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【編集長インタビュー】東京共同会計事務所 専門分野で業界No.1を目指す(前編) 成長性・バラエティに富んだビジネスに挑戦

不動産証券化ビジネスにおけるSPC(特別目的会社)管理などで急成長を遂げた東京共同会計事務所(東京・千代田区、代表パートナー=内山隆太郎公認会計士・税理士)。ここ数年では、新規ビジネスを軌道に乗せ、SPC・証券化だけに依存しない事務所へと変貌を遂げつつある。常に新規ビジネスへの挑戦と、既存ビジネスの改善に取り組む代表パートナーの内山氏に、今後の方向性と事務所経営の課題などを宮口貴志編集長が聞いた。

【前編】代表パートナー 公認会計士・税理士 内山隆太郎 氏(写真左)

中小企業の記帳代行や決算支援、税務代理などの一般的な会計事務所が提供するサービスとは異なるサービスを提供している東京共同会計事務所。設立以来、金融関連分野における会計・税務、財務に関する専門性の高いコンサルティング・サービスを中心に据え、SPCを活用した証券化ビジネスにパイオニアとして取り組むなど、証券化分野を中心に数多くの実績を残している

また、近年では、FASやコンサルティング分野へも進出。M&Aアドバイザリーやウェルス・マネジメント、国際税務などの分野でも成長著しい。そして、関税関連の新たなサービスをビジネスの柱に据えるべく、EPA分野のパイオニアとして会計事務所業界で改めて、その存在感を増し始めようとしている。

ー貴所が提供されているサービスは「ストラクチャード・ファイナンス」の会計・税務コンサルティング、SPCなどのビーグル管理、そして、コーポレートファイナンス、ウェルネスマネジメント、国際税務などさまざまですが、この数年、これらの中で変化しているものはありますか。

内山:社会状況や企業ニーズにより、提供している各サービスは常に変化しています。伝統的なSPC業務においても、良い面でも悪い面でも変化が見られますし、近年手掛けるようになったビジネスに関してはもちろん言うまでもありませんが、全体的に常に変化しながら進んでいる印象があります。

ーSPC関係の変化とは、どのようなことですか。

内山:SPCは、20年も続いてきた既存のビジネスの延長線上では、そろそろ大きな広がりを期待できる状況にはないと思っています。個人的には、証券化における代表的なアセットである不動産は値段が高止まりし、案件の利回りが小さくなっているように感じていますし、また、再生エネルギー関連では、太陽光発電に最も関与しているのですが、制度改革でこれ以上の成長は難しいと感じています。

このようにマーケット全体は楽観視できる環境ではないのですが、そのような中でも当事務所は、マーケット全体の寡占化の流れに乗ってシェアを広げることに成功し、証券化を安定基盤となるビジネスへと成長させてきました。

とはいうものの、これからはいよいよ、既存の仕事だけでは成長に限界がくるのではないかと考えています。

ー対応策としてはどのようなことを考えていますか。

内山:同じSPCの“管理業務”でも、事務管理だけではなく、例えばアセットマネジメント業務まで受託するなど、もう少し広く考えてサービスを提供していくことによって、1件当たりの収益性も高くなると思っています。この部分は比較的取り組みやすいので、まずはそのようにSPC業務の質を変化させていこうと思っています。

また、これまでの証券化ビジネスでは、不動産や金銭債権などのアセットが中心でしたが、アセットクラスを変え、ベンチャーキャピタルファンドやプライベートエクイティファンド、事業承継ファンドなどの管理にも幅を広げていければと考えています。

これらは一例ですが、今までと少し違ったサービスの提供、違うアセットクラスへの関与など、新たな切り口で周辺ビジネスに取り組むことで、今までより収益性の高いビジネスへと変化させ、SPC分野においてもまだまだ事業拡大は狙うことができるのではないかと考えています。

さらには、ビジネスとしての成長性や、仕事のバラエティの拡大などを達成していけば、現場スタッフもより大きなやり甲斐を持って仕事に取り組んでいける効果も出てくると考えています。

ーここ数年、M&Aアドバイザリーやウェルスマネジメント、国際税務などの、コンサルティングやFAS関連のサービスも拡大されてきています。

内山:当事務所には証券化分野を専門としてきた強みや競争優位性がありますが、リーマンショックなどの景気の変動を経て、今後、より安定的に事務所を成長させていくためには、証券化だけに頼った“一本足”のビジネスからの脱却も必要と考えるようになりました。

そこで、「高品質で高付加価値」という当事務所の得意とするスタイルを活かせるであろう、M&Aや国際税務など高い専門性が必要とされる領域を中心にサービスの拡大を図ってきました。まだ発展途上ですが、優秀なメンバーも増え、実績も積み上がってきています。

ー関税分野のEPA(経済連携協定)関連のサービスに取り組み始めておられますね。いつごろから取り組んでいるのですか?

