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国税庁が仮想通貨FAQの更新版を公表 必要経費の範囲など一定の基準設ける

国税庁から11月21日、「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(以下、「FAQ」という)が公表された。これは昨年12月1日に公表された「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」のなかから、税目ごとに寄せられた一般的な質問等を取りまとめられたもの。いわゆる更新版で情報の補足がメーンになっている。

来年の確定申告に間に合わせる形で国税庁はこのほど、仮想通貨の税務上の取り扱いについてFAQを公表した。FAQは法律ではないため、納税者はこれに縛られることはないのだが、税務職員はこれをベースに税務処理をすることになる。つまり、税務職員は通達同様にFAQに縛られることになるわけだ。「租税法律主義」というものの、税務職員が縛られるFAQだけに、納税者としても内容を理解しておく必要がある。
今回の更新情報では、「仮想通貨の必要経費」について、仮想通貨の売却による所得の計算上、経費として認められるものを例示している。具体的には、「売却した仮想通貨の取得価額」「売却の際に支払った手数料」「インターネットやスマートフォン等の回線利用料」「パソコン等の購入費用」などについて、仮想通貨の売却のために必要な支出であると認められる部分の金額に限り、必要経費に算入することができると明確化した。
この「仮想通貨の売却のために必要な支出」については、回線利用料等の経費のうち、実際に仮想通貨取引に利用した分を按分計算する必要があるのだが、厳密には難しいことから、説明がつく範囲で考えるのが妥当となるだろう。
次いで、「仮想通貨の取得価額の計算方法」については、昨年公表のFAQでは、移動平均法を用いるのが相当とされ、継続適用を要件に総平均法を用いて算定することができるとされていたが、今回の「FAQ」では、昨年度以前に移動平均法を採用していた方については今後総平均法を継続することを前提に計算方法を変更することができるとした。なお、この場合、昨年度までの計算結果を遡及せず、変更した年度から総平均法を採用するとしている。
仮想通貨の購入価額や売却価額が分からない場合については、「国内の仮想通貨交換業者を通じた仮想通貨取引については、平成30年1月1日以後に各交換業者から交付される「年間取引報告書」から情報を入手するとしている。それ以外の場合は、銀行口座の入出金情報等を活用するか、仮想通貨取引の履歴及び公表されている取引相場を利用して購入価額や売却価額を確認するとしている。
年間取引報告書を活用した仮想通貨の所得金額の計算方法については、仮想通貨交換業者から送付されてくる「年間取引報告書」の情報を、国税庁ホームページに掲載されている「計算書」に入力すれば、容易に所得金額を計算することができるとしている。
ただ正直なところ、個人的な感想になるがこの「計算書」を使っても、移動平均法で所得金額の計算や海外取引所を利用している人にとっては、実質的に計算の簡略化にはならないように感じる。
このほか、FAQでは仮想通貨を相続や贈与により取得した場合の課税関係についても明確化された。それによると、仮想通貨を相続もしくは遺贈または贈与により取得した場合は、仮想通貨交換業者が公表する課税時期における取引価格により相続税または贈与税が課税されると明記された。しかし、活発な市場が存在しない仮想通貨の場合には、その仮想通貨の内容や性質、取引実態等を勘案し、個別に評価すると補足している。
なお、相続人から仮想通貨交換業者に「残高証明書」の交付依頼を行うことによって仮想通貨の残高情報を今後入手することができるとした。
一部企業で始まっている、仮想通貨で給与を支払う場合の取り扱いだが、源泉所得税は、現金で支払ったときと同様に企業側が源泉徴収税額の計算を行うとしている。なおその際には、仮想通貨を支給時の価格で評価し、計算する。
このほか、仮想通貨も「財産債務調書」の対象となることが明確化された。そのため、2018年12月31日に一定金額以上仮想通貨を保有されている人は、財産債務調書を作成し提出する義務が生じる可能性があるとした。
「国外財産調書」への記載については、国内居住者が国外の仮想通貨取引所に保有する仮想通貨について国外財産調書の対象にならないとしている。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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