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女性記者のひとりごと vol.56 結婚子育て特例 もう一つの落し穴

お金の問題はとてもデリケート。円滑な親戚関係にヒビが入らぬよう、また自分自身が後悔しないよう、特例適用に当たってはさまざまな角度から検討を重ねたい。

私がかねてより目の敵(笑)にしている「結婚子育て資金贈与の特例」。
今回は別の角度からこの特例の問題点を掘り下げてみたい。
両親や祖父母から子や孫へ「結婚子育て資金」を贈与した場合、
一定の手続きを踏めば1千万円まで贈与税がかからないという同制度。
暦年課税や相続時精算課税、さらには教育資金贈与の特例との併用も可
ということでなんだか魅力的な感じもする。
しかし、冷静に見るとこの特例はどうにもこうにも油断がならない
・特例を利用しなくてもそもそも非課税である(教育資金贈与も同じ)
・信託期間中に贈与者が死亡した場合、未使用額が相続財産に取り込まれる
…といった点をこれまでグチグチと指摘してきたが、
実は関係者のメンタルな部分にもマイナスな影響を及ぼす可能性がある。
例えば、ヘタをすると親戚や兄弟の関係にヒビが入りかねない。
同特例を利用して子や孫に財産を移したものの
贈与金額にばらつきがあると兄弟間のトラブルに発展してしまう可能性がある。
また、可愛い孫のために限度額である1千万円まで目一杯贈与した場合、
孫にとってのもう一方の祖父母(嫁の両親等)から
「自分たちも特例を使って贈与したかったのに」と責められる可能性も。
「1千万円」という非課税限度枠は、贈与者のものではなく
あくまで受贈者1人あたりの金額だからだ。
さらには、贈与の事実を孫本人が認識していない可能性も高い。
孫の喜ぶ顔見たさに贈与したのに、喜んでいるのは息子の嫁だけ、
という残念な結果にもなりかねないのだ。
お金の問題はとてもデリケート。
円滑な親戚関係にヒビが入らぬよう、また自分自身が後悔しないよう、
特例適用に当たってはさまざまな角度から検討を重ねたい。

著者: 川瀬かおり

記者/税金ライター

社会部を根城とする税金オタクの女性記者。財務省・国税庁を中心に取材活動を展開すること20余年。事件モノを得意とし、裁判所にも日参する。税金ネタをこよなく愛する一方で、税制の隙間や矛盾を見つけては叩きまくるサディスティックな一面も。趣味は夜討ち朝駆けとクラブ通い。

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