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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:株式報酬③  新聞報道された株式報酬の申告漏れ事例

外国の親会社から付与されたストックオプションやリストリクテッド・ストック等の株式報酬によって得た利益については給与所得として確定申告しなければなりません。しかし、これらの所得が申告漏れとなっていて、税務調査によって多額の追徴課税を受けた事例が相次いで発覚しました。そのため、現在では法定調書を用いて申告漏れの有無がチェックされています。確定申告時期を迎えるに当たり、こうした申告漏れがないように注意したいものです。

新聞報道された申告漏れ事例

日本HP元役員ら脱税容疑
ストックオプション所得 米で隠し運用

米国コンピューター関連会社の日本法人の元役員2人が、親会社から与えられたストックオプション(自社株購入権)を行使して得た所得を隠し、それぞれ8,000万円と6,000万円の所得税を脱税したとして、東京国税局から所得税法違反容疑で東京地検と横浜地検に告発されたことがわかった。
関係者によると、2人はストックオプションに伴う利益を申告せず、A元社長は2005年までの2年で約2億3,000万円、B元副社長は3年で約1億5000万円の所得を隠した疑いが持たれている。
2人はストックオプション行使で得た株を米国で売却し、資産の大半を米国で運用。株を海外市場で売却されると日本の国税当局は把握が難しいが、A元社長は一部利益を税務申告することで、脱税発覚を免れようとしていた。B元副社長は以前に税務調査を受けており、申告の必要性を認識していたとみられるがまったくの無申告だった。
(2008年9月28日 読売新聞)

クレディ・スイス証券 元部長1.3億脱税疑い

欧州大手金融のクレディ・スイス(CS)日本法人の元部長が、海外で行使したストックオプションの利益にかかる約1億3,000万円を脱税したとして、東京国税局から所得税法違反の疑いで東京地検に告発されたことがわかった。
関係者によると、元部長は、2007年までの2年間で、親会社から付与されたストックオプションの権利行使で得た利益約3億5,000万円を申告せず、所得税約1億3,000万円を脱税した疑い。CSのスイス口座で行使して現金化、シンガポールの銀行に送金させて資産運用を委託していたという。
(2010年2月19日 読売新聞)

JPモルガン証券元部長 5000万円脱税容疑

米金融大手の日本法人「JPモルガン証券」の元部長が、親会社から付与されたストックオプション(自社株購入権)で得た利益約1億4,000万円を申告せず、所得税約5,000万円を脱税したとして、東京国税局から所得税法違反の疑いで東京地検に告発されたことが分かった。
関係者によると、元部長は、06年までの3年間、報酬として、米国親会社のJPモルガン・チェースから、ストックオプションの一種のRSU(譲渡制限付き自社株取得権)を付与された。
譲渡制限期間が過ぎると自動的に株式が取得でき、取得時点の時価を給与所得として申告する必要があったが、08年までの2年間で約1億4,000万円の給与所得を隠し、所得税約5,000万円を脱税した疑い。
株式は、米国内の銀行で受領。その後、同国内の証券会社の口座に移して市場で売却し、投資信託などで運用していた。一部は日本国内で経営する投資関係会社の出資金や、自宅の改修費などに充てていたという。
(2011年6月1日 読売新聞)

米電機メーカー日本法人社長を8千万円脱税で告発
ストックオプション利益2億円超申告せず 大阪国税局

あらかじめ決められた価格で株式を取得できるストックオプションの権利を行使し、その当時との差額の利益を得ていたのに申告せず、所得税約7,900万円を脱税したとして、大阪国税局が所得税法違反罪で、米電機機械メーカー日本法人の元社長を神戸地検に告発していたことがわかった。すでに修正申告を済ませたという。
関係者によると、元社長は同社日本法人を退職後、平成26、27年にストックオプションを複数回行使して、同社の株を購入。それによって得た所得が計約2億2千万円あったのにまったく申告せず、所得税約7,900万円を不正に免れたとしている。
(2017年11月10日 産経新聞)

税務署では法定調書を活用して申告漏れをチェック!

外国親会社からストック・オプションなどの株式報酬を付与された場合、個人で給与所得として確定申告する必要があります。

しかし、新聞報道でも見られたたように、申告漏れとなっているケースが相次いで発覚したことから、平成24年の税制改正で、「外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書」が導入されました。この調書は、外国法人の日本子会社等が外国法人から株式報酬に関する情報提供を受け、税務署に提出することになります。

税務署では、株式報酬の申告漏れの把握に力を入れており、法定調書と確定申告書の内容を照合し、申告漏れがないかチェックしています。

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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