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社長と経理マン必読! 稼げる中小企業になるための「攻める経理」とは

稼げる中小企業になるための必須条件。それは「社長が会計という数字の裏付けによる経営をすること」と指摘するのが税理士法人町田パートナーズ(東京・港区)の代表社員で千葉商科大学客員講師の町田孝治公認会計士・税理士だ。そのためには、会計事務所と二人三脚で進んでいくことが不可欠。そこで、どういった関係を会計事務所と築き、どのようなサポートを受けながら戦略的な経営をしていけばよいのか話を聞いた。


会計プロフェッショナルの仕事


―クラウド会計、入力の自動化など、テクノロジーの発達により中小企業にとっての会計事務所の役割が大きく変わってきていますね。

その通りです。テクノロジーの発展により会計事務所がこれまで売りにしてきたスキルの多くが「人間がやらなくてもいいもの」になりつつあります。AIの発展、RPAの技術、クラウド化による自動化が進み、将来なくなる仕事ランキングに会計関連が上がらないことはありません。

私は昨年、電子政府で著名なエストニアに視察に行って現状を見てきました。データの一元管理が究極的に進んでおり、銀行情報、医療情報、車両から不動産情報まで、完全に一元管理でオープンになっています(開示の意思表示ある場合)。その結果、データを集めて集約して申告すると言った領域では半自動・全自動が進んでいます。会計業務も例にもれず、確定申告がクリック3回で終わるという事実には驚愕しました。

―エストニアには毎年、日本の行政庁の幹部が視察しています。他の国でも電子政府構想が進んでおり、日本も消費税の軽減税率の導入などをきっかけに、電子政府構想を進めたいと考えていますね。

実はお隣の韓国も、あらゆる面で電子化が進んでいます。韓国はキャッシュレス比率が高く、またデジタルのインボイス制度を導入していることから、BtoB、BtoCともにほぼ完全な電子化されています。既に決算から税務申告まで半自動化されていて、「誰もが」「簡単に」「半自動で」作れる世界になっています。残念ながら、エストニアも韓国も会計事務所の地位はとても低いです。「面倒な雑用を安くやってくれる所」くらいの扱いです。

―日本においては、会計事務所の地位はまだまだ高いのが現状ですが、今後はどういった役割が期待されていると感じていますか。

日本では、現状、会計事務所は中小企業の経営者の相談相手ランキングでダントツのトップです。会社の数字を包み隠さず把握していて、経営者と月に一度会う、そういうポジションが相談ランキングトップの地位を築いているのでしょう。

会計に携わる人は、現在の信頼関係を大切にして、経営者の期待にしっかり応えて、仮に数字づくりが自動化されたとしても、さまざまな相談を受ける立場になっていれば、中小企業にとってはこれまで通り、必要不可欠な“経営の参謀役”の地位を維持していけると思います。そのための最初の一歩として「攻める経理」が役に立つと考えています。

―「攻める経理」とは具体的にどのようなことですか。

フォレスト出版 (2019/6/3) 町田孝治 (著)

私は、大学時代、理工学部経営システム工学科に在籍していましたが、夢中になっていたのが、工場の製造工程の効率化でした。当時、学んだ工場のモノづくりの効率化は、決算を組むという行為と非常に似ており、そのまま「数字作り」の効率化に適用できるのですここ数年のテクノロジーの急激な発展が、オフィス業務の効率化の幅を一気に進めています。例えば、工場のラインで自動で作る工作機械がありますが、RPAの技術はオフィス業務の中では、数字作りというライン作業の中で工作機械以上の役割を果たします。

具体的な「最も効率的に数字を作る」プロセスは、仕訳作成のアウトソースから始まり、仕訳作成自体の自動化、クラウド化による単純入力の削減、AI学習による科目選定の精度向上、AI発展によるOCR技術の向上、など、昨今のテクノロジーの発展から、現在の会計・経理業務にあてはめ活用できる領域は思った以上に広大しました。

一方でテクノロジーはツールに過ぎないため、導入すれば全て解決するわけではありません。ツールを組み込んだ新しい業務フローに組み替える必要があります。この点は盲点になりやすく、今までと全く同じ、と前提とすると業務効率化の進みが遅くなります。

また、実際に進める上で壁になるのが、入力専任で働いてもらっている方達です。今後は入力ではなくより高度に数字を使う部分で活躍していただくのですが、そのシフトチェンジをどのように進めるべきかもしっかり考えないといけません。

このほど私は、「経理が変われば、会社が変わる!『会社のお金を増やす攻める経理』」(フォレスト出版)を出版させていただきましたが、この中では「最も効率的に数字を作る」点にフォーカスいたしました。次回は「最も効果的に数字を使う」点にフォーカスしていきたいと思います

―「最も効果的に数字を使う」とはどのようなことですか。

経営に会計の数値を使っていくことを意味しています。
ポイントは、「数字を使う」の主語は経営者、であるということ。中小企業には数字が苦手という社長が少なくありません。ですが、社長が社内外のプレゼンで会計という数字を織り交ぜて話ができれば、説得力は大きく高まります。銀行や取引先、株主、社員に経営状況や進むべき方針を伝えるときに、数字の裏付けと共に語るのか、数字がない状態で語るのかでは雲泥の差があるのは言うまでもありません。

―数字を活かした戦略経営をしていくためには、やはり会計事務所のサポートが不可欠になりますよね。

「最も効果的に数字を有効に使う」という点で、会計のプロフェッショナルのサポートが不可欠になると思います。会計事務所の役割としては、

①決算書の数値から現在の状況を客観的に指し示す、②社長が数字を使いこなせるように教育する、③社長の未来の夢を数値に落とし込む、の3つの役割があると考えています。会計の学問や実務とは発想が異なりますが、②③を行うためには、経営者と会計プロフェッショナル(企業の経理部や顧問税理士など)の距離がもっと近くなければなりません。

経営者に会計の理解を進めてもらうと同時に、会計プロフェッショナルも経営を深く深く理解する必要があります。
著書にも書いたのですが経営者と会計プロフェッショナルの関係は、漫画「ワンピース」の登場人物のように、それぞれの強みが違う仲間(航海士や医者、コックなどの専門家が乗船する)が集い、同じ目的・ビジョンに向けて手を組んで経営という航海を進めていくべきと考えています。
会計事務所としては、仮に税務申告まで全自動化したとしても、「先生に会いたい!」と思っていただけるような存在になるべく、動いていく必要があると思います。

<事務所概要>
税理士法人 町田パートナーズ
代表       公認会計士・税理士 町田孝治
所在地    東京都港区芝3-43-15芝信三田ビル7階
 http://www.machidakaikei.info/

 

著者: KaikeiZine編集部

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