場所や組織に縛られず、自分らしさを大切にしながら「楽しい」士業の未来を仲間とともに描く。しかも、関西でのfreee顧客件数は11年連続No.1 ── そんな士業チーム「Evergrow」がお届けするリレー連載の最終回は、Evergrowを主宰する公認会計士・税理士の小松秀一朗氏が、「組織よりも個」を大切にするユニークな組織の在り方について深掘りします。
この記事の目次

小松秀一朗
公認会計士・税理士。2007年に公認会計士試験合格後、監査法人勤務を経て2013年に独立。クラウド会計freeeとWeb会議を活用した全国対応の会計税務顧問サービスを展開。現在は、独立した15名の会計士・税理士で構成される士業チーム「Evergrow」を主宰。3児の父として、旅をしながら仕事を楽しむライフスタイルを実践中。
2025年4月末時点で「Evergrow」としてのfreee導入件数は1300社を超え、freeeを使った税務顧問件数は全国でもトップクラスを誇る。
※この連載は、「すべてのスモールビジネスを支える統合型経営プラットフォーム」を掲げるfreeeの協力でお送りしています
Evergrowは、15名の独立した公認会計士・税理士を中心に構成されるチームです。
利益を目的とせず、所属するメンバー1人ひとりが、家族やお客様、そして仲間たちと“楽しく成長していくこと”を何より大切にしています。
この連載では、「個の自由から始まる、新しい働き方」という視点から、3回にわたってお話をしてきました。
Evergrowという士業のチーム 士業の自由な働き方
第1回:好きな場所で、好きな人と、好きな仕事をする
第2回:独立開業1年目のリアル
第3回:独立から3年 ── 顧客ゼロから全国70社へ
多くの方から「ポスト資本主義的な働き方だと感じました」という共感の声をいただき、その反響が本当にうれしかったです。
最終回となる今回は、「自由に働く」という生き方そのものを軸に、Evergrowの仕組みや組織として大切にしている考え方、そして僕たちが集まる「秘密基地」についても触れたいと思います。
これまでのリレー連載で紹介してきた働き方は、いままさにEvergrowの全メンバーが実現している働き方です。
これらを読んでいただいた方がより前向きな気持ちになり、そしてこのような働き方ができる「会計業界」もまた素敵な業界だな、と思ってもらえたら最高にうれしいです。
1. 個の自由から始まる働き方 —— “楽しく生きる”を仕事にする
学生の頃、「海を見たいと思ったときに、電車に乗れる勇気が欲しい」と書いている本を見つけました。
そのときから、僕は「海を見たいと思ったら、すぐに海に行こう!」と思ってやってきました。
「やりたい」と思ったそのときに、すぐに動けるかどうか。それが、僕の考える「楽しく生きる」のはじまりです。
ちなみに、大阪湾を見たいとは思わなかったので、結局沖縄まで行っていましたが(笑)。
Evergrowはいわゆる会計事務所連合体です。
でも、会社を大きくするとか、利益を上げたいとか、そういう目標は全くありません。
大切にしているのは、「どう働くか」ではなく「どう生きたいか」。「組織をどうしたいか」よりも「個がどう生きたいか」です。
そして、「自分が楽しいと思えることを、仕事にできているかどうか」。
その「楽しい」をさらに深めたいと、自ら努力できるかどうか。それが大切だと考えています。
自由にやればいい。
従うべきマニュアルなんてない。
自分の信じた信念を貫けばいい。
いろいろな人の「格好いい」と思うことを真似していけばいい。
その真似が、いつのまにか自分自身の「格好いい」になっていく。
それが「個性」になるんだと、僕は思っています。
そして会社は、その「個性」で生きようとする人たちが学び合い、ともに成長する場所であればいい。
やりたくないことを「会社のために」と割り切って自分の時間を犠牲にするのではなく、自分自身の成長のために時間を使えばいい。
会社の利益のために誰かが我慢する必要はない。
それぞれが「格好いいと思える生き方」や「楽しいと思える働き方」を大切にし、その実践の場として会社が存在すればいい。
