非居住者や外国法人に一定の国内源泉所得の支払いをする場合、源泉徴収が必要となります。税務調査で源泉徴収漏れが把握され、多額の追徴課税を受けるケースも見受けられます。そのため、非居住者や外国法人に対して支払いを行う場合は、源泉徴収が必要かどうか、慎重に検討する必要があります。
源泉徴収制度とは、給与や配当など一定の支払いを行う場合に、支払者(=源泉徴収義務者)が支払金額の中から一定の税金を徴収して、国に納付する制度をいいます。海外取引においては、より確実な税金徴収手段としてこの源泉徴収制度が重要な役割を果たしています。
海外取引と源泉徴収
非居住者や外国法人に対して、源泉徴収の対象となる一定の国内源泉所得の支払いをする場合には、その支払の際に源泉所得税を徴収し、国に納付しなければなりません。
【源泉徴収のイメージ~源泉徴収税率20%の場合】
したがって、非居住者や外国法人に支払う場合には、源泉徴収の要否の検討が必要となります。
源泉徴収が必要となる支払い
源泉徴収が必要となる主な国内源泉所得と源泉徴収税率は、以下の通りです。
(注)復興特別所得税の付加
平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間は、上記の源泉徴収税率に復興特別所得税(本来課される所得税に対して2.1%)が付加されます。それにより、この間の源泉徴収税率は次のようになります。
10%→10.21%、 15%→15.315%、 20%→20.42%
これらの国内源泉所得のうち、特に注意を要するのが、「土地等の譲渡対価」「人的役務の提供事業の対価」「不動産の賃貸料等」「貸付金の利子」「工業所有権等の使用料等」でしょう。これらは税務調査において、源泉徴収漏れの指摘の多い項目です。