自民党税制調査会(自民税調)は12月13日を目処に、2019年度税制改正大綱を取り纏める予定だが、その中に、祖父母や親などが亡くなり相続した空き家を売却した場合に所得税を軽くする措置を延長する方針を固めた。

「空き家の譲渡所得の3千万円特別控除」、いわゆる空き家対策税制は2016年4月から2019年12月31日までの期限付きの特例措置として開始した。第三者への譲渡を促し、増加が社会問題となっている空き家の発生を抑えることを目的にしている。
現行制度は2019年末で終了するため、自民税調は23年までの延長を軸に調整し、要件の緩和も検討する方針。
空き家対策税制は、相続から3年以内に、空き家や建物を取り除いた土地を売却した場合、譲渡所得から最大3千万円を特別に差し引き、所得税の負担を軽くできるもの。相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、その家屋または取壊した後の土地を売却した場合に、その譲渡所得から3千万円が特別控除される。
空き家対策税制の適用を受けた場合の計算式は、
「 譲渡価額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除3千万円=譲渡所得」
つまり、3千万円控除が適用できれば、約600万円の税額が軽減できることになる。

現在の適用要件としては、

(1) 相続日から起算して3年を経過する年の12月31日までに譲渡
(2) 平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡
(3) 譲渡価額が1億円以下
(4)続開始直前において被相続人が1人で居住
(5)昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有家屋を除く)
(6)相続時から譲渡時までに事業などで貸付していない
(7)家屋を取り壊さずに譲渡する場合にはその家屋が新耐震基準に適合するもの。取り壊してから売却する場合は、解体前の写真など証拠になるものが必要。

となっている。
空き家は維持管理面からも相続人とって負担となることが多いため、何とかしなければと思いながらも、相続人にとって生まれ育った思い出深い実家である場合が多く、なかなか決心がつかないのが現実だ。法整備も重要だが、相続人の気持ちの整理ということも不可欠だ。税理士などの専門家がメンタルや税制などを含めたサポートをしていくことも、これからさらに必要になるだろう。