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専業主婦からママ税理士へ 子育てしながら働く!ライフスタイル白書【28】:軽減税率制度のあれこれ①~導入まで約1カ月、しっかり準備を!〜

いよいよ10月から消費税が10%になります。それと同時に、日本で初めて「軽減税率制度」も導入されます。消費税制度が導入されてから30年余り。これまでにもさまざまな改正がありましたが、今回の改正はこれまでの中でも最大の改正になります。私たち税理士の間でも、大変話題になっています。一体どうなるのでしょうか……!?

10月の増税を前に、7~9月にかけて全国の商工会議所や各企業等から「軽減税率セミナー」のご依頼をいただいています。講演するにあたって、軽減税率についてかなり細かく調べているのですが、非常に頭を悩ませる制度になっていると感じます。特に、事業者にとっては非常にややこしく悩ましいと思うのです。でも、文句ばかり言っても仕方ありません。準備や対策はしっかりしないといけません。どんなにトラブル等を想定して対策してみても、いざ始まってみたら「予想外の問題が生じるかも……」とは思いますが、だからこそ、対策しておかないともっと大変なことになりかねません。

2014年にも5%から8%へ消費税がアップしましたが、そのときと大きく違うのが「軽減税率制度」が導入されることです。特に、飲食店や旅館業、飲食料品を取り扱う卸売・小売業では、売上が8%のものと10%のものが混在することになるため、間違った税率で売ることのないよう注意が必要です。その際、請求書、領収書等の書類に関しても「区分記載請求書等」の発行が必要となりますので、対応するレジなどの導入は急務です。また、4年後からは「適格請求書(インボイス)」制度が導入され、免税事業者からの請求書等では仕入税額控除ができなくなるため、免税事業者にとっても大きなインパクトがあります(経過措置あり)。

 

ソリマチ株式会社でオンラインセミナーをしたときの一コマ。

軽減税率制度とは、ざっくり説明すると「消費税を10%にした後も、飲食料品(外食とお酒を除く)と新聞だけは8%のままにする」という制度です。ここで悩ましいのが、どういう場合が外食でどういう場合がお持ち帰りとみなされるのかの判断や、一体資産で全体が8%となる「一定の要件」(税抜き1万円以下のもので、その価額のうち飲食料品の価額が占める割合が3分の2以上)に値するかどうか、などの判断です。国税庁HPの個別Q&Aなどに細かい事例も出ていますが、税理士同士でも「なんでこれが10%でこれが8%になるんだろう」とネタのようになっています……。

ほかにも、「レジで持ち帰ると言った人が、店内で食べている場合」「やっぱり店内で食べていくことにしましたと言ってきた人への対応」「このペットフード、うちでは人間が食べるから飲食料品でしょう」「お重入りおせち料理のお重は、うちでは使い捨てるから、お弁当についてくる割りばしと同様、全体で飲食料品ではないのか」など、想定されるトラブルを挙げたらきりがありません。

また、軽減税率ではなく増税に関しては、増税後の値段や、その値段の表示方法(税込みか税抜きか)も決めて値札や料金表を作成し直す必要があります。1円単位で値段を設定することが困難な場合(美容院やネイルサロン、食券での販売等)には、10円きざみ、100円きざみでの値段改定にして、お店全体として利益を確保できるような、価格の決定の工夫なども必要となります。免税事業者は消費税を納めませんが、経費を支払う際の消費税はアップするのですから、きちんと消費税分値上げしてくださいね、というお話もしたりします。

セミナー参加者の声を聞いて感じるのは、まだ、自分事と思ってきっちり対策している方が少ないなぁということです。複数税率対応レジは、9月末までに導入(使える状態)しないと補助金の申請ができないのですが、まだ変えていない方も多いです。でもこれを聞いて、「まだみんなも対策してないんだ」と、安心されても困ります(笑)。実際、10月になってレジでもたもたしていたらお客様からクレームもくるでしょう。

さらに、値段の決定や表示方法についてもまだ決めていない方も多そうです。正直「自分のお店くらいの規模で、2%くらい間違えたってたいしたことないだろう」と思っている事業者の方も多いのかな?と思いますが、消費税の間違いは、後から調査などで修正となるととても怖い「間接税」です。お客様からは8%しか預かっていないのに本来は10%だったとなれば、差額は自腹で納めなくてはなりません。

残り1カ月余りしかありませんがしっかり対策していただきたいと思います。次回は、具体的なセミナー参加者からの質問等について書きたいと思います。ではまた!

著者: 脇田弥輝

脇田弥輝税理士事務所/東亜大学大学院法学専攻非常勤講師

長男を出産後、会計・税法の知識ゼロから税理士を目指し、2013年税理士登録。税理士法人勤務を経て2016年脇田弥輝税理士事務所開業。「『外部の税理士の先生』ではなく、『内部の敏腕経理』と思って頂き、お客様とともに事業を成長させる」を理念とし顧問先と付き合う。著書に「ダンゼン得する知りたいことがパッとわかる 青色申告と経費・仕訳・節税がよくわかる本」(ソーテック社)がある。
■脇田弥輝税理士事務所
http://wakitamiki.work/
■子育てママ~専業主婦から税理士☆合格体験&お仕事日記
http://ameblo.jp/zeirisi-ni-naru/

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