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ラグビー・ワールドカップ2019 消費増税の影響 会場でのビールは値段据え置き

日本代表の快進撃で盛り上がるラグビー・ワールドカップ(W杯)。消費税が8%から10%に上がる10月1日以降もチケットの販売価格はそのまま据え置かれた。さらに、会場内で販売されているビールなどの飲食物も消費増税前と同じ価格が維持されている。

消費増税をまたいだラグビーW杯。消費増税の影響が懸念されていたが、大会組織委員会は、10月1日以降もチケットの販売価格はそのまま据え置くほか、会場内での飲食についても、消費増税前の価格を維持することを決めた。組織委員会は、外国人ら観客が混乱することを理由の一つにあげているが、会場売店などでの混乱を防ぐことも大きな理由のようだ。ただ、これら値段の据え置きは、大会組織委員会が2%分を消費者に代わって負担するのであって、「税の特例」が適用されたわけではない。
このほか、大会関連グッズを販売するショップでも一部では値段を据え置いた店舗があるが、公式オンラインストアでは、10月1日からは10%の新税率が適用されている。

ところで、今回の消費増税では、基本的には税率は8%から10%に引き上げられ、飲食物など一部が8%の軽減税率の対象となっている。
ラグビーW杯では、「外国人観戦者のビール消費量が桁外れに多い」といわれているが、会場内ではビールを飲めば税率8%だが、一般的には『酒』は10%になる。

今回の消費増税では、飲食物を持ち返るなら8%、椅子などに座りその場で飲食すると10%になるとされているが、スタジアム内の売店で食べ物や飲み物を買い、観客席で飲食する場合はどうなるのだろうか。
この場合は、『外食』に当たらず、軽減税率が適用される。というのも、観客席の目的は『観戦』であり、飲食用ではないからだ。

ところが、たとえば野球観戦の場合なら、VIP席のような飲食スペースを設けた席はどう判断するのであろうか。
この場合、「飲食スペース」があることから適用外となってしまい、10%の税率の対象となる。

課税庁では、外食を「飲食に用いられる設備のある場所で、顧客に飲食させるサービス」と定義している。飲食用のイスや机がある場所では、販売する人が「その場で食べる」のか「持ち帰る」のかを購入する人に確認しなければならない。意思確認した結果、「その場で食べる」なら10%、「持ち帰る」なら8%になる。

では、映画館ではどう判断することになるのだろうか。“映画のお供”といえば、飲み物にポップコーンが定番。鑑賞前に売店で購入し、飲み食いしながら鑑賞するのが常道だ。席に座る目的はあくまで『映画鑑賞』。そうなると、スタジアム同様に売店で買った飲食物は8%税率の対象になる。とはいうものの、お父さんがついビールを購入していれば、これは「酒」なので10%だ。

このほか、ゴルフ場での飲食も判断が難しい場合がある。クラブハウス周辺にはギャラリープラザ、いわゆる「ギャラプラ」があり、そこにはテーブルとイスが用意され、飲食ができるようになっている。そこで座って食べたら消費税は10%になるのは理解しやすいが、たとえば、ゴルフツアーの観戦に行ったとき、ギャラプラで買ったものを選手について歩きながら食べたり、1番や18番の観客席で食べたりする場合だ。これは、その場で食べていないのだから「持ち帰り」になると考えられる。つまり、軽減税率の8%が適用される。
ギャラプラで販売する店員が判断するようになるわけで、軽減税率に慣れるまでは、まだかなりの時間が要しそうだ。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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