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【IPO・CFOを経験した会計士が伝授する成功のポイント】経理財務人材の採用で注意する5つのポイント

現在支援している会社の財務経理部は、事業会社の勤務経験が無い若手会計士試験合格者一人です。経理や財務の実務面でのサポートは当然として、事業部から信頼され、成果が出せるような考え方や動き方も伝えています。その方の採用面接には私も同席しているので、是非とも成果を出して頂きたいと考えています。今回の記事では、経理財務人材の採用にあたって注意する5つのポイントをお伝えします。

本日の話が組織のどの部分か分かるように俯瞰図を作成しました。ぜひ自社の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。

 

1. 転職市場に経験のある経理財務人材は多くない

はじめに、経理財務人材の定義を明確にします。この記事における経理財務人材は、主に経理実務が出来る方を意味します。ベンチャー企業の経理財務部の主な役割は、経理業務に重点が置かれます。経理業務を主として、銀行対応、支払処理、取締役会資料作成等を対応することが多いのですが、経理業務が出来ない方を採用するベンチャー企業は少ないと考えています。

経理業務といっても幅が広いのですが、多くのベンチャー企業経営者が望む年次決算と開示資料の作成まで対応出来る方の採用は難しいです。月次決算を締める事が何となく出来るレベルの方であっても、過去、採用は難しかったです。私が関与していた企業では、経験者の採用が難しかったため、簿記3級程度の知識で日次の経理仕訳が出来る方を採用して、業務を通じて成長していった方が複数人いました。

2. ベンチャー企業のみならず上場企業も経理財務人材が不足している

最近、経理財務人材は、ベンチャー企業のみならず、上場企業においても慢性的に不足しており、売手市場になっていると考えています。

友人の上場企業の経理部長からは、募集をかけてもなかなか良い方が採用出来ずに困っているという話を良く聞きます。業績も良く安定した上場企業であっても、経理財務人材の採用は難しいと感じているようでした。そういった話は1社だけではないので、上場企業であっても、経理財務人材の採用は簡単ではないことが分かります。

過去、私が内定を出した方は、上場企業も含めて複数社の内定を得ている方が多かったです。そういった状況下において、ベンチャー企業を選んで頂くのは簡単ではありません。そのため、会社の社会的意義、会社が属する市場の成長性、会社の成長性、そして、その方が将来どのような事を目指していて、会社に入社してくれた時どのように成長してもらえるか、について丁寧に説明することにより、上場会社を含めた複数の会社の中から選んで頂きました。他のベンチャー企業のみならず上場企業も競合になる可能性があるので注意する必要があります。

3. 公認会計士だからといって経理財務の実務が出来る訳ではない

経理財務部の採用で相談を受けるのが、「公認会計士の資格を持っている方を採用すれば間違いないですか?」といった質問です。結論としては、資格は参考程度にしからならないとお伝えしています。資格を保有している事と、期待されている業務が出来る事とは異なるからです。特に、監査法人勤務経験のみの公認会計士の中には、出来上がった資料のチェックや指摘は出来るが、作成は出来ないといった方もいます。

大事な事は実務が出来るか否かですので、資格の有無だけでは誤った判断をする可能性があります。公認会計士の資格を持ち、事業会社の経理財務部門の経験がある、もしくは、会計系のコンサルティング会社で経理実務をサポートしていた等の経験がある方であれば、前向きに採用を検討しても良いと思います。

4. 年配の方を採用するという選択肢も視野に入れる

過去、私が採用を行っている際、定年を過ぎた方を紹介される事が何回かありました。その時は縁が無かったのですが、良い方に出会える可能性も一定あると考えています。

ただし、年配の方を採用する場合は、経験や資格が魅力的であっても、専門領域の知識がアップデートされているのか、手を動かす事が出来るのか等、慎重に見極める事が必要になります。一方、期待される役割に応えられるのであれば、年齢を理由に採用を見送る必要はないと考えています。

現在の経理財務人材の採用状況を鑑みた際、今後、ベンチャー企業にも経理財務を経験されたシニア人材が増えてくると思いますし、そういった方が増えてほしいと私は考えています。ご年配の方から学べる事も多くありますし、多様性を受け入れている会社は柔軟性があり、将来的に強くなっていくと考えているからです。

5. 既存社員との関係性に注意する

経理財務人材を採用する際、管理職・スタッフに関わらず、既存社員との関係性に注意する必要があります。具体的には、専門性は高く無いが、過去から経理財務業務を1人で対応してきたような方には一定の配慮をした方が良いと考えています。そういった方は、新しい方が来る事により、自身のポジションや役割が変わるため抵抗する事があります。過去から誤って処理していた事が明らかになること、効率的な仕事になるため残業が減ってしまうこと、自身の重要性が薄まってしまうこと等理由は様々です。

実際、過去に私が関与した会社で、従前から一人で経理財務を担当されており、IPOを本格的に目指すタイミングで、経理財務業務に統制を入れる案件がありました。そのため、経理業務の見える化、経理と支払の担当者を分ける、支払の承認等を進める必要があり、実際にその担当の方と業務を進めていくと、資料やデータを渡さない、勝手に支払いをする、打ち合わせの日程を入れても急に欠席する等、色々と大変な目にあいました。しかし、こういったケースは他社でも経験しましたし、友人からも同じような話を聞いた事があるので、必ずしも特殊なケースではないと考えています。

以上、経理財務人材の採用で注意すべきポイントを、転職市場、競合、候補者、既存社員との関係といった観点からまとめました。当該ポイントは、私が過去勤務していた会社や、コンサルティングで関与した会社で発生した事例を基にしています。経理財務部は会社の根幹となる部署ですので、良い方を採用して、安定稼働させましょう。

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著者: 三橋秀一

CFOサポート株式会社 代表取締役/中央大学商学部客員講師

監査法人トーマツ出身の公認会計士。リクルート等を経て、(株)LITALICOでマザーズ上場、(株)アンビスホールディングスでジャスダック上場を経験。「自身の経験から複数の企業や個人に貢献したい」という思いから、2020年1月にCFOサポート(株)を設立。中小企業やIPOを目指す企業への業務支援、CFOや財務経理でキャリアを構築する個人への支援を行っている。また中央大学商学部客員講師も努め、毎年150名超の大学生に会計士の魅力や就職に役立つ情報を伝えている。
■CFOサポート株式会社
https://cfosupport.net/

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