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酒井克彦の「税金」についての公開雑談~沖縄県における赤化と白化~

一般的に紅白はおめでたい色合わせです。しかし、沖縄県は、「赤化」と「白化」という大きな環境問題を抱えているといいます。今回は沖縄で喫緊の課題となっているこれらの環境問題から、「地球温暖化対策のための税」を考えてみましょう。

「赤化」問題

まず赤化の問題をみてみましょう。

沖縄における環境問題の一つに赤土の流出問題があります。これは、開発が進むことで出る赤土が海域に流出する問題として捉えられがちですが、近年は、農地からの赤土の流出も問題となっています。

台風などの豪雨被害によって、農地の赤土が河川を通じて海へ流れ出てしまうという問題です。

農地の維持管理を行う農家の被害は甚大です。また、海を赤くすることになり、景観も悪化してしまいます。さらには、赤土に覆われたサンゴの光合成ができなくなるという問題も引き起こし、サンゴの死滅を招来するという非常に大きな問題がそこにあるのです。

そこで、石垣市は、2015年に「石垣市赤土等流出防止営農対策地域協議会」を設置して対策に力を入れています。具体的には、同協議会のメンバーである「農業環境コーディネーター」が農家の支援を行うなどの活動をしています。

「白化」問題

さて、次に白化の問題について考えましょう。

沖縄近海には数百種類のサンゴが生息していますが、サンゴが沖縄の大事な自然資産であることは多くの方も同感でありましょう。しかしながら、環境問題として、サンゴの死滅が大きな課題を示しているという実状があります。

筆者も日本サンゴ礁学会〔会長:土屋誠琉球大学名誉教授〕の末席を汚してサンゴ礁保護に関心を寄せているのですが、近年は、沖縄県でのサンゴ保護活動に注目が集まっています。それがサンゴ礁の白化の問題です。

サンゴ礁は、観光資源としての意味だけではなく、生態系の多様性を担保するという意味でも大きな存在意義を有しています。

これを棄損するサンゴ礁白化の原因は、地球温暖化による海水温の上昇と、サンゴを食べるオニヒトデの大量発生にあるといわれています。サンゴ礁の白化はサンゴの死滅につながり、ひいてはサンゴを住処とする魚たちへも悪影響をもたらします。

こうした現状を受け、沖縄県では、サンゴ礁の移植活動を始める手助けとして、「沖縄県サンゴ礁マニュアル」を作成して、移植活動のサポートを行っています。

また、恩納村は平成30年に「サンゴの村宣言」をし、民間参加型事業としてサンゴ礁保護活動を展開しています。

赤化と白化の共通項

これらの赤化及び白化の問題は共通の問題関心を提示しているのです(水谷遥香「一人ひとりが守る環境 自然豊かな海に2つの異変」HAKUMON Chuo264号16頁(2019))。

すなわち、それらはいずれも環境問題であり、また、いずれも防波堤問題であるという点です。

赤化の防止のための取組みの一つに「グリーンベルト」と呼ばれるものの構築がありますが、それは、農地(畑)の周辺に植物を帯状に植え、土壌に含まれた雨水を濾過することで流出を防ぐというものです。

石垣市では、ベチベルというイネ科の植物を12万本以上植えて、グリーンベルトを構築しており、これによって、農地の赤土の流出を防止しようというわけです。

他方、サンゴ礁の保護も防波堤の意味を有します。なぜなら、サンゴ礁は自然災害の防波堤としての意味を有するからであって、サンゴ礁移植は防波堤の構築といえるわけです。

「地球温暖化対策のための税」

さて、これらの活動には当然ながら出費を伴うことになります。

そこで、注目されるのが、「地球温暖化対策のための税」の導入です。環境保護活動のための費用の歳入という意味でもあり、他方で、これらの環境問題の背後にあるエネルギー資源CO2排出抑制対策としての効果を期待する税といえましょう。

「地球温暖化対策のための税」は、低炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの導入や省エネ対策をはじめとする地球温暖化対策(エネルギー資源CO2排出抑制対策)を強化するために創設されたものです。

平成24年10月1日から段階的に施行され、平成28年4月1日に予定されていた最終税率への引上げが完了しています。

かかる税制は、石油・天然ガス・石炭といったすべての化石燃料の利用に対し、環境負荷(CO2排出量)に応じて広く公平に負担を求める税制です。

喫緊の課題であるエネルギー・地球温暖化問題の解決に向けて、エネルギーの利用に伴うCO2の排出ができる限り抑制されることが期待されますし、かかる税収を活用して、環境保護活動が展開されるという意味では、「地球温暖化対策のための税」には二重の効果が期待されているのです。

前述の恩納村は、サンゴの村宣言の活動内容として、「環境税・観光税等の導入によるサンゴ基金の創設」を示しています(恩納村HP)。これは、「サンゴ礁保全再生事業を継続的に行うため、環境税や観光税等の導入等によって、資金源を確保する方法について検討を行う。」という提案です。

これらの活動が実を結んで、紅白のお祝いへ繋がることを期待したいですね。

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著者: 酒井克彦

中央大学法科大学院教授/法学博士

中央大学法科大学院教授。法学博士。現在、税務会計論・租税法などを担当。一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。単著に『スタートアップ租税法〔第3版〕』、『クローズアップ保険税務』、『クローズアップ事業承継税制』他5冊のアップシリーズ、『所得税法の論点研究』(財経詳報社)、『裁判例からみる所得税法』、『裁判例からみる法人税法〔3訂版〕』、『裁判例からみる税務調査』(大蔵財務協会)、『レクチャー租税法解釈入門』(弘文堂)、『プログレッシブ税務会計論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ』(中央経済社)、『アクセス税務通達の読み方』(第一法規)、『キャッチアップ改正相続法の税務』、『キャッチアップ外国人労働者の税務』、『キャッチアップ保険の税務』(ぎょうせい)など。その他、論文多数。
■一般社団法人アコード租税総合研究所
http://accordtax.net/
■一般社団法人ファルクラム(FULCRUM)
http://fulcrumtax.net/

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