国税OB税理士が監修。公認会計士・税理士・会計事務所・企業経理担当、税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

会計人ニュース

注目キーワード

2017年版 4大監査法人の業界地図 人材から分析

人材難が叫ばれて久しい監査法人業界。会計士試験合格人数の方針が度々変更となったり、税理士法人や一般企業へ転職する資格者も増え、優秀な人材が集まりにくくなってきたといわれている。優秀な人材を呼び込むため各社とも働き方を是正する動きにあり、それは数字にも表れてきているようだ。人材から監査法人業界を俯瞰する。

1.2017年度 人員数比較

※▼参考 2016年度人員数

○従業員数はトーマツがトップ、あずさが2位に

2期連続でトーマツが従業員数トップに立ちました。新日本が大きく従業員数を減らしたため、純増だったあずさが2位へと1つ順位を上げました。この結果、従業員数、会計士等の人数はともに、トーマツ、あずさ、新日本、PwCあらたの順番となっています。
会計士等の増加数を見ると、4法人全体で2人しか増えていません。2017年度の4大監査法人の公認会計士採用実績は980人前後とみられ(『日本経済新聞』2018/11/22電子版)、相当数が辞めていることが推測されます。

○社員比率はあずさが1位も前期よりダウン

一般企業でいうところの管理職である社員(パートナー職)。立場的には共同経営者ということになります。監査法人では、この社員を目指すか、社員になれない/目指さない場合は転職することが一般的になっており、社員比率はある意味出世のしやすさを示す指標だといえます。
社員数が微減だったあずさは、従業員数が大幅に増えたため、結果として社員比率が低下。9.8%とトップだったものの、新日本とほぼ同率で前期よりは下がっています。
逆に新日本は、従業員数が大幅に減ったため、社員数が微減だったにも関わらず社員比率が増加しました。トーマツとPwCあらたは、2016年度と社員比率がほぼ同率となりました。

<PR>有限責任あずさ監査法人 個別転職説明会開催中!

2.社員一人当たりの業務収入および利益率

○少ない社員で高収益体制を築くPwCあらた

社員一人当たりの業務収入をみると、社員比率がBIG4の中で飛びぬけて低いPwCあらたが、社員一人当たりの業務収入において断トツトップとなりました。非監査証明業務に強いのがPwCあらたの特徴ですが、監査証明業務においても頭一つ抜ける結果となりました。
社員一人当たりの業務収入は、以下トーマツ、新日本と続き、最も社員数が多いあずさが最下位となりました。

<PR>監査経験不問 PwCあらた監査法人個別転職説明会

3.人員一人当たりの業務収入および利益率

○高収益を上げる新日本

人員一人当たりの業務収入では、新日本がトップとなりました。
業務収入トップのトーマツは、一人当たりの業務収入は新日本、あずさに次いでの3位と人員数が多いためその順位は高くありません。その代わり一人当たりの非監査証明業務収入はPwCあらたに次いで2位であり、非監査証明業務が収益力を高めているといえそうです。

4.人件費による比較

○各法人とも働き方改革で優秀な人材のつなぎ止めを図る

人員数が最も多いトーマツが、人件費も最も高いという結果になりました。また、業務収入に占める人件費の割合も高く、実数・割合ともに最も人件費にコストがかかっていることになります。
人員一人当たりの報酬給与は、PwCあらたがその高収益体制にふさわしく、トップとなりました。賞与については明細がありませんが、「その他人件費」としてまとめられている額は33億3700万円であり、これを一人当たりで割っても110万円にしかならず、外資系であるPwCあらたの報酬給与体系は欧米型に近いといえそうです。
あずさは、働き方改革により残業減を図り、その代わり賞与として還元したため、報酬給与が低めな一方、賞与が高いという結果になりました。
なお、働き方改革は他法人でも進行中で、2018年4月には、トーマツが企業内保育園を設置。優秀な職員が出産などを機に離職せぬよう、各法人とも環境を整え始めています。

<PR>有限責任監査法人トーマツ 財務会計アドバイザリー(IFRS)部門 個別転職説明会開催中!

○AIの導入により少人数で効率的な監査が可能になるか

現在監査業界で熱いトピックスとなっているのがAI(人工知能)の導入です。
現状人手不足感がある中、採用数が抑えられている理由として、中長期的にはAIの導入によって監査に必要となる人員数が減ることが見込まれていることが挙げられます。いずれの監査法人でも、AIを活用できる人材の育成やシステムの開発などに力を入れていることが報道されています(『日本経済新聞』2018/10/7電子版)。
会計士にとってITスキルは必須と言われて久しいですが、今後はすべての会計士がAIを使いこなして企業会計の異常値を発見するよう、働き方が劇的に変化する過程にあるといっていいでしょう。

※参考資料
◆EY新日本有限責任監査法人:第19期 業務及び財産の状況に関する説明書類
http://tms.jicpa.or.jp/offios/pub/doc/200704000010/200704000010_setumei.pdf?logitems=200704000010,4
◆有限責任監査法人トーマツ:第51期 業務及び財産の状況に関する説明書類
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Documents/about-deloitte/audit/jp-audit-stakeholder2018.pdf
◆有限責任あずさ監査法人:第34期 業務及び財産の状況に関する説明書類
https://assets.kpmg/content/dam/kpmg/jp/pdf/jp-public-inspection-34.pdf
◆PwCあらた有限責任監査法人:第13期 業務及び財産の状況に関する説明書類
https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/assurance/assets/pdf/public-inspection.pdf
◆日本公認会計士協会:2019年版 上場企業 監査人・監査報酬 実態調査報告書https://jicpa.or.jp/news/information/2019/20190527dfs.html
◆日本経済新聞電子版 2018/11/22「4大監査法人、18年度採用2%増どまり」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38050500R21C18A1DTA000/
◆日本経済新聞電子版 2018/10/7「AIが変える会計監査 リアルタイム監視の足音」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36060560T01C18A0TCJ000/

著者: ハイタアジサイ

ドイツ駐在妻

ドイツで駐在妻生活堪能中のフリーライター、会計人の卵。早稲田大学第一文学部卒。税務専門紙記者や会計事務所での広報などを経験し、専門知識を極めんと仕事の傍ら千葉商科大学会計大学院進学。その後、公認会計士短答式試験に合格するも、妊娠&夫の海外赴任により論文試験は一年で放棄、ドイツへ。「一応MBA持ち」「一応修士号持ち」「公認会計士短答式だけ合格」など微妙な肩書コレクター。2児の母。

ページ先頭へ