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税金納めるだけじゃない?フリーランスなら確定申告しておくべき4つの理由

新型コロナウイルス対策として国や自治体からさまざまなお金が支給されました。ただ、フリーランスの中には確定申告をしていなかったばかりに受け取れない人もいたようです。今回はこの現象に触れるとともに、フリーランスが確定申告をしておくべき理由について解説します。

■コロナでフリーランスは勝ち組と負け組に分かれた

コロナ禍で多くのフリーランスが自粛・休業に追い込まれました。しかしすべてのフリーランスが窮地に追い込まれたわけではありません。国や自治体からお金をもらって収入減を乗り切った人と明日の生活にも困る人に分かれました。いわば勝ち組と負け組に分かれたわけですが、分かれ目となったのは「毎年確定申告をしていたかどうか」でした。

●確定申告をしていたフリーランスはお金がもらえた

事業主向けの給付金や補助金は、少なからず確定申告書や決算書等の提出を義務付けています。例えば次のようなお金です。

  • ・持続化給付金
  • ・家賃支援給付金
  • ・持続化補助金
  • ・IT補助金
  • ・ものづくり補助金(一般型)

この他、収入が激減して生活困難になったときにもらえる住居確保給付金でも、預金通帳だけでなく確定申告書や廃業届をもって生活状況を説明しなくてはなりません。また、雇用調整助成金は必要書類に確定申告書と明記していません。しかし、前年同月比で5%以上売上が減少していることを示すには、決算書や内訳書がうってつけです。

つまり、毎年コツコツ確定申告を行っていたフリーランスはこういった支援をフル活用して基盤を維持することができたのです。

●税金を納めたくない事業主は損

一方、確定申告をしてこなかったフリーランスは憂き目に遭いました。お金がなくても家賃や光熱費は払わなくてはなりません。生活や事業を維持できなくなるからです。

「確定申告してわざわざ税金を払うなんてばからしい」と思っているといざというときに困るという現実が、今回のコロナ禍で浮き彫りになったといえます。

■毎年確定申告すべきこれだけの理由

それでも「感染症の蔓延なんて一時的、確定申告なんてしたくない」と思う人もいるでしょう。確かにコロナ禍はいずれ収まります。けれど事業と人生は長く続きます。この2つを次の4つの観点から考えると、確定申告は毎年やっておくべきだと言わざるを得ません。

●国や地方自治体のお金の支援が受けられる

コロナ禍対策のお金についてはすでにお伝えしました。この他、フリーランスがシングルマザーやシングルファザー、重度の心身障がい者の扶養者や生計の担い手の遺族である場合、国や都道府県・市区町村からもらえるお金があります。これらの給付の可否は、住民税の計算の基礎となる所得額で判断されます。正社員やパート・アルバイトなら年末調整で所得情報が市区町村に共有されますが、フリーランスは自ら確定申告をしないと自治体側で正確な情報把握ができません。フリーランスが公的なお金の支援を受けるなら、毎年の確定申告は必須なのです。

●融資の申請ができる

今回のコロナ禍では次のようなフリーランスも使える融資に関心が集まりました。

  • ・新型コロナウイルス感染症特別貸付
  • ・マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
  • ・セーフティネット保証4号・5号

これら以外にも「新創業融資」「女性・若者・シニア起業家支援資金」「一般貸付」といったフリーランスが使える融資制度がありますが、申請の際、確定申告書や決算書・内訳書の提出が求められます。

●節税しながら緊急時に備えることができる

「確定申告=税金を払う=もったいない」と思っている人は「節税」の2文字を聞いてもピンと来ないかもしれません。実は節税策の中には、フリーランスの緊急時に役立つものがあります。具体的には次の4つです。支払ったお金は全額所得額から差し引けます。

  • ・小規模企業共済…個人事業主向けの退職金制度
  • ・経営セーフティ共済…連鎖倒産を防ぐための借入制度
  • ・iDeCo(個人型確定拠出年金)…個人で運用する年金制度
  • ・社会保険(国民健康保険・国民年金・国民年金基金など)

今は元気に仕事ができていても、急な事故や病気、高齢化で働けなくなるかもしれません。また、取引先の倒産や夜逃げで、ある日突然資金繰りに困ることだってあります。こういった制度に加入すれば節税しつつ不測の事態に備えられるのです。

●事業の改善ポイントが分かる

フリーランスが確定申告をするなら、通常、事業所得として申告するため、青色申告決算書や収支内訳書も作ることになります。請求書や領収書を整理したり会計ソフトに入力したりする手間は面倒ですが、数字で事業の状態を客観的に把握できるようになると改善しやすくなります。

通帳への振り込みだけでは月々の収入しか目に入りません。一方、決算書や内訳書では売上や費用の状態、黒字か赤字かを知ることができます。結果、「ムダな支出はどれか」「費用対効果を大きくするにはどうしたらいいか」を意識せざるを得なくなるのです。経費にならないマンガ代を経費になるセミナー代に変え、売上を増やすようになるかもしれません。

■ルールを守った方が事業は続く

無申告のメリットは「手持ちの現金を減らさなくていい」しかありません。一見得ですが、これは万事自分の思い通りになっているときだけの話です。現実にはコロナ禍を含め色々なことが起きます。いざというとき、日本で先に救われるのはルールを守っている人です。

また、公的機関だけでなく民間企業も「この人はルールを守れるかどうか」で判断します。確定申告は数あるルールの一つでしかありませんが、このたった一つのルールを無視しただけで「この人は信用できない」と切り捨てられます。つまり、無申告は大損なのです。「独立して長く仕事をしたい」「いざというときも安心したい」と思うなら、確定申告は毎年必ず行いましょう。


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著者: 鈴木まゆ子

税理士・税務ライター

中央大学法学部法律学科卒業後、ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。ZUU online、納税通信、朝日新聞『相続会議』などメディアで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著)

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