国税OB税理士が監修。公認会計士・税理士・会計事務所・企業経理担当、税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

会計人ニュース

注目キーワード

創業(3年)で倒産しないために…!知っておきたい開業準備のオキテ ~会社設立編~

飲食店を開業する際に迷うのが会社を設立するのか否かです。会社を設立して法人として事業を行うのか、それとも個人事業主として事業を行うのかを検討する際には、それぞれのメリット・デメリットを把握して自身の事業展望に合う形を選択する必要があります。そこで今回は、「飲食店の開業時に法人化しておくべきか?」ついて紹介します。

法人化することによるメリット・デメリット

千葉でカフェを開業希望のSさんは、飲食店を開業しようと計画していますが、調べてみると個人で行う方法と会社を設立して法人として開業する方法の2つの形があることを知りました。それぞれ、どのようなメリット・デメリットがあるのかが分からず、どちらで行った方がよいのか判断ができず悩んでいました。

開業時に法人化、つまり法人を設立する場合のメリットは金融機関に対する信用度が高まることです。開業資金が3,000万円を超える場合は個人事業主だと自己資金を1,000万円用意していたとしても2,000万円の融資を受けることは難しいので法人化しておいた方がよいでしょう。
また、物件を借りる際には保証人を求められますが、法人の場合には代表者自身が保証人となることができるので、親族や友人などに保証人になってもらう必要はなくなりますので、保証人は頼まれる方も簡単にはOKできるものではないため心理的な負担は軽減します。
他にも法人の方が個人事業主よりも経費化できる支払いの範囲が広いため、節税手法の幅も広がると行った税金計算上のメリットもあります。

法人化のデメリットは社会保険の加入義務が生じるところです。
個人事業主の場合は法律で定められた16業種であれば従業員数が5人未満なら強制ではなく任意適用、5人以上になると強制適用となります。それに対し、法定業種以外の個人事業主である場合は従業員数にかかわらず、任意適用となります。飲食業は法定16業種に含まれていないため、従業員が何百人いようとも、個人事業主であれば社会保険の加入義務はありません。しかし、法人の場合にはたとえ自分一人の会社でも社会保険へは強制加入となります。なお、社会保険に関しては、その費用負担はとても重いものとなります。
また、法人を設立する際に30万円前後の設立費用が発生する、税務調査の頻度が個人事業主と比べて多くなることもデメリットとして挙げられます。

法人化するタイミングは!?

その後Sさんは、飲食店専門の税理士からアドバイスを受け、個人事業主で開業し、2年目の年末に法人化する形が、自身の事業展望に合う形であると判断できました。これにより消費税や社会保険料の費用を抑えられ、開業時の運転資金を増やすことができました。

法人化を検討する理由は様々ですが、飲食店の場合は消費税が課税されるタイミングで法人とするケースが多いです。消費税は例外もありますが、個人事業主は原則として、その年の2年前の1月から12月の売上が1,000万円を超えるかどうかで判定され、超えた場合にはその年は消費税を納税する義務が発生するといった仕組みとなっています。
それであれば、個人事業主で開業し、2年目の年末に法人化することにより、最大で4年近くの消費税が免除されます(開業初年度の売上は1,000万円を超えているものとします)。消費税は、たとえ赤字であっても納税義務はあるのでその負担は、とても大きいものです。
よって、消費税の免除の恩恵を最大限に受けるため、法人化は売上が1,000万円を超えた年の翌年末にするのがおすすめと言えます。

飲食店開業の第一歩は会社設立の検討から!開業後の飲食店経営で失敗しないにも、自身の事業展望にあう事業体(個人か法人)を検討しておくことが大切です。

著者: 水野剛志

Credo税理士法人代表/税理士・経営コンサルタント

富山県出身で醤油屋の次男として誕生。慶應義塾大学商学部卒業後、税理士法人山田&パートナーズ、アビームコンサルティング(株)、OAG税理士法人/㈱OAGコンサルティングを経てCredo税理士法人/Credoコンサルティング事務所を設立。飲食店を専門に開業支援や多店舗展開支援を年間50件以上実施するなど、財務戦略に基づいた飲食店の繁盛店の仕組みづくりに強みを持つ。
■Credo税理士法人
http://credo-tax.com

ページ先頭へ