コロナによる経済対策として様々な給付金や助成金が交付されることになりました。これらのお金の多くは課税対象なのですが、そのことに対し一部の国民から不満の声が出ているようです。今回は、所得税の課税・非課税の基本的な考え方に焦点をあてていきます。
■「国や自治体からもらうお金が課税なんて」不満が続出
新型コロナウイルス感染症に伴う緊急経済対策として、休業や営業自粛をせざるを得なくなった事業主に対し、さまざまな国のお金が支給されることとなりました。「自粛は求めるくせに補償はお粗末なのか」という批判はある程度収まったものの、今度は「国からもらうお金なのに課税するとはどういうことだ」という声が一部の事業主から上がっています。「非課税は限定的だ」「助成金を充てても赤字なら課税されない」「他の事業者との課税の公平が図れない」と言われてもなかなか納得がいかないようです。
■コロナで国からもらえるお金4つと課税・非課税
最初に、今回の新型コロナウイルス対策で国民に支給されるお金の内容と所得税の課税・非課税について見ていきましょう。主なコロナ対策のお金には次の4つがあります。
●10万円の特別定額給付金
外出自粛で感染拡大防止に協力している国民全員に対し、家計支援の一つとして給付されるお金です。1人あたり10万円が支給されます。この特別定額給付金は新型コロナ税特法第4条第一号により非課税所得とされています。
●休業協力金
休業協力金は都道府県から一定期間に渡り休業や営業時間の短縮などを要請された事業主に対して支給されるお金です。自治体によって名称や支給額が異なります。東京都の感染拡大防止協力金については、一律50万円(2事業所以上で自粛する事業主には100万)となっています。こちらは課税対象です。
●持続化給付金
感染拡大防止対策により売上の減少などの影響を受けた事業主に対し、「事業全般に幅広く使えるように」と経済産業省から交付される給付金です。中小法人は最大200万円、個人事業主は最大100万円がそれぞれ支給されます。こちらも課税対象です。
●雇用調整助成金
コロナ禍の影響を受けても従業員に休業手当を支払うなどで雇用維持に努めている事業主に対し、厚生労働省が交付する助成金です。事業規模や従業員への支給割合によって異なりますが、中小事業者に対しては支払額の8~9割が支給されます。こちらも課税対象です。