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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:株式報酬② 外国親会社から株式報酬を受け取った場合の課税関係

外国にある親会社からストックオプションやリストリクテッド・ストックなどの株式報酬を受け取った場合、給与所得として確定申告しなければなりません。過去には申告漏れによって多額の追徴課税を受けた事案も多く見られることから、注意が必要です。

業績向上のインセンティブとして、外国親会社から株式を利用した報酬を受け取るケースがあります。今回は代表的な株式報酬について、制度の概要と課税関係を確認したいと思います。

ストックオプション(税制非適格ストックオプション)

ストックオプションとは、会社がその役員等に対して、一定の期間内に、あらかじめ定められた一定の価額(権利行使価額)で外国親会社等の株式を購入できる権利を与える制度をいいます。
この権利を付与された役員等が、株価が権利行使価額を上回る時に株式を購入した場合、権利行使時の株価と権利行使価額との差額が給与収入となります。そして、その取得した株式を売却して譲渡益が生じた場合には、株式等に係る譲渡所得となります。

《数値例》
・権利行使価額  ・・・300円
・権利行使時の株価・・・800円
・株式譲渡時の株価・・・1,000円
この場合、権利行使時には、権利行使時の株価と権利行使価額との差額(800円-300円=500円)が給与収入となります。株式譲渡時には、譲渡益(1,000円-800円=200円)が株式の譲渡所得となります。

リストリクテッド・ストック(RS/譲渡制限株式)

リストリクテッド・ストックとは、外国親会社等の株式を、一括あるいは何年かに分けて、無償で付与する制度をいいます(通常は、2~3年が多い)。
株式はすぐに付与されますが、一定期間は売却ができず(譲渡制限)、譲渡制限期間中に雇用関係が終了した場合には株式を返還する義務が生じます(買戻しオプション)。譲渡制限期間が経過すると譲渡制限が解除され、株式を譲渡することができます。
ストックオプションと異なり、無償で株式を取得できるため、確実に利益を得ることができます。
課税関係については、譲渡制限解除時(譲渡制限期間経過時)に、譲渡制限解除時の株価が給与収入として課税対象となります。

《数値例》
・権利付与時に300株付与
・1年経過ごとに100株ずつ譲渡制限が解除される
・1年経過時の株価・・・1,000円
・2年経過時の株価・・・1,300円
・3年経過時の株価・・・800円

リストリクテッド・ストック・ユニット(RSU/制限株式ユニット)

リストリクテッド・ストック・ユニットとは、外国親会社の株式と等価で、譲渡不能のユニットが無償で付与され、一定期間経過後、複数年に分けて、ユニットの制限が解除され、株式に転換していく制度をいいます。リストリクテッド・ストックと同様に、ユニットが株式に転換されると、無償で株式を取得できるため、確実に利益を得ることができます、
リストリクテッド・ストックとよく似た制度ですが、リストリクテッド・ストックは株式現物を付与するのに対し、リストリクテッド・ストック・ユニットは株式と等価のユニットを付与する点が異なります。
課税関係については、譲渡制限解除時(譲渡制限期間経過時)に、譲渡制限解除時の株価が給与収入として課税対象となります。

従業員持株購入制度(ESPP/Employee Stock Purchase Plan)

従業員が、半年・1年といった一定の期間ごとに自社株(又は親会社・子会社の株式)を割引価格(通常は市場価格の15%割引)で購入できる制度をいいます。
ある定められた期間中に税引き後給与から自社株購入用の資金を積み立て、期間中の一定時期になると、割引された金額で株式が自動的に購入されます。
課税関係については、買付時に割引額が給与収入となります。例えば、時価10,000円の株式を8,500円で購入する場合、割引額である1,500円が経済的利益として給与課税されます。

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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