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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:国外関連者寄附金⑥ 寄附金課税されないケース~子会社等を再建する場合の無利息貸付け等

海外子会社等に対して無利息又は低利貸付が行われた場合、原則として寄附金課税の対象となります。ただし、子会社等の倒産を防止するために、やむを得ずに無利息又は通常よりも低い利率で貸し付けたとしても、それが合理的な再建計画に基づいている場合等には、寄附金課税されないこととされています。

ケース

『当社では海外子会社に対して貸付金を有していますが、最近、海外子会社が業績不振に陥ったため、貸付金の金利を免除することを検討しています。こうした処理は、税務上、問題はありますか。』

子会社等を再建する場合の無利息貸付け等

業績不振の子会社の倒産を防止するために、やむを得ず無利息貸付けや低利貸付け等の取引が行われた場合で、それが合理的な再建計画に基づいている場合には、税務上も正常な取引条件に従って行われたものとして取り扱い、寄附金課税をしないとする取り扱いが法人税基本通達9-4-2に示されています。

法人税基本通達9-4-2(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9-4-2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
(注)合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。

通達を適用する上での留意点

⑴子会社等は経営危機に陥っているか

経営危機に陥っていない子会社等に対する経済的利益の供与は、その利益供与について緊急性がなく、やむを得ず行うものとは認められないため、寄附金に該当します。
子会社等が経営危機に陥っている場合とは、一般的には、子会社等が債務超過の状態にあることなどから資金繰りが逼迫しているような場合が考えられます。

なお、債務超過等の状態にあっても子会社等が自力で再建することが可能であると認められる場合には、その支援は経済合理性を有していないものと考えられます。

 

⑵損失負担(支援)額は合理的か

損失負担(支援)額が合理的に算定されているか否かは、次のような点から検討します。

イ 損失負担(支援)額が、子会社等を整理するため又は経営危機を回避し再建するための必要最低限の金額とされているか。

ロ 子会社等の財務内容、営業状況の見通し等及び自己努力を加味したものとなっているか。

子会社等を再建又は整理するための損失負担等は、子会社等の倒産を防止する等のためにやむを得ず行われるものであるから、損失負担(支援)額は、必要最低限の金額でなければなりません。一般的に、支援により子会社等に課税所得が発生するようなケースは少ないと考えられます。支援金額が過剰と認められる場合には、単なる利益移転とみなされ、寄附金に該当します。

また、必要最低限の支援であるから、子会社等はそれなりの自己努力を行っていることが通例であり、損失負担額は、被支援者等の自己努力を加味した金額となります。この場合の自己努力としては、一般的に遊休資産の売却、経費の節減、増減資等が考えられます。

(出典:国税庁タックスアンサー No.5280 子会社等を整理・再建する場合の損失負担等に係る質疑応答事例等)

移転価格税制との関係

移転価格税制では、業績不振の海外子会社に対する貸付であっても、その貸付金利が独立企業間の利率に満たない場合には、原則としてその貸付は独立企業間価格で行われたものとみなして所得金額を再計算することとなります。

ただし、法人税基本通達9-4-2の適用がある金銭の貸し付けについては、移転価格税制においても適正な取引として扱うこととされています(移転価格事務運営要領3-6(1))。

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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