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第3回 頭の痛い高齢者の財産管理:突然の入院に備えておくべきこと(1)保証人

突然の入院は誰もが動揺するものです。高齢者の場合、本人の健康に関わることはもちろん、生活やお金の面でも“高齢者ならでは”の対応が必要となります。その人が認知症であれば、最悪の場合、入院を断られる可能性もないとはいえません。
今回は、高齢者が入院・手術をする際に病院側から求められる「保証人を立てること」について紹介します。

高齢者の場合、手術や病状の急変などにより、本人の意識がなくなったり、会話すらおぼつかない状態になることがあります。体の自由が利かないことに加えて、判断能力が低下してしまうこともしばしばです。こうした事態に備えて、入院時には、一人または複数の保証人(身元引受人・連帯保証人)を立てることが必要です。

■入院時には保証人が必要

入院する際、多くの病院では「保証人を立てること」が求められます。病院によっては、複数の保証人が必要なケースもあります。また、人数だけでなく「身元引受人は家族など同一世帯の人、連帯保証人は別世帯で支払能力を有する成年者(独立生計を営む人)」「年齢制限」などの条件が付くこともあり、たとえば、一人っ子が親の面倒を見ている場合、「自分だけでは親を入院させることができない」といった事態も起こり得るのです。

入院時に保証人が必要な理由は3つあります。

1つ目は、患者本人に意識がないときに、治療内容や治療方針について説明を聞き、同意する人が必要だからです。このほか、保証人には入院生活で必要な身のまわりの世話や各種手続きを行う役割や、退院後の患者の行き先を探すことも求められます。このような役割を「身上看護」といいます。

高齢者の場合、治療や手術が終わっても、すぐには元のように生活できないケースがほとんどです。だからといって、治療が終わった患者をそのまま入院させておくことはできません。公的医療保険制度の度重なる改正により、入院治療の必要がない人が帰る場所がないことを理由に入院を続ける「社会的入院」ができなくなったのです。面倒を見てくれる家族がいれば自宅に戻れますが、同居家族が高齢だったり、働いている場合には、保証人が療養型の病院や介護施設などを探さなければなりません。

2つ目は、医療費を確実に回収するためです。患者さんの収入や資産がどれくらいあるかは、病院では分かりません。たとえ資産があっても、患者本人が動けない状態では、医療費を支払ってもらえないかもしれません。このような医療費の未回収を減らすための「支払保証」も保証人の役割のひとつです。

3つ目は、万一患者が亡くなったときの遺体や荷物の引き取りなどをする「死後整理」のためです。たとえ命に関わるような病気ではないとしても、容体が急変することがあるかもしれません。

≪入院時の保証人に求められる主な役割≫

「①身上看護」と「③死後整理」の役割を担う身元引受人と「②支払保証」を行う連帯保証人は別の人を指定するよう取り決めている病院もあります。

若ければ、多めに保証金を預けておくことで、保証人を免除されることもあります。しかし高齢者(一般には65歳以上)の特性として、入院や手術の後は「せん妄」状態になることがあるため、お金だけでは解決できない問題が起こりやすいのです。

「せん妄」とは、病気や薬の投与、環境の変化などにより、一種の混乱状態に陥ってしまうことをいいます。脳が混乱状態にあるため、暴れたり、幻覚を見たりすることもあります。「せん妄」は認知症とは異なり、回復することもあるそうですが、その症状が急激に出ることから家族や病院職員も対応に困ってしまうのです。

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