内山:6~7年前から取り組んでいます。きっかけは、国際税務分野でどの会計事務所も手を付けていない、No1になれる事業に取り組もうと考えたからです。国際税務に関しては長年取り組んできていたものの、アウトバウンド領域ではBig4会計事務所が常に上位にいます。

これを打破しようと考えた際、最も可能性があるのが間接税の領域と考え、EPAにたどり着きました。国際税務でBig4に肩を並べるには、まずは一つの分野で完全に上回ることが必須です。そして、そこを突破口に国際税務のビジネス領域を広げ、知名度アップを図っていきたいと考えています。

ーEPA関連ではどのようなサービスを提供しているのですか。

内山:ひと言でいうと、輸出にかかる税金を下げるのを手伝う業務です。外国での輸入通関の際には、通常は輸入国が定める関税を支払います。関税率は、WTOで決められた原則に基づき、ほぼすべての国に対して共通の税率が適用されます。これをMFN(Most-Favored-Nation=最恵国)税率と呼びますが、EPAで特定原産地証明書を取得することで、MFN税率より有利なEPA税率の適用となり、輸入者では輸入関税コストの削減が図れるというメリットを享受できます。輸出者としては、小売価格を下げることで、販売量の増加などのメリットがあります。

これら関税のメリットを受けるためには、「第三者証明制度」「自己証明制度」などの手続き及び管理が不可欠なのですが、この部分をサポートするのが、当社が現在手掛ける「EPA」サービスです。

ーEPAのチームは現在何名くらいで構成されているのでしょうか?

内山:現在は15~20名ですが、今年1年で40~50名体制へと拡大できればと考えています。

ー関税関係のサービスとなると、どのような人材が働いているのでしょうか?

内山:お客様は貿易実務を行っている方々なので、これまでは通関業務の経験がある人材を中心に採用してきていました。現在は、IT系のコンサルタントの層を厚くしています。人材が揃い事業が発展してくると、採用したい人材も変わってきます。

EPA業務では、輸出に係る物品が誰から仕入れたどういった物で構成されているかなど、データで辿って正確な情報を把握していく必要があるため、関税のテクニカルな専門的知識を持つ人材に加えて、IT関連の専門人材も必要としているのです。

ー従来の会計事務所にはいない人材を採用しなければならないため、採用活動も大変な印象を受けます。

内山:比較的早いペースで事業が進んでいるので、採用とその後の教育、定着の部分はかなり注意して取り組んでいます。リクルートは当面、当事務所で最も重要な経営課題です。

ー人員を増やしていく方針とのことですが、EPA関連の受注の状況はいかがでしょう。

内山:現在は、先行投資の段階にありますが、海外に製造や販売拠点を持つグローバル企業などからの問い合わせや実際に仕事の依頼をいただくなど、十分に手応えは感じています。また、経済産業省からEPAに基づく原産地証明制度の支援業務を受託しており、セミナーの開催や相談窓口の運営を行っています。

ーそれは大きな実績ですね。

内山:そうですね。行政関連のプロジェクトを受託できるということは、これまで取り組んできたことがひとつの成果として出たものと思っています。こういった実績やここで培ったノウハウを活かして、これからさらなる拡大を目指していくつもりです。

ー証券化、FAS・コンサルティングに続くサービスとして、EPAサービスの今後に期待できそうです。


東京共同会計事務所
1993年設立 212名(2019年7月現在)


<関連記事>【編集長インタビュー】東京共同会計事務所 専門分野で業界No.1を目指す(後編) その組織づくりと人材育成方針とは

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/
■KaikeiZine
https://kaikeizine.jp/

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