開業税理士の働き方は本当にさまざま。事務所をどんどん大きくしていく方もいれば、事務所の特色を出して他の事務所との差別化を図る方もいます。多種多様な開業税理士のなかで、私が働くうえで最近意識していることについてお話したいと思います。
開業税理士の一般的なイメージは、顧問先をどんどん開拓し、事業の拡大とともに従業員も増員して、徐々に事務所が手狭になってきたらもっと広い事務所に移転して、さらに顧問先を増やして、売上をどんどん伸ばして……といった、バリバリ働くイメージかもしれません。イメージ通り、「従業員がたくさんいる」「事務所が立派」「毎日夜遅くまで忙しそう」など、誰から見ても「成功している税理士」の方に会うと、素直に「すごいなぁ~!!」と思います。
でも、そのようなイメージとは違っていても、実は成功している先生方はたくさんいらっしゃいます。相続専門、国際派、2代目、研究家、セミナー講師、コンサルタントなど、自分の強みを活かした専門性で差別化し、ライフスタイルに合わせて自由な働き方をしている先生方もいます。だから、「いい波があればサーフィンをしてから出勤する」「オフシーズンには必ず家族旅行に出掛ける」といった先生方も「成功者だなー」と私は思います。
さて、私自身は行き当たりばったりで開業したわけですが、それでも開業を決めたときには「どんな事務所にしたいか」をじっくり考えました。そしてミッションを掲げました。
『外部の税理士の先生』ではなく、『内部の敏腕経理』と思っていただき、お客様とともに事業を成長させる。
話しかけづらい、質問しづらい「偉い税理士の先生」ではなく、困ったことがあればすぐに相談できる「脇田さん」でありたい。忙しくてどう仕事を進めたらいいか迷いそうになったときは、自分の行動がミッションに即しているか、原点に立ち返るようにしています。そうすると、私の場合は、「1人での個人事務所のまま、直接お客様のお話をお聞きしたい」「それぞれのお客様の不安や悩みに、自分で親身に対応したい」と思うのです。一人で見ることができる顧問先の数に限りはありますが、大きな事務所ではなくても十分にやっていけます。むしろコストは抑えられるので、利益の確保はしやすいのかも……(大きな事務所を経営したことがないので比較はできません)。ストレスも少ない方なのではないかと思います。
一方で、開業したころはあまり考えていなかったことですが、開業から2年ほど経ったころから、「一般の方にも、税に興味を持っていただき、正しい知識を身に付けて欲しい!」という気持ちが芽生えてきました。フリーランスやサラリーマン、主婦の方の中には、「税」と聞いただけで、「おもしろくなさそう」「難しい話はいいや…」と感じる方が少なくないと思うのです。
だから、メディアのお仕事をするときは、「思いっきりおもしろく書く」「専門用語は使わない」「ところどころ税金とは関係ない話をして引き込む」など、工夫して伝えることが楽しみの一つになっています。
2018年以降、確定申告などについての解説の取材や、雑誌やウェブの執筆依頼が徐々に増えてくるにつれ、「一般の方に税について分かりやすく説明するにはどうしたらいいか」をより考えるようになりました。先日、初めてテレビ埼玉のニュース番組に出演し、ふるさと納税について解説したのですが、たくさんの方に「とてもわかりやすい説明だった」と声を掛けていただき、とてもうれしかったです。

2018年は「税」について発信することに恵まれた1年だったので、2019年も引き続き「税」について発信していき、「この人の税金の話なら聞きたい、読んでみたい」と思っていただけるような税理士になることが夢です。
①顧問先にとって相談しやすい税理士
②一般の方が「この人の税金の話なら聞きたい」と思う税理士
の2つを目指して、2019年は猛進します。そんな税理士になれたら、それが私にとっての「成功」なのかもしれません。