EY税理士法人とEYストラテジー・アンド・コンサルティングが共同で立ち上げたジョイントベンチャー、Family Consulting Organization(FCO)。
オーナー企業・創業家にとって「プライベートバンカー」のように寄り添いながら、税務に強いという点で独自のポジションを築いています。
ファミリービジネスの承継、資産管理、国際税務──。オーナー一族の人生の意思決定に寄り添うプロフェッショナル集団として、今、急速に存在感を高めています。
1本目の記事では、パートナー陣にEYFCOの狙い・ビジョン・今後の展開を語っていただきました。本記事ではその続編として、現場で実務を担う3名のメンバーに、業務のリアル、働き方、そしてこの領域で働く面白さを伺います。

この記事の目次

1本目はこちら ファミリービジネスの100年を支える──部門責任者が語る支援の本質


今回お話を伺ったのは、オーナー企業・創業家の税務アドバイザリーの現場で活躍する3名です。

監査、M&A、法人税──それぞれ異なるキャリアを経て集まったメンバーで、バックグラウンドの多様さがこの部署の特徴でもあります。

F.K氏(女性)
公認会計士 税理士 マネージャー
EY新日本有限責任監査法人で監査・会計アドバイザリーを経験。
その後、他税理士法人のオーナー向け税務の部署でキャリアを積み、現部門へ参画。

M.T氏(男性)
公認会計士 アシスタントマネージャー
監査法人で監査業務に従事したのち、総合系コンサルティングファームグループのFAS(ファイナンシャルアドバイザリー)部門にてM&Aアドバイザリー業務を経験。企業価値評価や財務DDを担当する中で、税務の重要性を感じ、当チームへ。

S.K氏(男性)
税理士 アシスタントマネージャー
EY税理士法人に新卒入社し、法人の申告業務を経験。その後、他のBig4ファームにて経験を積み、再びEYに参画。法人税等の王道キャリアから、オーナー一族に寄り添う税務へと軸足を移した。

オーナー一族の人生の意思決定に寄り添う仕事へ──3名がオーナー企業・創業家の税務アドバイザリーを選んだ理由

■皆さんそれぞれのキャリアを歩まれてきて、当部門に入ったきっかけ、どこに魅力を感じたかなどを教えてください。

S:私は新卒でEY税理士法人に入り、主に法人に対する申告業務を担当していました。いわゆる大企業向けの王道の税務ですね。
その後、別のBig4を経験してEYに戻ってきたのですが、法人税の業務を続ける中で「もっとオーナーに近い距離で仕事がしたい」という思いが強くなっていきました。
ちょうど大学院に通っていた時期に、同じゼミにこのチームで働いているメンバーがおり、「オーナー一族に寄り添いながら、事業承継や財産承継を支える仕事がある」と聞いて、純粋に面白そうだと感じました。
Big4の中でも、個人オーナーにここまで深く関われる部署は限られているので、大きな魅力を感じました。

M:私のキャリアのスタートは他Big4の監査法人です。その後、他ファームにてM&Aアドバイザリーに携わり、企業価値評価や財務デューデリジェンスなど、ずっと会計の世界で仕事をしていました。
オーナー企業の売却支援をする際、オーナー一族と直接コミュニケーションを取る中で気づいたのが、「オーナーが本当に知りたいのは、会計上の数字よりも、税務的にどう動けば効率がいいか、手元に残る資産をどのように最大化できるか」という点でした。

F:わかります。オーナーの方って、会計よりも税務の意思決定に関心が高いですよね。

M:タックスの観点がオーナーの意思決定に強く響く場面を何度も見て、「自分がやりたいのはこちらだな」と思うようになりました。
親族外の承継という形でM&Aに関わっていましたが、親族内承継でタックス領域に舵を切ってみようと。

F:私も似ています。EYの監査法人に新卒で入社してキャリアをスタートし、監査や会計アドバイザリーを経験した後、別の税理士法人でオーナー向け税務に移りました。
初めて「オーナーの悩みを税務の切り口で解決する」という仕事に触れ、幅広い税務領域を扱えることに魅力を感じました。
法人税だけでなく、相続税、所得税、国際税務──。
オーナーの悩みは多岐にわたるため、税務の知識を総合的に使って支援できる点がとても面白いです。
せっかく税務業務をやるなら、幅広く解決できる環境で自分を研鑽したいと思ってチームに加わりました。

S:バックグラウンドが違うメンバーが集まっているのが面白いですよね。
監査、M&A、法人税──それぞれが違う視点を持っているので、議論が深くなる。

法人税・相続税・国際税務を横断する「総合タックス」の現場──オーナー一族向けの業務はなぜ面白いのか

■現在は主にどのような業務に携わっていますか?

S:私は主に国内のオーナー企業・富裕層の方々に向けた財産承継の支援を担当しています。
法人税や所得税、キャッシュ・フローなど複数の観点から「どうすれば次の世代に持続的に引き継げるか」を検討する仕事です。
単発の税務対応ではなく、オーナー一族の長期的な未来を見据えたアドバイスが求められる点が特徴ですね。
国際案件もあります。
富裕層の方は国内だけでなく海外にも会社や資産を持っているケースがあり、タックスヘイブン対策税制や出国税など、国際税務の論点が絡んできます。
海外のEYメンバーファームと連携しながら進めているのですが、国内外の税務を横断して支援できるのは、この部署ならではの面白さだと思います。

F:Sさんは国際案件が多いですよね。
私は国内中心ですが、オーナー企業の悩みは法人税だけでは絶対に完結しません。
相続税、所得税、国際税務、キャッシュ・フロー、会社法……全部がつながっているので、自然に守備範囲が広がります。

