コロナウイルスの感染拡大が重大な問題となって早2か月が経過しました。4月7日に緊急事態宣言が行われて以降、休業や営業時間の短縮、顧客の激減によりどの飲食店も打撃を受けています。今回は、赤字と資金繰りの悪化を改善すべく、是非活用したい支援制度を3つに絞ってお伝えします。

■支援制度1:感染防止協力金
感染防止協力金は施設営業の停止や営業時間の短縮を行った事業主に対して支払われる協力金です。各都道府県がこの協力金制度の主体となります。給付の対象となる事業主は原則、人が密集・密接しそうな一定の施設を営業する中小企業と個人事業主です。各自治体からの休業・営業時間の短縮・感染防止対策の徹底といった要請に応じると協力金が支払われるしくみとなっています。
協力金制度でもっとも注目されている東京都を例に挙げてみましょう。東京都の飲食店については令和2年4月16日から5月6日までに都の要請に応じれば、50万円(2店舗以上であれば100万円)の協力金の支払いを受けられます。ただし、営む施設の種類によって次のように要請内容が異なります。イメージとしては「感染拡大しやすい施設は『休業』、そうでない施設は『営業時間の短縮』」といった具合です。
・休業を要請されている施設
キャバレー、ナイトクラブ、スナック、ダンスホール、バー、ダーツバー、パブなど
・休業要請はないが営業時間の短縮や感染防止対策の徹底を要請されている施設
飲食店、料理店、喫茶店、和菓子・洋菓子屋、居酒屋、タピオカ屋、屋形船
この協力金制度の目的はあくまで「密閉・密集・密接」という感染拡大しやすい環境を回避することにあります。そのため、他の支援制度のように売上の減少といったことは給付要件とされていませんし、受け取った協力金の使途も制限されていません。さらに、この協力金の給付を受けても、後述する雇用調整助成金や持続化給付金の申請は行えます。
その一方、給付を受けるにはきちんと条件を満たすことが必要です。休業ならば要請された期間すべてにおいて営業を休まないと協力金は受け取れません。また、要請対象でない事業主が自主的に休業しても協力金は支払われません。さらに、申請に不正があると、協力金の返還だけでなく同額の違約金を支払うことになります。
協力金の申請には、所定の申請書の他、確定申告書など緊急事態宣言以前から営業していることが分かる書類や営業許可証、自粛の事実が分かる書類が必要です。なお、税理士などの専門家に事前確認してもらうと給付がより早くなるとされています。東京都の協力金の申請期間は4月22日から6月15日までです。
協力金制度は33の都道府県で実施される模様です(令和2年4月23日現在)。東京都は4月22日に協力金申請の受付を開始し、5月上旬には支給することとしていますが、協力金制度の名称・申請受付期間・支給開始時期は自治体によって異なります。気になる方は地元の自治体に確認するとよいでしょう。