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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:判決・裁決紹介 海外企業に支払ったコンサルタント料が寄附金にあたるとされた事例

今回は日本親会社が海外企業に支払ったコンサルタント料が、本来は海外子会社が負担すべきものを親会社が肩代わりしたものであり、国外関連者に対する寄附金にあたるとされた事例を紹介します(平成19年5月30日 非公開裁決)。

事実関係

X社は包装材料の製造販売等を営んでおり、米国に子会社A社を設立した。A社設立後は、米国向け輸出品はすべてA社に対し販売し、A社はX社から輸入した商品を米国内の顧客に対し販売した。
X社はK社との間で、平成15年5月、コンサルタント契約を締結した。当契約に基づきK社が提供する役務の内容は、X社から輸入した商品を米国内の顧客へ配送すること、A社の銀行口座の管理を行うこと、米国内の顧客との意思疎通や折衝を行うこと、A社の在庫管理を行うこと、見本市を開催すること等とされた。
K社はX社に対し平成15年5月分から、各月ごとに、基本料金、既存顧客フォローアップ料金、新規顧客フォローアップ料金、調査料金、電話使用料金等の項目ごとの請求金額を記載した請求書を送付した。X社は、K社にコンサルタント料を支払い、雑費勘定に計上した。
国税当局は、このようなサービスの内容からすれば、本件コンサルタント契約に基づくコンサルタント料は本来、A社が負担すべきものであって、A社が負担すべき費用をX社が肩代わりしたものであるから、国外関連者に対する寄附金に該当するとして課税処分を行った。
それに対してA社は、K社へのコンサルタント料は、A社が米国内における市場調査、アルバイトの世話、展示会場の世話についての役務提供を受けることを内容とするコンサルタント契約に基づくもので、A社の費用になるものであるから寄附金には該当しないと主張し、審査請求を行った。

審判所の判断

  1. 法人税法第37条第7項にいう寄附金とは、広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものに該当しない限り、名義のいかんや業務との関連性の有無を問わず、法人が贈与又は無償で供与した資産又は経済的利益、換言すれば、法人が直接的な対価を伴わないでした支出を広く指すものと解するのが相当である。
  2. X社の米国内における顧客はA社のみであり、本件コンサルタント契約に係る業務は、A社の顧客に係る業務と認めるのが相当であるから、当該コンサルタント料はA社が負担すべきものであり、X社がこれを負担すべき事情は認められない。
  3. X社は、本件コンサルタント料を支出することによって、A社に対して、A社が負担すべき本件コンサルタント料に相当する金額の経済的利益の無償の供与をしたものと認めるのが相当である。したがって、本件コンサルタント料として支出した金員は、直接的な対価を伴わないでした支出として寄附金に該当する。

コメント

海外企業に対してコンサルタント料や業務委託料といった名目での支払いがある場合、税務調査においては調査官の目に留まりやすいものです。
本件のように海外子会社等との取引に関連してコンサルタント料の支払いがある場合、調査においては、コンサルタント契約の内容、契約に基づく報告資料等から役務提供が行われた事実があるか、コンサルタント料を支払った者が実際に便益を享受しているか等が確認されます。
本件の場合は、海外企業に支払ったコンサルタント料について、具体的な役務提供の内容を検討した結果、実際に便益を享受しているのは海外子会社であり、本来は海外子会社が負担すべきものを親会社が肩代わりしたものと言えることから、国外関連者に対する寄附金として課税されたものです。
このように表面的に契約書を締結して支払っていたとしても、経費として認められない場合があるので注意が必要です。


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著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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