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新米経理必見!3分でわかる業務手順 第11回「経理が知っておきたい給与計算の基礎」

会計入力業務を行うにあたり、必ず通らなければならない給与に関する仕訳。苦手な方も多いのではないでしょうか。今記事では具体例を用いながら、給与仕訳の一連の流れを見ていきます。

給与の仕訳計上(基本編)

給与計算は、月末締めで翌月25日に支払う企業が多いと思います。よって会計上は、締めたタイミングで費用認識、支払ったタイミングで出金認識の2つの取引が発生することになります。関連する税金支払いもまとめてみていきましょう。

 

毎月の給与計算の一連の流れは下記のとおりです。

①勤怠締め日

②給与支払日

③社会保険料納付

④源泉所得税納付

⑤住民税納付

 

それぞれ、具体例を用いながら、仕訳に落とし込んでいきましょう。

 

①勤怠締め日(7月末日)

7月分の勤怠締め日。7月分の給与総額は100万円、会社負担分の社会保険料は15万円と計算された。

取引が発生しているものの、キャッシュアウトは翌月のため、未払費用で計上を行います。なお、従業員が複数いる場合、1人ずつ同仕訳を切ると手間がかかるため、全員分の給与をまとめて仕訳を切るのが一般的です。全員分の給与をまとめて仕訳を切ることで、帳簿上に個人の給与額が記載されない副次的メリットもあります。

なお、未払費用は給与や社会保険料以外にも頻繁的に用いる勘定科目のため、補助科目を付けて、区分しておくと良いでしょう。

 

②給与支払日(8月25日)

月末締め翌月25日支給。給与総額100万円から従業員負担分の社会保険料、住民税、所得税が控除され支給された。

7月分給与がキャッシュアウトされるタイミングで未払費用の消し込みを行い、同時に従業員から天引きした社会保険料、所得税、住民税を預り金に計上を行います。預り金に計上する理由は、全ての項目、いずれ国や市区町村に納めるもので、一時的に会社が預かっているにすぎない理由から、預り金に計上されます。

 

③社会保険料納付日(8月末日)

7月分の社会保険料を納付する。

7月分の社会保険料(会社負担分と従業員負担分)を納付します。通常、口座引き落としに設定している会社が多く、月末が休日の場合には、翌月初に引き落としがかかります。

なお、この一連の仕訳例では、会社負担分の社会保険料と従業員負担分の社会保険料を同額としましたが、実務上は、会社負担分の社会保険料の方がわずかに高くなります。

※子供、子育て拠出金という保険料が会社負担分にのみ発生するため。それ以外の項目は会社負担分と従業員負担分で同額。

 

④源泉所得税納付日(9月10日 or 翌年1月20日)

8月25日給与支給日に天引きした所得税を納付する。

所得税は原則として、天引きした月の翌月10日までに税務署に納付することとなっています(10日が休日の場合は翌営業日)。なお、従業員が10名未満の会社は納期特例制度を用いることにより、納付を年2回にすることができます。1月〜6月分の源泉所得税を7月10日に、7月〜12月分の源泉所得税を1月20日迄に納付する必要があり、上記例で納期特例を用いた場合は納付日が1月20日になります。なお、源泉所得税の納付は銀行窓口のほか、ネットバンクで行うことができますので活用しましょう。

 

⑤住民税納付

8月25日給与支給日に天引きした住民税を納付する。

住民税は、天引きした月の翌月10日までに市区町村に納付することとなっています(10日が休日の場合は翌営業日)。窓口納付のほか、ネットバンクでも行うこともできます。なお、ネットバンクで住民税を納付する場合、手続き期限が納付日の1週間前程に設定されていることが多く、注意が必要です。

概算計上を行うときのポイント

①で7月分の勤怠実績をもとに、給与を100万円、法定福利費を15万円計上しましたが、実務上、こんなスッキリ計上できるものでしょうか。役員だけの会社でしたらまだしも、従業員が多く在籍している会社は、休暇や残業の計算があり、中々すぐには金額が確定しないことでしょう。
一方、会計の締め日は翌月初にやって来る。そんな時に活用するのが概算計上です。
先月の給与計算結果に入退社を反映した概算額を計算し、7月末に一旦計上し、概算額と給与計算結果にズレが生じたら翌月の月次決算で修正を行うというものです。年度決算や四半期決算のときは中々こうも行きませんが、月次決算のスピード感が求められるときは概算計上を活用するようにしましょう。

おわりに

ここまで給与計算の一連の流れを紹介してきました。可能な限り全体の流れを把握したうえで、仕訳を一本一本切るように心がけましょう。


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著者: 篠原泰之

バックオフィス複業マン

1990年生まれ。東京都出身。スタートアップで経営管理業務に従事する傍ら、管理部門構築支援や事業計画策定、執筆活動など、財務経理を軸に幅広く活動している。日商簿記1級保有。

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