新型コロナウイルス感染症で減収したフリーランスにとって重いのが公的負担です。特に国民健康保険税の負荷は大きいもの。今回は、コロナ禍で減収したフリーランス向けに国民健康保険税の減免措置について解説します。
■減収で苦しいフリーランスは国保の減免措置を検討すべき
新型コロナウイルス感染症の蔓延が懸念されてから早半年が経過、さまざまな公的資金により事業主の負担の軽減が図られました。それでもお金のやりくりに苦しいフリーランスが是非検討したいのが国民健康保険税(以下「国保」)の減免措置です。
国保の負担は社会保険の健康保険よりもはるかに重く、減収したフリーランスの生活をひっ迫させる一因となっています。これを受け現在、コロナ禍で事業収入が激減したり、あるいは感染したことで生計の維持が難しくなったりする人は、対象期間の国保が減額あるいは全額免除されることになっています。
国保は地方自治体が管理する制度の一つであるため、本来、減免・軽減措置も自治体ごとに異なります。しかし今回の新型コロナウイルス感染症の影響による減免に限っては、厚生労働省と総務省がともに各地方自治体に対処を要請しているので、申請すればどこでも減免が受けられるのです。
■減免される人は「罹患」「減収見込」の世帯の人
国保の減免の要件は新型コロナウイルス感染症の影響で減収した世帯です。だからといって減収した誰もが対象になるわけではありません。基本的には「新型コロナウイルス感染症に罹患(以下『罹患』)」あるいは「新型コロナウイルス感染症の影響で減収した、あるいは減収しそう(以下『減収見込み』)」のどちらかに当てはまる世帯になります。具体的な内容は次の通りです。
1.罹患
新型コロナウイルス感染症により世帯の主たる生計維持者が死亡し、又は重篤な傷病(1カ月以上の入院や治療等)を負った世帯
感染したのがその世帯の大黒柱なら当然家計にも影響します。死亡や長期治療になってしまったら家族も罹患した稼ぎ手の葬儀や看護に追われることになります。そのため、罹患による死亡や重篤に関しては無条件で国保の減免が受けられます。
2.減収見込み
新型コロナウイルス感染症の影響で世帯の主たる生計維持者の2020年分の事業収入等が前年に比べて3割以上減少した、あるいはその可能性があるならば、減免の対象になります。ただし、次の両方の要件にも該当していなくてはなりません。
- ・2019年の合計所得金額が1千万円以下であった
- ・2019年の事業収入等以外の所得総額が400万円以下である
なお、ここで言う事業収入等とは事業収入・不動産収入・山林収入・給与収入を言います。また、基準は「所得」ではなく「収入」、大まかには「売上」です。要は「生計の軸となる収入が3割減ると生活へのダメージが大きくなる世帯は国保の減免対象になる」のです。
世田谷区が判定フローチャートを出しているので、こちらで減免対象になるかどうかを確認するとよいでしょう。