「先生」と呼ばれたい、と思ったことはありませんが、通常税理士は、「先生」と呼ばれる職業です。ところがある日ふと、私、お客様の誰一人からも「先生」と呼ばれていない、ということに気が付きました。
士業は「先生」と呼ばれることが多い職業です。私は特にこだわりもないので、先生と呼んで欲しいとも、呼ばれたくないとも思っていなくて、相手の方が呼びたいように呼んでいただければいいと思っているのですが、それでも税理士会でお会いする他の税理士の方を、私は〇〇先生と呼びますし(仲の良い税理士は名前で呼びますが)、他の先生からも「脇田先生」と呼ばれます。また、会計ソフトメーカーや保険会社等の関連企業の方々も「先生の事務所では~」のようにお話されます。
そして、たいていの場合、顧問先様も顧問税理士を「先生」と呼ぶことが多いようです。それがいいとか悪いとかではなく、風習として。
ところが、開業して1年ほど経ったころでしょうか。ある日ふと、私、顧問先様のどなたからも先生と呼ばれていないということに気が付きました。口頭で先生と呼ばれないだけでなく、メール等の宛名も「脇田さん」「脇田様」です(親しい人は「みきさん」)。ふと気付いた、と書いたように、最初からそうだったのでそれが自然で全く違和感はありませんでした。
そしてこれに気が付いたとき、なんだか嬉しく思いました。多分、顧問先から1件も先生と呼ばれない税理士ってけっこう珍しいと思います。「先生と呼ばないでください」って一度も言ったことないのに、です(笑)。
私が開業したとき掲げたミッションは「『外部の税理士の先生』ではなく、『内部の敏腕経理』と思っていただき、お客様とともに事業を成長させる」でした。まさにこれが叶っているのでは!? と思いました。『内部の敏腕経理』を「先生」と呼ぶはずがありません。その後の新しい顧問先様も、みなさま、先生とは呼びません。ちなみに私の顧問先様は、20代前半~60代の男性、30~40代の女性と比較的幅広くいらっしゃって、年上の方からも年下の方からも、男性からも女性からも、みなさまから「さん」づけで呼ばれています。「先生と呼ばないでください」とは言ってないのですが(笑)。
「先生」と呼ばれることを否定するわけでも嫌なわけでもありません。ただ、私に「先生」と呼びたくなるような雰囲気がなく、お客様の身近な存在と思っていただけているとしたら幸せなことだな~と思います(今さらなぜ先生と呼ばないのかなんて、お客様に聞けませんが……笑)。
身近な存在であれば、「これは経費になるのかな」「必要書類は何かな」と、ちょっとした疑問点や不安なことを気軽に相談していただけます。あの先生に聞くのは申し訳ないかな、なんて遠慮されてしまうと、間違ったまま処理が進む可能性があるかもしれません。「脇田さん/みきさん、すみません。ちょっとお聞きしたいんですけど…」と疑問があればすぐにお電話やメールをくださる顧問先様のおかげで、何に悩んでいるのかタイムリーに知ることができますし、解決も早くなります。別にすぐに答えてくれと迫られるわけではなく、お調べしてから折り返しすることももちろんありますが。
今後、特に意識して「先生と呼ばないでください」とは言わないと思うので……。いつか、新しい顧問先様に「脇田先生」と呼ばれる日が来るのかな……!? 想像すると、ちょっと寂しいです(笑)。
あ、講師をしている大学院の学生からは「先生」と呼ばれています!(職業としての「先生」ですから)