飲食店の開業にとって、店舗コンセプトは成功と失敗を決めると言っても過言ではありません。そこで、今回は「店舗コンセプトの検証」について紹介します。
計画段階で儲かっていますか!?
千葉県の繁華街でワインバルを開業しようとしているaさんは、店舗コンセプトを作成しましたが、作成した店舗コンセプトのお店を本当に作れるのか?開業後に本当に儲かるのか?などが曖昧で、このまま進めてよいのか悩んでいました。
店舗コンセプトとはお店の魅力そのものであり、お客様が訪れる理由です。前回の「店舗コンセプトの作り方」で説明したように5W2Hの要素に分解して検討していくことが重要となりますが、一度作成すれば十分というものではありません。作成した店舗コンセプトが数値面から、下記の点について検証を行う必要があります。この検証を基に店舗コンセプトを見直し&再検証を繰り返すことでビジネスモデルの実現性が高まるのです。
①初期投資と資金調達のバランスは大丈夫なのか?
店鋪を作る際の初期投資の費用(物件取得費、内装費、厨房機器、運転資金)を具体的に見積もり、自己資金、借入金、リースなどの資金調達の合計額の枠内におさまっているのかを検証しましょう。初期投資費用の算定については、「開業資金編」をご確認頂ければと思います。
②月間の収支計算を見積もり、投資回収の基準を満たせているのか?
後段にて説明します。
目標の月間収支モデルを作成し、儲かるお店になっているのかを検証しよう!
その後aさんは、飲食店専門の税理士に相談し、店舗コンセプトの検証方法を教えてもらい、実際に月間の収支モデルを具体的に作成してみることで、当初考えていた人件費と家賃では固定費が高すぎる点や席数が足りない点などが分かり、計画の段階で儲かる店舗コンセプトを作ることができました。
飲食店の店舗コンセプトを作っていく中で見落としがちなのが収支計算によるコンセプトの検証作業です。計画の段階で儲かる業態になっているのかを必ず収支計算をして検証する必要があります。閉店に追い込まれているお店の特徴として、実際に収支計算をしてみると既に計画の段階で儲かっていなかったということが本当に数多くあります。特に開業の場合は営業が軌道に乗るまでに半年以上の時間を要するため、低めの売上予測の場合でも収支が合うかどうかを検証した方が良いです。この検証作業と店舗コンセプトの見直しを繰り返すことで店舗コンセプトの実現可能性はぐっと高くなるのです。
店舗コンセプトの収支計算の検証は、次のようなステップで行います。
Step1 : 月間の経費を見積る
お店を運営した際に1カ月間に発生が見込まれる経費を見積ります。売上を計画の段階でコントロールすることはできませんが、経費はかなりの確度でコントロールすることができます。経費をしっかりと見積り、店舗運営にいくら必要なのかを把握することが最初のステップとなります。
Step2 : 1日当たりの売上予測を出す
お店を営業した際の1日当たりの売上予測を行います。具体的な営業をイメージしながら、売上予測を行う必要があるため、売上は曜日(平日と週末など)、時間帯ごとに客数と客単価を分けて予測を行うと良いでしょう。また、売上については目標とする売上(目標月商)、営業を軌道に乗せれば達成できる売上(標準月商)、最低限維持すべき売上(最低月商)の3通りを想定しておくことで、計画の実現可能性を高めることができます。
Step3 : 月間の収支計算を行う
Step1と2で算定した月間の経費と1日当たりの売上予測を基に月間の収支計算を行います。月間の売上高はStep2で算定した1日当たりの売上高☓営業日数にて算出します。月間の収支計算も目標とする売上(目標)、営業を軌道に乗せれば達成できる売上(標準)、最低限維持すべき売上(最低)の3通りにて計算します。
この際に、①最低月商の営業利益が赤字になっていないか②標準月商の営業利益による初期投資の回収年数が目標年数を下回っているのか、をチェックすることにより、計画の段階で儲かる店舗コンセプトになっているかを検証することができます。
飲食店開業の基本は店舗コンセプトの検証から!飲食店の開業で失敗しないためにも、店舗コンセプトの検証&見直しを繰り返し行うことが大切です。
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