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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:海外渡航費の留意点④ 同業者団体等が主催する海外視察

同業者団体等が主催する海外視察に参加する場合、海外視察に併せて観光が行われる場合も見受けられます。このような場合には、どのくらい業務に従事したのかという割合に応じて旅費として経費化できる金額が決まってきます。

同業者団体等が主催する海外視察等に参加した場合の海外渡航費に関する税務上の取り扱いは、次のとおりとなります。

業務関連性等の判定

海外渡航費の損金算入額を算定するに当たっては、以下の事項を具体的に説明する書類等に基づいて、海外視察等の動機、参加者の役職、業務関連性等を考慮して判定します。
イ 団体旅行の主催者、その名称、旅行目的、旅行日程、参加費用の額等その旅行の内容(主催者作成のパンフレット、旅行日程表、研修報告書、会議やセミナーの資料、視察の際の写真等)
ロ 参加者の氏名、役職、住所(参加者名簿等)

損金算入額の計算方法

同業者団体等が行う視察等のための海外渡航については、課税上弊害のない限り、その旅行に通常要する費用の額に、旅行日程の区分による業務従事割合を基礎とした「損金等算入割合」を乗じて計算した金額を旅費として損金の額に算入します。

ただし、次に揚げる場合には、それぞれ次によります。
イ 損金等算入割合が90%以上となる場合
→ 全額を旅費として損金算入。
ロ 損金等算入割合が10%以下となる場合
→ 旅費の全額が損金不算入(使用人については、給与として損金算入)。
ハ その海外渡航が業務遂行上直接必要であると認められる場合(「業務従事割合」が50%以上の場合)
→ 「往復の交通費の額」と「その他の費用の額」に区分し、
「その他の費用の額」×「損金等算入割合」+「往復の交通費の額」
を旅費として損金算入。

(注1)損金等算入割合とは、業務従事割合を10%単位で区分したもので、その区分に当たり業務従事割合の10%未満の端数については四捨五入する。

(注2)業務従事割合とは、旅行日程を「視察等の業務に従事した日数」、「観光の日数」、「旅行日」、「その他」に区分し、次の算式で計算した割合。

日数の区分

業務従事割合の計算の基礎となる日数の区分は、おおむね次によります。
(1) 日数区分の単位
昼間の通常の業務時間(おむね8時間) を1.0 日としてその行動状況に応じ、おおむね0.25日を単位に算出します。

(2) 視察等の日数
次のような視察等で、参加法人の業種業態、事業内容、事業計画等からみて、業務上必要と認められるものに係る日数とします。
イ 工場、店舗等の視察、見学又は訪問
ロ 展示会、見本市等への参加又は見学
ハ 市場、流通機構等の調査研究等
ニ 国際会議への出席
ホ 海外セミナーへの参加
ヘ 同業者団体又は関係官庁等の訪問、懇談

(3) 観光の日数
次のような日数が含まれます。
イ 自由行動時間での私的な外出
ロ 観光に附随して行った簡易な見学、儀礼的な訪問
ハ ロータリークラブ等その他これに準ずる会議で、私的地位に基づいて出席したもの

(4) 旅行日の日数
旅行日の日数は、原則として目的地までの往復及び移動に要した日数とします。
ただし、現地における移動日等の日数でその内容からみて「視察等の日数」又は「観光の日数」に含めることが相当と認められる日数(観光の日数に含まれる日数で、土曜日又は日曜日等の休日に当たる日を除く。)は、それぞれの日数に含めます。

(5) その他の日数
その他の日数は、次に掲げる日数とします。
イ 土曜日又は日曜日等の休日の日数((4)の旅行日の日数を除く。)。
ただし、これらの日のうち業務に従事したと認められる日数は「視察等の日数」に含め、観光を行っていると認められる場合には「観光の日数」に含めます。
ロ 土曜日又は日曜日等の休日以外の日の日数のうち「視察等」、「観光」及び「旅行日」に区分されない休養、帰国準備等その他の部分の日数。

【根拠規定】海外渡航費の取り扱いについて(法令解釈通達)

ケーススタディ

X社が参加した同業者団体の海外視察の日程が以下の通りの場合、損金に算入される海外渡航費の額は、どのように計算するのであろうか。

87.5%の10%未満の端数を四捨五入した損金算入割合は90%となりますので、旅費の全額を損金に算入できることとなります。

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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