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2019年版 4大監査法人の業界地図 ~人材から分析~ 報酬・給与ならPwCあらたとEY新日本、賞与が手厚いあずさ

監査法人では、IT人材活用の必要性が叫ばれて久しいですが、条件に見合った人材確保には手を焼いているようです。さらに、政府の進める働き方改革への対応などもあり、採用も含めた人件費は年々増加する傾向にあるようです。4大監査法人の人材への投資傾向について見てみます。

1.2018年度 人員数比較

○従業員数のトップは今期もトーマツ

従業員数では前期に引き続き今期もトーマツがトップとなりました。以下、あずさ、EY新日本、PwCあらたと続き、業績通りの順位となりました。

前年度との比較でみると、トーマツ、あずさ、PwCあらたが人員増、EY新日本のみが人員減となりました。EY新日本の人員減は、アドバイザリー業務に従事する社員20名を含む525名が、EYのメンバーファームであるEYアドバイザリー・アンド・コンサルティングに転籍した影響が大きいと見られますが、公認会計士の減少も少なからず影響しており、人員整理や自主退職など色々な背景がありそうです。

人員増減の内訳は、トーマツ、あずさ、EY新日本では会計士等の人員数は減少となっています。IT監査体制の確立が進む中、監査の専門知識を持った公認会計士の増員が抑えられているのは象徴的な出来事です。

○社員はあずさがトップ

社員の人数を見ると従業員数合計と順位は変わり、あずさが1位、トーマツが2位となります。従業員に社員が占める比率はEY新日本が9.7%で1位。あずさが9.6%で2位と続きます。前年度の数字を見た場合もあずさの社員数はトップであり、ここ数年あずさおよびEY新日本の社員比率が高く、PwCあらたの社員比率が低い傾向は変わりません。

表内にはありませんが、特定社員(公認会計士ではない社員)の割合を見るとトーマツ、あずさ、EY新日本では10%を切るのに対して、PwCあらたでは18.8%と高い割合になっています。公認会計士ではない人材のボードメンバーへの登用が多く、改めて監査以外に比重を置く体制が明らかになります。

○会計士等の比率は低下傾向に

業務内容が監査中心となっているEY新日本が、会計士等の比率では最も高くなりました。他の3法人が会計士等の比率が下がる中、1法人だけ比率上昇となっています。
公認会計士・監査審査会発表の、監査法人を分析した「令和元年版 モニタリングレポート」を紐解くと、公認会計士試験合格者等については、BIG4のここ5年の傾向として毎年人員数は増加していましたが、今年度には4法人合計で200人程度の減少になったことが分かります。

一方、中堅以下の監査法人では200人程度増えています。人員削減などにより、BIG4から中堅以下に公認会計士の移動が起こったようです。
公認会計士以外の人員に目を向けると、IT領域に関する監査の実施や監査手続きのサポートを行うIT専門家、データの整理等を行う監査アシスタントなどがいますが、「公認会計士(公認会計士試験合格者を含む)以外の人員は、全ての規模の監査法人において近年増加している」と報告されています。

直近のデータにおける総人員数に占める公認会計士以外の人員の割合は、大手監査法人では31%であり、平成26 年度の 25%に比べ大幅に上昇しています。

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2.社員一人当たりの業務収入および利益率

○社員数が少ないPwCあらたが安定の1位

社員数が最も多いあずさが、社員一人当たり業務収入が最も低い結果となりました。ただし、業務収入の増加に合わせ社員一人当たり業務収入も改善傾向にあります。
少数精鋭体制のPwCあらたが社員一人当たり業務収入で断トツトップであり、あずさの2倍以上となっています。しかし、今期社員数が増えたため前年度に比べれば減少となりました。
トーマツとEY新日本は業務収入増と社員数増が釣り合い、社員一人当たり業務収入が増える結果となりました。

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3.人員一人当たりの業務収入および利益率

○EY新日本は少数精鋭体制を作り上げる

人員一人あたりの業務収入を見ると、人員整理で人員数減のEY新日本が前年度に引き続き1位という結果になりました。
人員数が増員となったあずさは、業務収入増額の割に人員一人当たり業務収入にあまり伸びはありませんでした。トーマツは組織の大きさが邪魔をし、人員一人当たりの業務収入は3位に甘んじています。
PwCあらたは業務収入がほかの法人の半分以下でありながら人員数は半分よりも多く、人員一人当たり業務収入は前年度よりは改善しているものの他の法人に比べ低い水準にあります。

4.人件費による比較

○給与がいいPwCあらたとEY新日本、賞与が高いあずさ

一人当たり報酬給与は、PwCあらたの790万円をトップに、EY新日本788万円、トーマツ714万円、あずさ713万円という順位になりました。また賞与は、あずさ1880万円、EY新日本1680万円、トーマツ1600万円という結果になりました。
報酬給与が手厚いPwCあらたとEY新日本、賞与が手厚いあずさという特徴が見て取れます。

トーマツは今期、報酬給与・賞与両方においてBIG4の中で低調であり、また人件費が業務収入に占める割合が突出して高く、従業員数が多く人件費が業績を圧迫している様子が分かります。

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○IT活用で今後も変わっていく人材活用

導入が進められているITは、今後一層その活躍の場を広げていくと予想されています。
すでに導入済みなものとして、
・電子監査調書システム
・仕分けをITで分析し異常値を検出する仕訳分析ツール
・外部からのデータと被監査会社の全ての売上データを照合する精査的な証憑突合ツール
などがあります。

また、以下のような取り組みも始まっています。
・過去の財務情報等を用い将来の不正を予測するAIの活用
・債券・債務残高を確認できるシステム
・監査における知見のデータベース化
将来的には、ドローンを利用して実地棚卸立会を遠隔地から行うなども期待されています。
全体的な傾向として、若手公認会計士が単純作業に駆り出され公認会計士が監査のすべてを担っていた時代は終わり、総合的なチーム力で監査に取り組んでいく時代が始まる中、今後もより一層人材活用の方向性は変化を迎えていきそうです。

※参考資料
◆有限責任監査法人トーマツ:第52期 業務及び財産の状況に関する説明書類

◆有限責任あずさ監査法人:第35期 業務及び財産の状況に関する説明書類

◆EY新日本有限責任監査法人:第20期 業務及び財産の状況に関する説明書類

◆PwCあらた有限責任監査法人:第14期 業務及び財産の状況に関する説明書類

◆公認会計士・監査審査会:令和元年版 モニタリングレポート

著者: ハイタアジサイ

ドイツ駐在妻

ドイツで駐在妻生活堪能中のフリーライター、会計人の卵。早稲田大学第一文学部卒。税務専門紙記者や会計事務所での広報などを経験し、専門知識を極めんと仕事の傍ら千葉商科大学会計大学院進学。その後、公認会計士短答式試験に合格するも、妊娠&夫の海外赴任により論文試験は一年で放棄、ドイツへ。「一応MBA持ち」「一応修士号持ち」「公認会計士短答式だけ合格」など微妙な肩書コレクター。2児の母。

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