飲食店を開業した際に悩むのが経理です。店がオープンするとランチ、ディナーの仕込み、後片付け、食材の発注、バイトの管理など、やらなければならないことが本当に多くあり、経理業務には一切手をつけられていないというお店が数多くあります。そこで、今回は「経理」について紹介します。

経理は自分でやれる?それとも税理士に依頼すべき?
都内で個人事業主として中華料理店を開業したTさんは、お店がオープンするとランチ、ディナーの仕込み、後片付け、食材の発注、バイトの管理、清掃など業務が多く仕事の終わりは深夜になってしまう事も多々あり、経理業務には一切手をつけられていません。
そのため、現時点でお店が儲かっているのか、儲かっていないのかも分かりません。また、翌年の3月にやってくる確定申告も心配です。会計事務所に依頼した方が良いのか悩んでいました。
1、2店舗の飲食店の経営者は自分が店長として現場の運営に入っており、日々の業務に追われ経理業務を行う時間がほとんどないという場合が数多くあります。
夫婦でお店を運営している等の身内の協力が得られる場合は、配偶者などに経理や給与計算という事務作業を分担してもらえるので問題ないことも多いです。一方で、身内の助けが得られない場合は、自身で経理業務も行わねばならず、①経理のやり方が分からない、②本業に追われ時間を確保できないなどの理由で、経理業務を放置している経営者が個店には数多くいます。
しかしながら、経理業務を行わないと、翌年3月の確定申告ができないだけでなく、毎月の業績を把握することができず、自分のお店が儲かっているのか、赤字なのかが分からないという問題が発生してしまいます。現時点の状況を把握できないというのは経営を考える上で致命的となってしまうので、その意味でも経理の仕組みを整える必要があります。経理の仕組みを整えるためには、5店舗未満の個店の場合、自社で経理事務の人材を雇用し自社ですべて行うよりも、税理士などの専門家にアウトソーシングし本業に注力できる時間を確保するやり方の方が費用も時間も節約できるので望ましいでしょう。
税理士を選ぶポイントは!?
その後Tさんは、飲食店専門の会計事務所と顧問契約を締結し、経理業務を委託することにしました。これにより経理業務から解放され、本業に集中できるようになりました。また、飲食店に豊富な実績を持つ会計事務所の担当者が、毎月報告する飲食店用の経営分析資料により毎月の業績が見えるようになりました。これによって、お店の儲けとお金に関する現状と課題を把握できるようになり、さらに、今まで一人で抱え込んでいた経営の悩みについても相談できるようになりました。
一言に会計事務所といってもその強み、方針により、様々な種類があります。会計事務所に経理業務を頼む場合には目的を明確にした上で、ご自身の目的に合う会計事務所を選びましょう。
また、会計事務所は、お店の経営数値をよく知っているため、経営相談ができるパートナーという側面もあります。良いパートナーに巡り合えれば、お店の成長の大きな助けとなることも多いです。
近年は、安ければ月額5,000円前後の格安の会計事務所もできてきており、税金計算のみお願いしたいという場合は格安の会計事務所への依頼でOKです。しかし、その場合は、サービス内容も最低限のものとなっているため業績報告資料は会計ソフトから自動出力される試算表のみ、報告も年に一度のみといったケースが多いため業績を把握するには自分で経営指標を管理していくことが必要となります。そもそも経理業務を行う時間がない中で、飲食店の経営に重要なFL構成比率などモニタリング指標を計算することは難しいのではないでしょうか。また、そういった会計事務所の担当者は飲食店に詳しくないため、顧問料を払っているにもかかわらず、経営の悩みを相談することはできません。
せっかく顧問料を払うのであれば、飲食店における経理・財務に精通している会計事務所を選び、信頼できる社外パートナーとしての付き合いをしていくことをお勧めします。
そうした飲食店に強い会計事務所への経理業務の委託料は月額20,000円前後から見つけることができます。多少料金が高くなったとしても、安定した事業運営と将来の成長のためには必要な「投資」と捉えた方が良いでしょう。
飲食店経営の第一歩は税理士選びから!開業後の飲食店経営で失敗しないにも、自身にあう税理士を選ぶことが大切です。