国際税務を中心に、幅広い税務サービスを提供するKPMG税理士法人のICT部門。
そのなかで、法人横断のDXプロジェクトにも関わりながら、3人の子どもを育てつつ働き続けているのが清水氏です。
「BIG4は忙しい」というイメージを持つ方は少なくありません。
しかし、実際の働き方はどうなのでしょうか。
産休・育児休業(以下、産休育休)を3回取得し、復帰後も柔軟な働き方で活躍を続ける清水さんに、家庭との両立のリアルを伺いました。

この記事の目次

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清水亜紗美氏

税理士
KPMG税理士法人ICT部門(International Corporate Tax) アシスタントマネージャー

2015年中途入社。2022年税理士登録。

専門性を求めて──大学院からKPMG税理士法人へ

■まず、KPMGに入社されるまでのキャリアについて教えていただけますか。

清水:私は元々、中堅の税理士法人に勤務していまして、1年ほど相続や個人の所得税の申告などを担当していました。大学院に通いながら働いていたのですが、ずっと「税務の業界で働き続けたい」という気持ちがありました。

■大学院の段階から税務の道を志されていたのでしょうか。

清水:大学3年生のときに外資系の大きな証券会社でインターンをしたのですが、周りのレベルの高さに圧倒されてしまって。「これはまずい」と思ったのがきっかけで、資格の勉強を始めました。叔父が税理士をしていたこともあり、税務の道に進むことを決めました。

■インターンの経験が大きな転機になったのですね。

清水:学生のときに実際のビジネスの現場を見ると、想像以上に刺激があって。自分の力不足を痛感したというか、「このままではいけない」と思ったんです。あのときの焦りが、大学院で税務を本格的に学ぼうと思った原動力になりました。

■その後、KPMGへ?

清水:大学院在学中に中堅の税理士法人へ入社し、卒業後もそのまま働いていました。そこで1年ほど経験を積むなかで、新しいフィールドに飛び込んでみたいと思うようになりました。BIG4への憧れもあり、「挑戦したい」と転職活動をして、大学院を卒業した年の9月にKPMGへ入社しました。
税務の道で専門性を高めたいという思いと、大学院で学んだことを大きなフィールドで活かしたいという気持ちが強かったです。

国際税務とDXプロジェクト──ICT部門で広がるキャリア

■現在所属されているICT部門について、どのような業務を担当されているのか教えていただけますか。

清水:ICTは国際税務を中心とした部門で、幅広い税務サービスを提供しています。一般的な法人税や消費税の申告業務はもちろん、税務調査の対応、関税を専門とするチーム、BEPS2.0に対応する専門チームなどもあり、大きな企業の国際的な動きに関わることが多いです。

■担当されるクライアントは、どういった企業が多いのでしょうか。

清水:日本に本社を置き、海外に関連会社を展開しているような大企業を担当することが多いです。海外の会社の日本支店や日本法人を担当することもあります。日本から海外へ進出している企業も、海外から日本へ進出している企業も、両方を担当するイメージです。

■英語を使う場面も多そうですね。

清水:担当する法人にもよりますが、英語が必要な案件は多いです。誰もが英語に触れる機会はあると思います。
ただ、全員が流暢に話せなければいけないわけではなくて、トランスレーションのチームがあり、英語でのミーティングが必要な場合は同席してサポートしてくれますし、英語のメールの添削をお願いすることもできますよ。

■DXプロジェクトにも関わっていらっしゃると伺いました。どのような位置付けのプロジェクトなのでしょうか。

清水:税務DXのプロジェクトは、ICTだけのものではなく、KPMG税理士法人のなかで複数の部署からメンバーが選抜されている横断的なプロジェクトです。TAGやデジタル関連の部署など、申告業務やシステムに強いメンバーが集まって進めているプロジェクトで、私はそのなかの一員として関わっています。

■どのようなテーマに取り組んでいるのですか。

清水:基本的には、法人税や消費税の申告書作成に関する業務の効率化や自動化に取り組んでいます。具体的なシステムの詳細はお話しすると長くなってしまうので割愛しますが、届いた資料を加工し、申告書に入力する数値を抽出するような仕組みを検討したり、表計算ソフトや分析ツールを活用して、これまで手作業で行っていた部分を効率化したりしています。

■ロボットの導入などもされているのですか?

清水:毎回同じ操作を繰り返さなければいけないような、機械的な作業については、ロボットに指示して動かしてもらうことで、時間のかかる部分を自動化しています。その分、人が考えるべき業務に時間を使えるようにする、というイメージです。全部を自動化するというよりも、「必要なところに必要な効率化を入れていく」という考え方で進めています。

■DXプロジェクトに選抜された背景には、どのような経緯があったのでしょうか。

清水:最初にプロジェクトが立ち上がった時は、申告業務に強いメンバーが各部署から選ばれていました。私はシステムが得意だったわけではなく、むしろデータ分析やITツールの活用もあまり得意ではなかったくらいなのですが(笑)、「税務の知識があれば大丈夫」と言われて参加しました。
実際にはデジタル系の勉強もかなり必要で、最初は大変でしたが、新しいことに挑戦している感覚があって、今はやりがいを感じています。

■国際税務の業務と、DXプロジェクトの両方に関わることで、専門性の広がりを感じる場面も多いのではないでしょうか。

清水:そうですね。申告業務の基礎をしっかり理解しているからこそ、どこを効率化できるのか、どこは人が判断すべきなのかが見えてきますし、国際税務の案件を通じて、税制改正や新しいルールにも触れます。そういった知識をDXのプロジェクトにも活かせるので、両方に関わることで、自分の専門性が広がっていると感じます。