられていることから、日本も今回、グローバススタンダードに足並みを揃えべく「3年以上」に変更するとしているのだ。
2022 年1月4日の金融審議会「公認会計士制度部会」報告によれば、
「高品質な会計監査を実施するためには、監査に関わる制度や基準の内容の理解に加えて、それを監査の現場で運用・適用する能力も求められるところ、実務経験は、そうした能力を磨くための重要な機会となっている。こうした中、実務経験の期間については、① 企業活動のグローバル化や業務内容の複雑化・専門化が進み、監査基準も高度化する中、監査の現場でこれに対応できる能力を養う観点から、実務経験を通じて学ぶ知見の重要性が高まっている。② 国際的に見ると、職業会計士志望者向けの初期専門能力開発を定める国際教育基準(IES)34第5号では、3年の実務経験を求めることを例示しており、欧州の各国では、3年以上の実務経験要件が設けられている。これらを踏まえ、公認会計士の資格要件である実務経験の期間について、現行の「2年以上」を「3年以上」と見直すこととすべきである」
とされている。