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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:非居住者⑤ 非居住者が国内不動産を譲渡した場合

非居住者が日本国内にある不動産を譲渡するケースがあります。国内不動産の譲渡による所得は国内源泉所得となるため、確定申告が必要となります。また、非居住者から不動産を購入した者は、代金の支払いの際に源泉徴収が必要となる場合があります。不動産の譲渡は金額が多額となるため、誤りのないように注意しなければなりません。

≪ケース≫

Xは、1年前から3年間の予定で日本企業のシンガポール支店に勤務しています。Xは日本国内に土地を所有しており、近々、この土地を日本企業のK社に8千万円で売却する予定です。この場合の日本での課税関係はどうなるのでしょうか。土地の購入者であるK社と、土地の譲渡者であるXの両者の処理について教えて下さい。

日本企業に勤めている者が、海外支店などに1年以上の予定で勤務する場合、一般的には日本国内に住所を有しない者と推定され、非居住者となります。
非居住者は、その所得のうち日本国内で発生したもの(国内源泉所得)についてのみ、日本の所得税が課税されます。
非居住者が日本国内にある不動産を売却したときの所得は国内源泉所得に該当するため、日本で所得税が課税されます。

≪土地の購入者の処理≫

源泉徴収

非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」)から日本国内にある土地等を購入して、その対価を支払う者は、その対価を支払う際に10.21%の税率で所得税の源泉徴収をなりません。
ただし、例外的に個人自己またはその親族の居住の用に供するために土地等を購入ししなければならない場合であって、その土地等の譲渡対価が1億円以下である場合には、源泉徴収は不要となります。
よって購入者が法人の場合には、この例外的な取扱いは適用されません。K社は法人ですので、購入代金を支払う際に源泉徴収し、翌月10日までに納付しなければなりません。
源泉徴収の対象となる土地等とは、
①国内にある土地又は土地に上に存する権利
②建物及びその付属設備
③構築物
となっています。
なお、日本が締結している多くの租税条約では、土地等の譲渡対価について、不動産の所在する国においても課税できるとする規定を置いています。したがって、非居住者が国内にある不動産を譲渡した場合には、租税条約においても、その譲渡により生ずる所得について日本で課税できることになっていますので、国内法通りの課税となります。

≪土地の譲渡者の処理≫

確定申告

国内にある不動産を譲渡した非居住者は、その国内にある不動産の譲渡から生ずる所得について所得税の確定申告をしなければなりません。
譲渡所得の金額の計算は居住者の場合と同様に行い、源泉徴収された税額については確定申告により精算することとなります。ただし、非居住者の所得控除は雑損控除、寄付金控除及び基礎控除に限られています。また、外国税額控除については、控除できないこととされています。
譲受人が個人で、土地等の譲渡対価が1億円以下の場合であっても、譲渡益が発生すれば確定申告が必要となります。
なお、住民税は、1月1日現在に日本に住所を有する個人に対して課税されますので、譲渡した年の翌年の1月1日に日本に住所を有しない場合には、住民税の課税は行われません。

納税管理人の選任

非居住者が確定申告を行う場合、確定申告書を提出する時までにあらかじめ納税管理人を定め、「所得税の納税管理人の届出書」を非居住者の納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。
また、確定申告は非居住者の納税地を所轄する税務署長に対して行います。

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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