M:オーナー企業の承継は財産の構造が複雑なので、どこか一つだけ見ても解決できないんです。例えば、黒字の非上場会社の社長が保有されている株式を「どう適正化して、どのタイミングで、どう引き継ぐか」を検討するケース。
株式の価値はオーナーの財産の中でも非常に大きいので、どう扱うかが事業承継の核心になります。
組織再編を使ったり、受け皿会社を設計したり、複数の選択肢から最適なスキームを考える必要があります。

業務の面白さについても教えていただけますか。

M:私は「攻め」と「守り」の両方があるところが面白いと思っています。
攻めの部分では、オーナーの潜在的な悩みをヒアリングし、決算書や申告書を分析して課題を洗い出します。
課題に対し、組織再編や株式の受け皿会社の活用など、複数の選択肢から最適なスキームをゼロから設計する。
かなりクリエイティブな仕事で、会計・税務の世界でもあまり経験できない領域だと思います。

S:攻めの部分、わかります。
オーナーの方の悩みは言語化できていないこともよくあり、こちらが「潜在的な課題はここでは?」と提案すると、とても響くようです。

M:守りの部分ももちろん重要ですよ。
スキームを実行する際には、会社法や税法に沿って安全に進める必要がありますので、司法書士や法務のプロフェッショナルとの連携も欠かせません。
攻めでスキームを作り、守りで品質を担保する──この両方をバランスよく経験できるので、常に新鮮な気持ちで業務に向き合うことができます。
ある日の午前は税制改正を踏まえて既存の提案内容を見直し、午後は不動産の保有形態を変えた場合のキャッシュ・フローをシミュレーションし、翌日は株式交換のスケジュールが会社法上問題ないかをチェックする……。
事業承継というテーマでも、やることが本当に多様です。

F:だからこそ経験が浅いメンバーでも、目の前の業務を積み重ねることで自然と全体像が見えてくると思います。
ですが、最初からオーナーと直接話すわけではなく、各案件のチームメンバーが担当業務を丁寧にフォローするので安心して業務に入ることができます。

■Fさんはマネージャーでいらっしゃいますが、どのような業務が主になりますか?

Fマネージャーになると、やはりソリューションを考える方の仕事になります。
ソリューションはある程度は体系化され、蓄積もされています。あくまでも税法があった上で考えていくので、全くのゼロからということはありません。ですが、クライアントによって内容は異なるため、詳細に見ていく必要があります。
そしてチームがやるべきことをまとめ、スケジュールを立て、リードしていくことが役割ですね。

S:オーナー企業の“人生の意思決定”に関わる仕事なので、責任は大きいですが、その分だけ成長できる環境だと思います。

監査・コンサル・金融機関・プライベートバンカー──多様な入り口から広がるクライアント

■どのような形でクライアントから相談が寄せられるのでしょうか?

S:入り口はさまざまです。
EYグループ内ではM&Aを取り扱う部署やコンサルティング部門からの紹介が来ることもあります。
オーナー企業は税務・会計・戦略が密接に絡むので、EYグループ内のネットワークを通じての相談は比較的多いと思います。

F:コンサルティングからの相談もありますね。
コンサルティングの現場で「オーナーの個人資産の話になった」「事業承継の検討が必要になった」というケースが出てきて、そこから私たちにつながってきます。

M:コンサルティングはコーポレートサイドを深く見て信頼を獲得されているので、オーナーの悩みも顕在化しやすいのだと思います。
「このままでは株価が上がりすぎて承継が難しくなる」「資産の構造を見直したい」という話が出てくると、こちらに相談が来る流れです。

■金融機関からの相談もありますか?

M:はい。どちらかというとご相談というより、金融機関や他のコンサルティング会社がオーナーに提案している内容について、自行や自社で対応しきれない案件についてご紹介をいただくことがあります。

S:オーナー側からのセカンドオピニオンの依頼もあります。
オーナーは複数の金融機関とお付き合いがあるので、提案を受けるわけですが、良し悪しが判断しづらく、融資なども関係するため中立的な視点を求めてご相談があります。
「中立的な立場で複数のソリューションのお示しと、他提案とのプロコン整理」の役割を担う場合もあります。

F承継は単発の提案と思われがちですが、承継プランの進行、環境の変化に合わせたカスタマイズ、承継の実施、さらに次世代への承継プラン作成といったように、長ければ10年単位のお付き合いになります。

■部門独自の入り口もありますか?

S:私たちの部門にはセールスチームがあるんですよ。

M:元プライベートバンカーのメンバーも在籍しています。
セールスチームからお繋ぎいただいた後にパートナーがまずはヒアリングを行い、大きな絵を描いてからプロジェクトとして動き出す──という流れです。
入り口も色々とあるので、オーナー企業の悩みに対して幅広い角度からアプローチできています。

■EYグループ内の連携も、外部とのネットワークもあるのですね。

F:監査・コンサル・法務やTaxなどEYグループ内には幅広い専門領域毎のプロフェッショナルが所属しています
オーナー企業のお悩みを、クライアント毎に寄り添って対応し、お悩みに応じて適切な専門性を持つチームと連携・協力するからこそ解決に導くことができます。

S:オーナーが「誰に相談すればいいかわからない」という悩みを抱えている時、私たちのような複数のプロフェッショナルが連携できる環境は、とても価値があると思います。

M:入り口が多いということは、案件の種類も多様ということになります。我々にとっても常に学びがあり、成長の機会になっています。