飲食店を開業する際に苦労するのが物件取得です。立地商売である飲食店ではよい物件を押さえることが成功の要否を決めます。その際に、物件取得と融資の申し込みのタイミングを間違えてしまったことによるトラブルが多く発生しています。そこで今回は、物件取得と融資を申し込むタイミングのポイントについて紹介します。

物件探しの際に陥りやすい勘違いが原因で大きな損失を被る?

都内で和食店を開業希望のRさんは、物件の候補が決まり、開業資金を調達するために日本政策金融公庫から創業融資を受けようと考えています。不動産業者から早く物件の賃貸借契約の締結と取得費用の支払いを行ってほしいと言われていますが、融資を申し込む前に行ってよいのか分からず悩んでいました。

立地商売である飲食店の場合、よい物件を見つけられるか否かで繁盛するか否かが決まると行っても過言ではありません。立地商売である飲食店ではお店のコンセプトにあった立地&物件で営業できるか否か非常に重要になります。いい立地の物件を見つけたと思ったら、その時点から、素早く、不動産業者に対して物件を押さえる手続を始める必要があります。

開業者の方が陥りやすい失敗として、「融資を受ける前に物件の賃貸借契約を結ぶ必要がある」と勘違いされて、融資を申し込む前に物件を契約してしまい、保証金、礼金などの物件取得費を支払ってしまう、又は手付金を支払ってしまうケースです。この場合、融資の審査が無事に通ればよいですが、もし審査が通らなかった場合どうなってしまうのでしょうか??言わずもがな、大きな損失を被ってしまい、自己資金がショートしてしまいます。

物件契約の内諾を物件オーナーから得たタイミングに融資を申し込もう!

その後Rさんは、飲食店専門の税理士からアドバイスを受け、物件を契約する前に融資の申し込みを行いました。事業計画や必要書類を事前に準備していたこともあり、1週間で融資の審査結果をもらうことができ、安心して物件の契約とその費用を支払うことができました。

融資申請時点では、営業所の場所が決まっていることが必要です。しかしながら、賃貸借契約まで結んでいる必要はありません。それは、融資の実行を期待して賃貸したものの、融資に失敗した場合には、その賃貸借にかかった費用などを無駄にしかねないためです。日本政策金融公庫との融資面談時には、不動産仲介業者からもらえる物件の資料(住所、間取り、賃料・保証金・礼金などの賃貸条件 等が記載されているもの)を提出すれば大丈夫です。物件契約の内諾を物件オーナーからもらったタイミングで、融資を申し込み、素早く審査の結果をもらうことにより、物件契約による損失を回避すること重要です。

事業計画書を活用して物件調達力を高めよう!

また、店舗経営の実績がない開業予定者は物件を押さえるのに苦労する方が圧倒的に多いです
。不動産オーナーの立場としては、できるだけ長く借りて欲しいと考えるのが普通です。開業
予定者と5店舗の飲食店経営をしている会社から同時に申込があった場合、どちらに貸したい

か?と考えると、もちろん実績のある5店舗の飲食店経営をしている会社になるケースが一般
的です。このように開業予定者は物件を押さえるのが難しく、一回の申込で決まることは稀で
す。

では開業予定者が物件を押さえる可能性を上げるためにはどうすればよいのでしょうか?
物件を貸す不動産オーナーの立場になれば、対策は見えてきます。開業予定者は実績がなく、
不安であるから貸したくないのです。ということは、開業予定者であっても信用できる人であ
ると思って頂ければ貸したくなるのです。

この信用の醸成に役立つのが、実は「事業計画書」なのです。開業予定者がどのような経験を
持っていて、どのようなお店を開業するのかを具体的に記載してある事業計画書を提出するこ
とによって、不動産オーナーに安心して頂くことに繋がり、物件を押さえやすくなるのです。

飲食店開業の第一歩は物件取得から!物件取得で躓かないためにも、事業計画書と融資の必要
書類を事前に準備しておくことが大切です。