これから飲食店の開業を目指す方は店舗の運営はもちろんのこと、経営についても自らの判断で行っていかなければなりません。飲食店を経営する上で最低限、これだけは押さえておいた方が良い数字があります。その中でも、一番大切なのは売上です。そこで、今回は「売上」の数値の見方について紹介します。

飲食店経営に数値は必要!?

都内で個人事業主とし居酒屋の開業を考えているUさんは、現場での料理や接客などの店舗運営には自信がありますが、数値には昔から苦手意識が強いです。これから独立して飲食店の経営をみていく際にどのように数値と付き合えばよいかわからず、悩んでいました。

飲食店は店舗ビジネスであり、店舗ごとの距離が離れており、経営者の目が届く店舗数にも限界があります。店舗数が増えてくると、現場に出ていなくてもお店の状況を把握する別の方法を探さなければなりませんが、これに対し最も有効だと言われているのが数字です。

数字は最も客観的な情報であり、伝える人が変わっても、場所が離れたとしても、季節が変わったとしても、数字の意味は変わりません。飲食店経営においてお店の状況を適切に判断していくためには貴重な情報源となります。ただ、数字は日本語や英語などの言語と同じく、その意味を知らなければ、見ても、聞いても全く意味のないものになってしまいます。そのため、飲食店経営を目指す方、既に行っている方には、最低限、押さておいた方がよい数値の見方があります。

売上は日商、客数、客単価まで落とし込んで考えよう

その後Uさんは、飲食店専門の税理士から数値の活用方法について教えてもらいました。その中でも売上については、今まで、その日の営業結果としてのみ、なんとなく見ていましたが、数値を見られるようになったおかげで、売上アップに向けた取り組みを考えられるようになりました。

 

飲食店を経営する上で一番重要になるのが、売上です。売上と言えば、月の売上はいくらなのか(月商)を見るのが一般的ですが、飲食店ではこれだけでは十分ではありません。

月商を1日の売上はいくらなのか(日商)に落とし込んで考えることが必要となります。売上は日商まで落とし込むことで、毎日の店舗運営の業績判断が可能になりますし、目標を立てる際にも日々の店舗運営に紐づくため、具体性が高いものとなります。また各月の平均日商を比較することで営業日数が多い月と少ない月の比較が可能になりますし、定休日の増減があった場合でも正しい判断が可能になるというメリットもあります。

 

さらに、日商を客数と客単価にまで落とし込んで考えることが重要です。客数と客単価まで落とし込むことで初めて売上を実現するために必要な店舗運営の方法(お店のメニュー作りやスタッフの人数など)が見えてきますし、売上アップに向けた具体的な販売促進の方法も見えてきます。

 

<売上の構成要素>

1日の売上 =ランチ売上 + ディナー売上

=ランチの客数(新規客+固定客)☓客単価 + ディナーの客数

(新規客+固定客)☓客単価。

 

飲食店経営の第一歩は売上数値の見方から!開業後の飲食店経営で失敗しないにも、お店の売上アップへの取り組みが意識できる数値の見方が大切です。