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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:非居住者⑥ 非居住者が日本国内の不動産を賃貸する場合

従業員が海外に赴任して非居住者となった後でも、日本国内の不動産の賃貸料収入等がある場合には、日本で確定申告が必要となります。例えば、海外赴任に伴い、これまで居住していた自宅を海外赴任中、賃貸に出すというケースはよく見受けられます。

≪ケース≫
私は、3年の予定でマニラ支店に赴任することとなりました。私はサラリーマンで、給与以外に所得はありませんでしたが、出国後は日本の自宅を会社に賃貸することとなりました。海外勤務中の確定申告はどのようにすればよいでしょうか。

非居住者の確定申告

日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外の支店などに勤務する場合には、一般的には日本国以内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。
このように、海外勤務により非居住者となる者は、海外に出発した後、国内にある不動産の貸付による所得や、国内にある資産の譲渡による所得など、日本国内で生じた所得(国内源泉所得)があるときは、日本で確定申告が必要となる場合があります。

今回のケースにように、海外に赴任に伴ってこれまで居住していた自宅を賃貸に出す場合には、年間の賃貸料収入から必要経費の金額(固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費、不動産管理会社への手数料、借入金の利子など)を差し引いて不動産所得を計算します。必要経費を差し引いた結果、損失となる場合には、申告書の提出義務はないことになります。
ただし、非居住者に対して不動産賃貸料の支払いをする場合には、一定の場合を除き、その支払いの際に20.42%の源泉徴収が行われますので、確定申告によりその精算を行うこととなります
もし、海外勤務者が、所有不動産を法人に対して賃貸した場合、又は個人に対して賃貸した場合であっても借主が居住用以外の用途に使用する場合には、賃貸料収入に対して20.42%の源泉徴収が行われます。

所得控除については、非居住者が受けられるものは、以下のものに限定されています。

○基礎控除
○寄附金控除
○雑損控除(日本国内にある資産に係るもの)

この≪ケース≫の場合、法人に対して賃貸していますので、受け取る賃貸料は源泉徴収の対象となります。源泉徴収税率は20.42%であり、かつ賃料全体が源泉徴収の対象となるため、たとえ、確定申告書の提出義務がないような場合であっても、確定申告書(還付申告書)を提出することによって還付金を受けることができる場合が多いと思われます。

納税管理人の選任

確定申告が必要となる場合には、納税管理人を定め、「所得税の納税管理人の届出書」を納税者の納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。
納税管理人が選任されると、以後の税務署からの通知等は納税管理人に対して送付されます。申告書の提出や還付金の受領も納税管理人を通じて行うこととなります。
なお、出国年の所得税について確定申告の必要があると見込まれる場合には、原則としてその出国の日までに確定申告する必要がありますが、出国の日までに納税税管理人を選任し届け出た場合には、申告書の提出期限は通常の確定申告期限である3月15日となります。

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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