この記事では、マンションの固定資産税の計算方法を具体的な数値例を用いて解説します。
マンションの固定資産税の計算方法を理解しておけば、マンションを購入した際にどれくらいの固定資産税がかかるのか分かります。

この記事の目次

固定資産税の計算方法の基礎

固定資産税を計算するためには、マンションの価値がいくらなのかを決定しなければなりません。

マンションの価値は、再建築費評点数を基礎としてこれに家屋の減耗の状況による減点を行って決定します。

加えて、マンションの状況に応じ、必要に応じて需給事情による減点を行うこともあります。

以下では、マンションの固定資産税の計算方法の基礎について詳しく解説していきます。

固定資産税の計算方法

固定資産のなかで、マンションは家屋に分類される固定資産です。

したがって、マンションであっても、固定資産の計算式は家屋の場合と変わらず以下のようになります。

・固定資産税=課税標準額×税率

課税標準額は、原則として、固定資産課税台帳に登録されている価格をそのまま使います。

固定資産がマンションのときの計算の特徴

しかし、新築のマンションのケースなど、固定資産課税台帳にその価格が登録されていないケースにおいて、固定資産税はどのように計算したら良いでしょうか?

固定資産税における家屋の価値は、購入価格や建築工事費ではなく、総務大臣が定めた固定資産評価基準によって算出します。

この評価基準のなかでは、再建築費(価格)を基準として評価する、再建築価格方式が採用されています。

再建築価格方式とは、評価の時点で評価対象となった家屋と同じものをその場所に新築する場合に必要な建築費をまず求めて、その後、家屋建築後の経過年数に応じて減価を行い、その家屋の価値を求めていきます。

つまり、マンションの価格は再建築価格方式によって決定され、それが課税標準額となって固定資産税額も決定するということです。

したがって、新築のマンションの価値は以下のような要素をかけ合わせて計算されます。

  1. 再建築費評点数:どのような資材をどれだけ使用しているか。
  2. 経年減点補正率: 構造や用途などの区分に応じて設定されている建築後の経過年数に応じた減価率
  3. 評点一点当たりの価額: 地域に応じた物価水準や工事原価に含まれない設計管理費、一般管理費等の負担額の費用

これを計算式にすると次のようになります。

・家屋の評価額(価格)= 単位当たり再建築費評点×経年減点補正率×床面積 ×評点一点当たりの価額

(引用:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/tozei/index_o.html#o9

具体的に説明すると、マンションについてまずは単位当たりの再建築費評点を算出し、その後、経年数に応じた減点補正率を適用、床面積や設計管理費等を考慮した評点1点当たりの価額を乗じることで、マンションの評価額(価格)を求めるというわけです。

建物が新築と中古の場合で固定資産税は変わるのか?

マンションの建物が新築の場合と中古の場合では、同じ広さ、同じような設備を持つケースであっても固定資産税は変わります。

その理由は、固定資産税の新築住宅に係る減額という優遇税制が採用されているからです。

マンションなどの区分所有の住宅については、マンションの専有部分のうち、居住部分の床面積と廊下や階段などの共用部分の床面積を按分した床面積を加算して、50㎡以上280㎡以下である場合には、当初7年間にわたって固定資産税が2分の1となります。

タワーマンションの例外措置

タワーマンションの固定資産税の計算方法については、平成29年に見直しが行われています。

建築基準法上、高さ60メートル以上の建築物のうち、住居が複数の階に所在しているものは、居住用超高層建築物となります。

おおよそ地上20階以上のマンション(タワーマンション)が、この居住用超高層建築物に該当しますが、従来の計算方法では、最初にマンション一棟全体の固定資産税をうえで説明した方法で計算し、その後、固定資産税を各住居の専有床面積に応じて按分して固定資産税を計算していました。

この税制改正によって、各住居の固定資産税は、次の式のように計算されることになりました。

各住居の固定資産税=一棟全体の固定資産税×(各住居の専有床面積×階層別専有床面積補正率)/専有床面積(補正後)の合計

この措置によって、住居の階が上がるごとに高い固定資産を支払わなければならなくなりました。