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「中小企業特例」の継続決定で思うこと

政府・与党は、中小企業の法人税率の一部を19%から15%に引き下げる中小企業特例、いわゆる「中小企業者等に対する軽減税率」を2021年3月末まで延長する方針を固めた。19年3月末に期限切れを迎える予定だったことから、中小企業とっては朗報だ。

政府・与党は、2019年10月の消費税率10%への引き上げを前に中小企業特例、いわゆる「中小企業者等に対する軽減税率」を廃止すれば、景気に悪影響を与えかねないと判断。2年間延長することを決め、19年度の与党税制改正大綱に盛り込むとしている。
中小企業特例の適用対象は、期末資本金の額が1億円以下の普通法人。適用対象なら、法人税率は原則23.2%のところ、課税対象となる所得金額が年800万円以下の部分について15%の軽減税率が適用される(中小企業の場合は、所得金額が年800万円以下の部分については本則19%)。800万円を超えた超過分については23.2%の税率が課せられるもの。中小企業特例は、08年のリーマン・ショックによる景気の冷え込みを受け09年度から導入された。

中小企業特例は平成28年度においては約90万者が利用。減税額は約1360億円に上る。幅広い業種で利用されており、もし本税制措置がなくなった場合、消費税10%の影響とダブルパンチとなり設備投資や賃上げなどに悪影響が出る可能性が高い。その意味でも延長が決まったことは中小企業にとって朗報だ。ただもう一点。税金とは別の話になるのだが、中小企業が一番苦しんでいるのが社会保険料の負担。税金は利益が出ていなければ納めることはないが、社会保険は会社の業績に関係なく納めなくてはならない。アーリーステージの経営者と話していても「せめて創業1年目は収入がほとんどないから、免除とか、優遇措置を設けてくれると助かる」との声も聞かれる。確かに、収入がほとんどないにも関わらず、届出を出し、給与が発生すればすぐに社会保険料を納めなくてはいけない。これはかなりの負担だ。あくまで個人的な意見だが、ベンチャー育成という面から、検討の俎上ぐらいには上げてほしい。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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