──ファミリービジネスの未来を支えるプロフェッショナル集団
日本は世界でも有数のファミリービジネス大国です。
創業家が事業を守り、育て、次の世代へつないでいく──その営みは、日本経済の根幹を支えてきました。
しかし、事業承継・資産承継・次世代教育・ガバナンス・国際展開など、ファミリービジネスを取り巻く課題は年々複雑化しています。
こうした状況の中で、EYが立ち上げたのが Family Consulting Organization(以下、FCO)部門。税務を軸にしながら、家族・経営・所有の3領域を総合的に支援するプロフェッショナル集団です。
今回のインタビューではこの部署を率いる3名、松宮信也氏、進谷敏一氏、増田誠之氏に、理念、仕事の本質、求める人物像についてじっくりお話を伺いました。

この記事の目次

日本は世界屈指のファミリービジネス大国

■まず、日本のファミリービジネスの状況について教えてください。

松宮:日本の企業のうち、上場企業だけでも創業家やご家族が直接経営している会社がおよそ3分の1あります。
さらに「ファミリー」の範囲を少し広げると、約半分がファミリービジネスと言えるんですね。
上場企業に限らず全企業まで広げると、実際には多くがファミリービジネスだと言われています。非常に大きなマーケットがあるということです。

進谷:アメリカでもプライベートカンパニーは多いですが、日本はやはり多いですよね。上場後も創業家が強く関わっている企業は多くあります。

松宮:関西方面も多いです。みなさんご存じの会社もあります。

■ありがとうございます。イメージできました!ただ、日本にファミリービジネスがこれほど多いという認識は持っていませんでした。一般的にもあまり認識されていないように思います。

松宮:そうかもしれませんね。
実際には非常に長く続いている会社が多いんです。古くは飛鳥時代に創業し、現代にいたるまで長らく創業家の経営が続いた企業もあります
100年を超える企業も多く、これはEYがグローバルにファミリービジネスを見ている中でも、日本の特性としてよく知られています。

進谷:欧州やアメリカと比べても、日本は突出していると思いますよ。

ファミリービジネスの複雑性──3領域が重なる構造

■ファミリービジネスが複雑だと言われる理由について教えてください。

松宮:ファミリービジネスの特徴は、所有・経営・家族の3領域が重なる課題が存在することです。この3つが絡み合うことで、意思決定が複雑になります。
一般企業では株主・経営者・家族がそれぞれ別の立場にありますが、ファミリービジネスではそれらが一体化していることが多くあります。

進谷:例えば、会社の経営判断が家族の状況や資産の構造と密接に関わってくる。
「誰が株を持つのか」
「誰が経営を担うのか」
「家族の中でどのように役割を分担するのか」
こうしたテーマが同時に存在するため、自然と複雑性が増します。

松宮:所有と経営が一致しているからこそ、意思決定が早いという強みもあります。
ただ事業承継や資産承継の場面では、家族の価値観や歴史が深く関わるため、専門家の支援が必要になることがほとんどですね。

■具体的には、どのような場面で複雑性が表れるのでしょうか。

増田:株式の承継ひとつをとっても、税務だけではなく、ガバナンス、財務、資産管理、次世代教育など、複数の領域が同時に関わります。
「誰が株を持つべきか」に始まり、
「どのように経営権を移すか」
「資産管理会社をどう使うか」と続いていきます。
こうしたテーマは、家族の関係性や会社の状況によって最適解が変わります。

進谷:事業の海外展開やオーナーの海外移住が増えているため、国際税務の観点も欠かせません。
国ごとにルールが違うので、国内だけでは完結しないケースが増えています。

松宮:ファミリービジネスは、単に「会社の問題」でも「家族の問題」でもありません。3領域が重なることで、課題が立体的になる。
その複雑性を理解し、全体を俯瞰しながら支援できる専門家が求められているのです。

EYがファミリービジネスに取り組む理由──3つの強み

■EYがファミリービジネスに取り組む意義について、改めて教えてください。

松宮:私たちがこの領域に取り組む理由は、大きく3つあります。
ひとつは国際対応力です。
ファミリービジネスも国際化が進んでおり、オーナーご自身が海外に移住されるケースや、事業の海外展開に伴うクロスボーダーの課題が増えています。国ごとに税務のルールが異なるため、グローバルに連携できるネットワークが不可欠です。

進谷:海外で問題が起きたとき、国内だけでは対応しきれないことがあります。
EYは150以上の国と地域に拠点があり、各国のプロフェッショナルと連携できる。これは他にはなかなかない強みだと思います。

松宮:海外のファミリービジネスが日本に投資するケースもありますし、日本のオーナーが海外に出ていくケースもあります。
先日もシンガポールでASEAN地域のファミリービジネスを統括するメンバーと情報交換をしてきました。こうした国際的な連携は、私たちにとって日常です。

■現場の方々のインタビューでも「国際案件に触れられることがEYの魅力」という声が多くありました。※インタビューは後日公開

進谷:そのとおりだと思います。
英語が得意でなくても大丈夫ですよ。生成AIで同時通訳もできますし、短期留学や海外駐在のチャンスもあります。業務を通じて徐々に身につけていくことができます。

■2つ目の強みである総合力についても教えてください。

松宮:ファミリービジネスの課題は、税務だけでは解決できません。所有・経営・家族の3領域にまたがる複雑な問題を扱うため、税務、法務、M&A、コンサルティングなど、さまざまな専門家の力が必要になります。
EYにはそれらがすべてそろっている。非常に大きな強みです。

進谷:国内外の専門家がそろっていて、グローバルなリレーションがある。これがないと、ファミリービジネスの課題には対応できません。

増田:オーナーの方々は、会社のこと、資産管理会社のこと、社会貢献のことなど、幅広いテーマを抱えています。まずは私たちが相談を受け、必要に応じて最適な専門家につなぐ──その総合力がEYの価値です。

■3つ目の持続力についてはいかがですか?

松宮:ファミリービジネスは世代を重ねていきます。オーナーが年を重ね、ご子息が事業に入り、次の世代が育っていく。
いわば駅伝のようにタスキをつないでいくわけです。
その長い時間に伴走できる組織であること──これがEYの持続力です。

進谷:独立系の専門家の方々は、どうしてもご自身の腕で仕事をされているので、次世代の体制をつくるのが難しいことがあります。
その点、EYは人材にも恵まれていますし、組織として長期的にクライアントに向き合える。
これはファミリービジネス支援において非常に重要です。

増田:次世代教育や資産承継など、時間軸の長いテーマが多いので、世代を超えて伴走できるというのはEYならではの価値だと思います。