2021年ノーベル物理学賞に、日本出身でアメリカ・プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎氏(90)が選ばれた。自然科学3賞と呼ばれる、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞を受賞した日本国籍の研究者は22人、真鍋氏のような米国籍の人も加えると25人になった。
賞金は1千万スウェーデン・クローナ(約1億2700万円)で、真鍋氏には4分の1が贈られる。
スウェーデン王立科学アカデミーは10月5日、2021年のノーベル物理学賞を、地球の気候変動予測の道を開いた真鍋淑郎氏らに授与すると発表した。真鍋氏は、高性能のコンピューターを駆使し、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが、地球規模の気候変動に与える影響などを予測した先駆的な研究が評価されたもの。
また、同時受賞したのは独伊の2研究者。独マックスプランク気象研究所のクラウス・ハッセルマン教授(89)は、真鍋氏の研究を発展させた。伊ローマ・サピエンツァ大のジョルジョ・パリージ教授(73)は、真鍋氏らの研究とは別に、原子の振る舞いなどの複雑な現象に規則性を見いだし、数式で理論化した。
日本人のノーベル賞受賞は2年ぶりで、28人目(うち米国籍は真鍋氏含めて3人)。
以下、これまでノーベル賞を受賞した日本人一覧
- 1949年 湯川秀樹(物理学賞)
- 1965年 朝永振一郎(物理学賞)
- 1968年 川端康成(文学賞)
- 1973年 江崎玲於奈(物理学賞)
- 1974年 佐藤栄作(平和賞)
- 1981年 福井謙一(化学賞)
- 1987年 利根川進(医学・生理学賞)
- 1994年 大江健三郎(文学賞)
- 2000年 白川英樹(化学賞)
- 2001年 野依良治(化学賞)
- 2002年 小柴昌俊(物理学賞)、田中耕一(化学賞)
- 2008年 南部陽一郎 / 小林誠 / 益川敏英(物理学賞)、下村脩(化学賞)
- 2010年 鈴木章 / 根岸英一(化学賞)
- 2012年 山中伸弥(医学・生理学賞)
- 2014年 赤崎勇 / 天野浩 / 中村修二(物理学賞)
- 2015年 梶田隆章(物理学賞)、大村智(医学・生理学賞)
- 2016年 大隅良典(医学・生理学賞)
- 2017年 石黒一雄(文学賞)
- 2018年 本庶佑(医学・生理学賞)
- 2020年 真鍋淑郎(物理学賞)
ノーベル賞物理学賞の賞金は1千万スウェーデン・クローナ(約1億2700万円)。このうち真鍋氏には、4分の1の250万スウェーデン・クローナが贈られる。
ノーベル賞では、一つの賞に複数の受賞者がいる場合、賞金は分配方式が取られている。同時受賞は規則で最高3人までとなっており、
- 受賞者2人の場合は全賞金を1/2ずつ。
- 受賞者が3人の場合は、
・それぞれ1人ずつが単独の研究による受賞であれば1/3ずつ。
・3人の共同研究による受賞では1/3ずつ。
・1人が単独 、そして残り2人が共同研究による受賞ならば、単独の人が1/2。そして共同受賞の2人が残りの1/2、すなわち一人当たり1/4