メンバー1人ひとりが望む成長を第一にできれば、会社としての成長は自然とついてきます。
そして、そのような人たちが集まれば、同じ想いを持つ仲間もおのずと集まってきます。
その姿を、僕たちはメンバーとともに、少しずつ実践できるようになってきました。
これが、Evergrowという組織です。
2. Evergrowが考えるDX化と組織論
「DX化を進めよう」「分担しよう」「属人化しない仕組みを作ろう」。
これは経営や組織運営の基本論としてはその通りだと思います。
効率化や画一化された仕組みを突き詰めること自体は、もちろん悪いことではありません。
汎用的なサービスなら、そのほうが正確です。
けれど、税務顧問という「人の人生」に寄り添う仕事に、誰に対しても同じサービスなんていらない。
むしろ、それぞれが自分らしく築き上げた「格好いい個性」で、お客様と誠実に向き合えばいい。
効率化を突き詰めるあまり、人とのつながりまで薄まってしまうのは違う。
僕はそう思っています。
Evergrowが大切にしているのは、1対1の本音のコミュニケーションです。
お客様の家族構成も、パートナーとの出会いも、お子さんの成長も、そして働かれている従業員の方々の性格もよく知っています。
お客様それぞれが置かれた環境が違えば、ビジネスとして進むべき方向も必ず違う。
だから数字だけ追っていても、本当に大切な「自分の想い」は相手に伝えられない。
人間関係だけは非効率で構わない。
このコミュニケーションがお客様との関係をより深いものにしてくれるだけでなく、いろいろな生き方やビジネスの進め方を学べる有意義な時間になるのです。
DXによって場所も時間も自由になったいまだからこそ、より深く「人とのつながり」を持つ時間を作れるようになったのです。
よくこんな話をします。
顧問料が年間20万円の会社に、20万円以上のコストをかけて会いに行くことがある。それって無駄なのでしょうか。
僕はそうは思わない。
そこで生まれるつながりや成長、その地方や環境を通して得た経験、何よりそこで生まれる楽しい思い出があるなら、それは自己投資になる。
それが将来的には大きな価値になると思います。
このようにやりたい生き方や働き方を実現するために、自然発生的に使っていくのがDXだと思っています。
だから紙でのやり方が決してダメだとは思わないし、むしろ慣れ親しんだそれを好むことも良いと思います。
僕自身は、「楽しく生きるための時間の余裕を生む方法」としてITツールを使っているに過ぎません。
それが正解かどうかはわからない。知らないだけで、さらに効率的な方法はあると思う。
だから、誰かに強制する気もないです。
組織に対する考え方も同じです。
会社のやり方にあわせて我慢する生き方ではなく、おのおのがやりたいようにやって組織は自然に形作られていけばいい。
「格好いい」と思う努力の仕方で成長していけばいい。
特に僕らのようなサービス業に、唯一の答えや正解なんて存在しない。
仲間たちの成長に刺激を受けながら、自分自身の「格好いい」を表現していってくれたらうれしい、そう思っています。
そして、会社が強くなることを目的にするのではなく、メンバーが個々に成長し、その結果どのような未来が訪れるのか —— それを楽しみにできればいいと思います。
だからこそ僕は、成長をともにするメンバーはしっかりと選びたいと思っています。誰でもいいわけではない。
その基準は、「家族とお客様を大事にできるかどうか」。
その先に、「自分にとっての楽しいがあるかどうか」。
そのための「努力」ができるかどうか。
人は集めるものではなく、楽しそうにやっている場所に自然と集まってくる。
これはメンバーだけの話ではなく、お客様もまた同じだと考えています。
Evergrowは、「つながって、育ち合う」チームです。これが、僕たちが目指しているあり方です。
「組織をどうしたいか」よりも、「個がどう生きたいか」。
その個が集まって、組織として評価されたとき、これまでにない世界が見える、と思っています。
そして、それは絶対に僕ひとりの“個”では、たどり着けなかった場所です。
「個が自由にやる」ことを積み重ねた先に見える世界。
それが、Evergrowの描く未来です。





