企業の大規模化や、IFRS適用企業の増加といった状況を受け、準大手のみならず、中小事務所でもグローバルな会計事務所のネットワークに参加したり、提携を進めたりする法人が増えています。今回はグローバルネットワークと提携ファームについて分析します。

世界最大の国際会計事務所PwCと組む京都

グローバルな会計の専門誌『International Accounting Bulletin』のデータをもとに、各法人が参加するネットワークファーム、もしくは提携先のファーム等と、それらの収入ランキングを見てみましょう。

※7:economia「PwC replaces Deloitte as world’s largest firm(2016/2/3)より(http://economia.icaew.com/en/news/february-2016/pwc-back-as-largest-firm-in-the-world) ※8:10位未満のため、ランク外となっている。

上記で目を引くのは、世界最大の会計事務所であるPwCのグローバルネットワークに参加するPwC京都。これは大手監査法人の一つPwCあらたと同じであり、いずれも旧中央青山から独立したというルーツを持つ点で共通しています。

その他、BIG4(PwCの他、Deloitte、Ernst & Young、KPMGの4大国際会計事務所を指し、日本の大手監査法人がそれぞれのネットワークに参加している)に次ぐ第5位BDOには東陽及び三優の2法人が参加。また中堅の中でトップクラスの規模を誇る太陽7位Grant Thorntonに参加しています。仰星、優成含め、準大手がトップ10以内のネットワークファームに参加しているのに対し、ここでとりあげた中小はいずれも11位以降の会計事務所と提携等していることから、この辺りも実質的に準大手と中小を分ける点と言えるかもしれません。

また指摘しておきたいのがBIG4と、それ以外の国際会計事務所との差。4位KPMGでさえ244億ドルの収入を記録しており、73億ドル5位BDOとは大きな差がついています。日本と同様、上位4事務所とそれ以外では大きく規模が異なるようです。

まとめ

以上、大手監査法人と中堅監査法人の規模の比較から、人員、クライアント数での中堅法人のランキング、そして所属するネットワークファーム等の収入ランキングを見てきました。

ひと口に中堅監査法人と言っても規模はさまざまであることを理解していただけたと思います。

監査法人業界では合従連衡が続いており、ここでは取り上げていませんが2016年7月に合併した明治アーク監査法人、そして清陽監査法人などが規模を拡大しています。上述の通り、IFRSの導入や大企業の監査業務を考えると監査法人/会計事務所も変化せざるを得ません。そして規模の比較的小さい準大手監査法人、中小監査事務所はこれからダイナミックに動かざるを得ないと考えられ、その意味で今後が注目されるのではないでしょうか。

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【参考資料】
・公認会計士・監査審査会、2016年、「監査事務所の概況 (平成 28 年版モニタリングレポート)」(http://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakensa/kouhyou/20160729/02.pdf#search=%27%E7%9B%A3%E6%9F%BB%E6%B3%95%E4%BA%BA+%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%27
・各監査法人/監査事務所HP
・新日本有限責任監査法人、2016年、「第17期 業務及び財産の状況に関する説明書類」
・economia、2016/2/3、「PwC replaces Deloitte as world’s largest firm」(http://economia.icaew.com/en/news/february-2016/pwc-back-as-largest-firm-in-the-world